映画『2分の1の魔法』(2020)を紹介&解説。
映画『2分の1の魔法』概要
映画『2分の1の魔法』は、ダン・スキャンロン監督(『モンスターズ・ユニバーシティ』)が、魔法が忘れられつつある世界を舞台に、亡き父との再会を願うエルフの兄弟の冒険を描くディズニー&ピクサーの長編アニメーション。16歳の誕生日に父が遺した魔法の杖を受け取った少年イアンが、兄バーリーとともに、半分だけ蘇った父の姿を完成させるため24時間の冒険へ旅立つ。
声の出演はトム・ホランド、クリス・プラット、ジュリア・ルイス=ドレイファス、オクタヴィア・スペンサーら。
作品情報
| 日本版タイトル | 『2分の1の魔法』 |
|---|---|
| 原題 | Onward |
| 製作年 | 2020年 |
| 本国公開日 | 2020年3月6日 |
| 日本公開日 | 2020年8月21日 |
| ジャンル | アニメーション/ファンタジー/アドベンチャー/コメディ |
| 製作国 | アメリカ |
| 原作 | 無 |
| 上映時間 | 102分 |
| 監督 | ダン・スキャンロン |
|---|---|
| 脚本 | ダン・スキャンロン/ジェイソン・ヘドリー/キース・ブーニン |
| 製作 | コーリー・レイ |
| 製作総指揮 | ピート・ドクター |
| 撮影 | シャロン・キャラハン/アダム・ハビブ |
| 編集 | キャサリン・アップル |
| 作曲 | マイケル・ダナ/ジェフ・ダナ |
| 出演 | トム・ホランド/クリス・プラット/ジュリア・ルイス=ドレイファス/オクタヴィア・スペンサー/メル・ロドリゲス/カイル・ボーンハイマー/リナ・ウェイス/アリ・ウォン/グレイ・グリフィン/トレイシー・ウルマン/ウィルマー・バルデラマ/ジョン・ラッツェンバーガーほか |
| 製作 | ウォルト・ディズニー・ピクチャーズ/ピクサー・アニメーション・スタジオ |
| 配給 | ウォルト・ディズニー・スタジオ |
あらすじ
かつて魔法が満ちていたものの、便利な技術の発達によって魔法が忘れられていった世界。エルフの少年イアン・ライトフットは、自分が生まれる前に亡くなった父に一度でいいから会いたいと願っていた。16歳の誕生日、父が残した魔法の杖と呪文を受け取ったイアンは、父を24時間だけ蘇らせる魔法に挑戦する。
ところが呪文は途中で失敗し、現れたのは父の下半身だけ。魔法や冒険に詳しい兄バーリーとともに、イアンは日没までに父の全身を復活させるための旅へ出発する。現代化された街の裏側に残る古い魔法や伝説を辿るうち、兄弟は数々の試練へ巻き込まれていく。
主な登場人物(キャスト)
イアン・ライトフット(トム・ホランド):16歳になったエルフの少年。内気で自分に自信を持てずにいるが、亡き父が遺した魔法の杖を使える才能を秘めている。父との再会を実現するため、兄バーリーと冒険へ旅立つ。
バーリー・ライトフット(クリス・プラット):イアンの兄。魔法や古い伝説、冒険ゲームをこよなく愛する陽気なオタク気質の青年。無鉄砲な行動で弟を振り回す一方、イアンの可能性を誰よりも信じている。
ローレル・ライトフット(ジュリア・ルイス=ドレイファス):イアンとバーリーの母。息子たちが冒険へ出たことを知り、危険から守るため自らも行動を開始する。
マンティコア(オクタヴィア・スペンサー):かつて数々の冒険者を導いた伝説的な戦士。現代ではレストランを経営しているが、ローレルとの出会いをきっかけに失いかけていた冒険者としての魂を取り戻していく。
作品の魅力解説・レビュー
王道ファンタジーを「文明によって廃れた魔法」でひねる
エルフ、魔法の杖、呪文、宝石、ドラゴンと、並べられている素材そのものは極めて王道のファンタジー。しかし『2分の1の魔法』の面白さは、それらが存在する世界で人々がすでに魔法を使わなくなっているという設定にある。
電球があれば魔法で明かりを灯す必要はなく、自動車があれば空を飛ぶ必要もない。ファンタジー世界が文明の利器によって現代社会のような姿へ変化したというひねりが、見慣れたジャンルへピクサーらしい独自性を与えている。
王道ファンタジーという難しい題材へ真正面から挑みながら、単なる昔ながらの冒険物語にはしない。そのバランス感覚は、本作の大きな強みだ。
トム・ホランドとクリス・プラットが作る最高の兄弟コンビ
イアンを演じるトム・ホランドと、バーリーを演じるクリス・プラットの組み合わせも大きな魅力。
ホランドは臆病さや繊細さを抱えたイアンを声だけで表現し、プラットは対照的に騒々しく楽天的な兄バーリーへエネルギーを与える。性格のまったく異なるふたりだからこそ、衝突しながら旅を続ける兄弟の掛け合いが生き生きとしている。
字幕版では、ホランドとプラットそれぞれの持ち味がそのままキャラクターへ重なる楽しさも味わえる。
「亡き父に会いたい」という目的から広がる家族の物語
物語を動かすのは、父を完全な姿で蘇らせたいというイアンの切実な願いだ。しかし冒険が進むにつれ、本作が見つめているものは父と息子の関係だけではないことが明らかになっていく。
観客がディズニー/ピクサー作品から予想しそうな着地点を利用しながら、少し異なる角度から家族の絆を描く構成が巧み。意外性を狙いすぎて作品そのものを壊すこともなく、王道の感動と小さな変化球を両立させている。
ピクサー作品としては少し異質な、皮肉の効いたユーモア
冒険ファンタジーを現代社会へ置き換えた設定は笑いにも生かされている。勇猛だったはずの種族が便利な生活に慣れきっていたり、神話的な存在が現代的な仕事に追われていたりと、ファンタジーのお約束そのものを少し斜めから眺める笑いが多い。
ディズニー/ピクサーの従来作品と比べても、ややアイロニックで穿ったユーモアが目立つのは新鮮。親しみやすい王道作品でありながら、細部ではいつもと少し違うピクサーを楽しめる一作となっている。
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ライター/エディター/映画インスタグラマー。2019年に早稲田大学法学部を卒業。東京都職員として国際業務等を経験後、ライター業に転身。各種SNS(Instagram・X)やYouTubeチャンネル「cula 見て聞く映画マガジン(旧:アルテミシネマ)」においても映画や海外ドラマ、音楽といったカルチャーに関する情報レビューを発信している。
