映画『まさゆめ』(2024/2026年劇場公開)を紹介&解説。
映画『まさゆめ』概要
映画『まさゆめ』は、映像作家・ダンサーの吉開菜央が、自身の心身の不調や母との死別、禅寺での体験を見つめたセルフ・ドキュメンタリー。吉開自身が監督・出演・編集を担当し、食べること、眠ること、呼吸することなど、人間の身体の根源的な営みを通して、生きることと世界との関わりを捉え直していく。身体表現、写真、アニメーション、8ミリフィルム、ホームビデオなど、多様な表現を組み合わせた110分の長編作品となっている。
作品情報
| 日本版タイトル | 『まさゆめ』 |
|---|---|
| 原題 | MASAYUME |
| 製作年 | 2024年(2026年劇場公開資料では2026年表記) |
| 日本公開日 | 2024年11月23日(初公開)・2026年8月28日(劇場公開) |
| ジャンル | ドキュメンタリー |
| 製作国 | 日本 |
| 原作 | 無 |
| 上映時間 | 110分 |
| 監督・編集 | 吉開菜央 |
|---|---|
| 製作 | 吉開菜央/杉原永純 |
| 製作総指揮 | 越後谷卓司 |
| 撮影 | 小田香/吉開菜央/宮川真一/横江れいな/仲本拡史 |
| 作曲 | 涌井智仁 |
| 出演 | 吉開菜央/北村思綺/髙宮梢/真壁遥/内海正考/大迫健司/佐藤桃子/小池陽香/仲本拡史/加藤大輝/Osono/岩渕貞太/関裕美/吉開章子/吉開元彦/吉開月柊 |
| 製作 | 愛知県美術館(制作)/愛知芸術文化センター(企画) |
| 配給 | ホワイトレオターズ |
あらすじ
34歳になった冬、映像作家・ダンサーの吉開菜央は心と身体のバランスを崩す。さらに続くように、故郷に暮らしていた母が突然亡くなった。その後、ふとしたきっかけから禅寺で修行することになった吉開は、「意識が作り出す感情はすべて夢である」という考えに触れる。食べる、眠る、呼吸するといった身体の根源的な営みに立ち返りながら、自分自身と世界との関係をもう一度捉え直していく。
自身の病と親の死という人生の大きな転機を記録しながら、日常に存在する小さな喜びや驚きを拾い集め、映画というひとつの「夢」を形作っていく。
主な登場人物(キャスト)
吉開菜央(本人):映像作家、振付家、ダンサー。本作の監督・出演・編集を務める。心身の不調と母の死を経験した後、禅寺での修行や日々の身体的な営みを通じて、自らの生や世界との向き合い方を見つめ直していく。
作品の魅力解説
自分自身の人生を素材にしたセルフ・ドキュメンタリー
『まさゆめ』の出発点にあるのは、吉開菜央自身に起きた心身の不調と母との死別だ。客観的な対象を取材する一般的なドキュメンタリーとは異なり、カメラを向ける対象と映画を作る本人が重なっている。
自分に起きた出来事を記録し、それを後から編集して一本の映画として再構築していく。その行為そのものが、自身の経験をもう一度見つめ、受け入れていくための過程にもなっている。
食べる、眠る、呼吸する――身体から世界を捉え直す
本作が重視するのは、人生に大きな意味を与える壮大な答えだけではない。禅寺での経験をきっかけとして、食事、睡眠、呼吸、身体を動かすことなど、日常の最も基本的な行為へ意識を向けていく。
ダンサーでもある吉開にとって、身体は単なる被写体ではなく、世界を知覚するための重要な入口でもある。映像を見ることと身体を感じることを接続しようとする、監督自身が「オン・スクリーン・エクササイズ」と位置づける独特の映画体験が構築されている。
写真、アニメーション、8ミリまで横断する映像表現
映画は通常の実写映像だけで構成されず、身体表現、写真、アニメーション、8ミリフィルム、ホームビデオなど、異なる質感を持つ素材を積み重ねていく。
過去の記録と現在の身体、現実と記憶、ドキュメンタリーと創作の境界を自由に往復することで、「自分に実際に起きたこと」を一本の映画という夢へ変換していく。その形式自体が、本作の題名『まさゆめ』とも呼応している。
