映画『アウトサイダー』(1983)を紹介&解説。
映画『アウトサイダー』概要
映画『アウトサイダー』は、フランシス・フォード・コッポラ監督(『ゴッドファーザー』『地獄の黙示録』)が、S・E・ヒントンの同名青春小説を映画化したドラマ。1960年代のオクラホマ州タルサを舞台に、貧しい家庭の若者たち“グリース”と裕福な若者たち“ソッシュ”の対立、そして殺人事件をきっかけに逃亡する少年たちの青春と友情を描く。出演はC・トーマス・ハウエル、マット・ディロン、ラルフ・マッチオ、パトリック・スウェイジ、ロブ・ロウ、エミリオ・エステヴェス、トム・クルーズ、ダイアン・レインら。
作品情報
| 日本版タイトル | 『アウトサイダー』 |
|---|---|
| 原題 | The Outsiders |
| 製作年 | 1983年 |
| 本国公開日 | 1983年3月25日 |
| 日本公開日 | 1983年8月27日 |
| ジャンル | ドラマ |
| 製作国 | アメリカ |
| 原作 | S・E・ヒントン『アウトサイダーズ』(小説) |
| 上映時間 | 92分 |
| 監督 | フランシス・フォード・コッポラ |
|---|---|
| 脚本 | キャスリーン・クヌートセン・ローウェル |
| 製作 | フレッド・ルース/グレイ・フレデリクソン |
| 撮影 | スティーブン・H・ブラム |
| 編集 | アン・ゴールソウ |
| 作曲 | カーマイン・コッポラ |
| 出演 | C・トーマス・ハウエル/マット・ディロン/ラルフ・マッチオ/パトリック・スウェイジ/ロブ・ロウ/エミリオ・エステヴェス/トム・クルーズ/ダイアン・レイン/レイフ・ギャレットほか |
| 製作 | ゾエトロープ・スタジオ |
| 配給 | ワーナー・ブラザース(米国)/東宝東和(日本) |
あらすじ
オクラホマ州タルサ。両親を交通事故で失った少年ポニーボーイは、ふたりの兄と暮らしながら、貧しい家庭の若者たちからなる“グリース”の仲間たちと日々を過ごしていた。町では裕福な家庭の若者たち“ソッシュ”との対立が続き、両グループの間には埋めがたい階級の溝がある。
ある夜、ポニーボーイと親友ジョニーはソッシュの少年たちに襲われ、追い詰められたジョニーが相手のひとりを刺して死なせてしまう。仲間のダラスを頼ったふたりは町を離れ、廃教会に身を隠すことに。逃避行の中で穏やかな時間を過ごすふたりだったが、やがてさらなる事件が彼らを待ち受けていた。
主な登場人物(キャスト)
ポニーボーイ・カーティス(C・トーマス・ハウエル):両親を亡くし、ふたりの兄と暮らす14歳の少年。“グリース”の一員だが文学や映画を好む繊細な感性を持ち、ソッシュとの抗争に疑問を抱くこともある。
ダラス・“ダリー”・ウィンストン(マット・ディロン):グリースの中でも特に荒々しく、犯罪にも慣れた不良青年。ぶっきらぼうに振る舞いながら、ジョニーたちを守ろうとする強い仲間意識を持つ。
ジョニー・ケイド(ラルフ・マッチオ):ポニーボーイの親友。家庭にも居場所がなく、仲間たちを心の支えとしている。ソッシュとの衝突で重大な事件を起こし、ポニーボーイとともに逃亡する。
ダレル・“ダリー”・カーティス(パトリック・スウェイジ):ポニーボーイの長兄。両親亡き後は弟たちを養うため働き、親代わりとして厳しく接している。
チェリー・ヴァランス(ダイアン・レイン):ソッシュ側に属する少女。ポニーボーイと交流する中で、裕福な側にも苦悩が存在することを伝え、グループ同士の境界を越えて彼を理解する。
作品の魅力解説・レビュー
刹那的な青春を“金と銀”のような美しさで切り取る
『アウトサイダー』の大きな特徴は、不良少年たちの抗争を荒々しい現実だけとして描くのではなく、失われていく青春そのものを美しい記憶のような映像へ変えていることにある。
ポニーボーイとジョニーには家庭にも社会にも確かな居場所がなく、仲間たちとの時間さえいつ壊れてもおかしくない。そんな彼らが事件から逃れ、束の間の静かな時間を過ごす場面には、「美しい霧のよう。すべてが金と銀に包まれて。ずっと続かなくて残念」という感覚がよく似合う。
楽しい時間が永遠に続かないことを最初から知っているような儚さがあり、その刹那性が本作の青春映画としての核になっている。
不良映画をロマンティックな“絵”にするコッポラの演出
喧嘩、ナイフ、煙草、古びた家、夜の街。題材だけを取り出せば泥臭い不良映画になりそうな要素が並ぶが、コッポラはそれらを古典映画や絵画を思わせる端正な構図で撮影している。
道路上で止まった車を側面から捉えるショットをはじめ、人物と背景を大胆に配置した画面には、何気ない場面まで一枚の写真のように見せる格好良さがある。夕焼けや炎、霧、逆光などを積極的に使った映像も、少年たちの短い青春を現実以上に美しく記憶へ焼き付けていく。
荒々しい若者たちを扱いながら、作品全体がしっかりと洒落た映画になるあたりはコッポラらしい。
後のスターたちがまだ“若者”だった瞬間を見る
キャストを振り返る楽しさも非常に大きい。マット・ディロン、パトリック・スウェイジ、ロブ・ロウ、エミリオ・エステヴェス、トム・クルーズ、ダイアン・レインと、後にそれぞれ大きなキャリアを築く若手俳優が一作品に集まっている。
特に現在のスター像が完成する以前のトム・クルーズは、顔つきも雰囲気も後年とはかなり異なる。一方でマット・ディロン演じるダラスの危うさには強烈な存在感があり、若者たちの友情や衝動を映画全体の中心へ引き寄せている。
後のスターを探す映画として楽しめるだけでなく、まだ何者でもなかった若者たちが、同じ画面の中で青春の終わりを演じていること自体が本作独特の魅力となっている。
ライター/エディター/映画インスタグラマー。2019年に早稲田大学法学部を卒業。東京都職員として国際業務等を経験後、ライター業に転身。各種SNS(Instagram・X)やYouTubeチャンネル「cula 見て聞く映画マガジン(旧:アルテミシネマ)」においても映画や海外ドラマ、音楽といったカルチャーに関する情報レビューを発信している。
