映画『ラブ・ライズ』(2024)を紹介&解説。
映画『ラブ・ライズ』概要
映画『ラブ・ライズ』は、ホー・ミウケイ監督が長編監督デビュー作として手がけた香港製作のロマンティック・コメディ。ロマンス詐欺に手を染めた青年ジョーと、そのターゲットとなった孤独な産婦人科医ベロニカのオンライン上の関係を通して、嘘から始まったコミュニケーションの中に生まれる感情を描く。主演はサンドラ・ンとMCチョン・ティンフー。共演にステフィー・タン、チャン・ファイホン、エモーション・チョンら。香港だけでなく札幌でも物語が展開する。
作品情報
| 日本版タイトル | 『ラブ・ライズ』 |
|---|---|
| 原題 | 我談的那場戀愛(英題:Love Lies) |
| 製作年 | 2024年 |
| 本国公開日 | 2024年9月12日 |
| 日本公開日 | 2026年9月4日 |
| ジャンル | 恋愛/コメディ |
| 製作国 | 香港 |
| 原作 | 無 |
| 上映時間 | 114分 |
| 監督 | ホー・ミウケイ |
|---|---|
| 脚本 | ホー・ミウケイ/チャン・ヒンガー |
| 製作 | チャン・ヒンガー/ジャネット・チョン |
| 撮影 | タム・ワイカイ |
| 編集 | トー・トー |
| 作曲 | デイ・タイ |
| 出演 | サンドラ・ン/MCチョン・ティンフー/ステフィー・タン/チャン・ファイホン/エモーション・チョン/ロナルド・チェン/ジョー・コク/ラム・イウセン |
| 製作 | Head Office Film Limited |
| 配給 | One Cool Pictures Limited(香港)/サロンジャパン(日本) |
あらすじ
26歳のジョーは定職に就けず、生活にも困る中で見つけた高収入の仕事をきっかけにロマンス詐欺グループへ加わる。嘘をつく才能を見込まれた彼は、「55歳のフランス人石油エンジニア・アラン」という架空の人物を演じ、マッチングアプリを通して女性へ接触することになる。
ターゲットとなったのは52歳の産婦人科医ベロニカ。夫を亡くして以来孤独を抱える彼女もまた、アプリ上では25歳の看護師と身分を偽っていた。ジョーはベロニカの好みや過去を調べながら理想の男性を演じ、彼女から送金を引き出していく。
しかし、やり取りを重ねるにつれて、単なる詐欺師と被害者では割り切れない感情が二人の間に生まれていく。やがてジョーは、ベロニカの思い出の土地である札幌へと彼女を誘い出す。
主な登場人物(キャスト)
ベロニカ(サンドラ・ン):52歳の産婦人科医。夫を亡くしてから孤独な時間を過ごしており、マッチングアプリには「25歳の香港人看護師」として登録する。そこで“アラン”と出会い、オンライン上の恋愛へ深く入り込んでいく。
ジョー(MCチョン・ティンフー):26歳の青年。定職に就けない生活の末にロマンス詐欺グループへ入り、「55歳のフランス人石油エンジニア・アラン」を演じてベロニカへ接触する。
ジョアン(ステフィー・タン):詐欺グループで“脚本”を担当する女性。かつてテレビ局で脚本統括を務めており、ジョーにアランという人物設定を与え、ターゲット攻略のシナリオを組み立てていく。
ホワイト氏(チャン・ファイホン):ジョーを詐欺の世界へ引き入れるロマンス詐欺グループの中心人物。ジョーの即興的に嘘を組み立てる能力を評価する。
作品の魅力解説
「詐欺師と被害者」だけでは終わらないロマンス詐欺映画
題材となるのは現代社会で深刻な問題となっているロマンス詐欺。しかし本作は犯罪の手口や犯人追跡だけを描くサスペンスではなく、詐欺をする側と騙される側の両方へ視点を置いた恋愛映画として物語を組み立てている。
ジョーにとってベロニカは金を引き出すためのターゲットであり、ベロニカが愛している“アラン”という男性は存在すらしていない。それでも毎日の会話や互いへの気遣いを積み重ねるうち、そこに生まれた感情まで完全な偽物と言えるのかという問いが浮かび上がってくる。
騙される側も自分を偽っているという二重構造
興味深いのは、身分を偽っているのが詐欺師のジョーだけではないこと。52歳のベロニカも、マッチングアプリでは自分を25歳の看護師として登録している。
年齢、職業、名前、写真、人生経験。オンライン上では互いに現実とは異なる人物を演じながら、それでも会話の中では本心を打ち明けていく。「プロフィールは嘘でも、そこで感じた気持ちまで嘘なのか」という矛盾が、本作の恋愛ドラマとしての核になっている。
オンラインの恋が香港から札幌へ飛び出していく
物語の重要な舞台として登場するのが札幌。画面越しにしか存在しなかった二人の関係が、ベロニカの思い出をたどる旅を通して現実の場所へ接続していく。
香港の都市生活と北海道の風景を行き来しながら、孤独、老い、恋愛への期待、そして誰かに必要とされたいという感情を描いている点も特徴。ホー・ミウケイにとって本作は長編監督デビュー作で、香港の若手映画作家を支援する「首部劇情電影計劃(First Feature Film Initiative)」から生まれた作品でもある。
