二大怪獣のプロレス勃発! 『キングコング対ゴジラ』解説|どんな映画?あらすじ・キャスト・魅力・レビューまとめ

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『キングコング対ゴジラ』より ©1962 TOHO CO., LTD.

映画『キングコング対ゴジラ』(1962)を紹介&解説。


映画『キングコング対ゴジラ』概要

映画『キングコング対ゴジラ』は、本多猪四郎監督が、アメリカの怪獣キングコングと日本のゴジラを激突させたSF怪獣映画。製薬会社の宣伝部長が視聴率獲得のため巨猿を日本へ運ばせ、二大怪獣の対決を招く。

東宝創立30周年を飾るカラー・ワイド作品で、特技監督は円谷英二。主演は高島忠夫、共演に佐原健二、藤木悠、浜美枝、有島一郎ら。

作品情報

日本版タイトル 『キングコング対ゴジラ』
英題 King Kong vs. Godzilla
製作年 1962年
日本公開日 1962年8月11日
ジャンル SF/アクション/コメディ
製作国 日本
原作 無
上映時間 97分
監督 本多猪四郎
特技監督 円谷英二
脚本 関沢新一
製作 田中友幸
影 小泉一
編集 兼子玲子
作曲 伊福部昭
出演 高島忠夫/佐原健二/藤木悠/浜美枝/有島一郎/若林映子/田崎潤/平田昭彦/根岸明美/小杉義男/大村千吉/松村達雄/広瀬正一/中島春雄
製作 東宝
配給 東宝(日本)/ユニバーサル・ピクチャーズ(米国・1963年再編集版)

あらすじ

北極海の氷山からゴジラが復活し、日本へ向かう。同じ頃、製薬会社の宣伝部長・多胡は視聴率を上げようと、桜井と古江を南海のファロ島へ派遣。ふたりは島民が神として崇めるキングコングを発見し、日本へ運ぼうとする。ところが、巨猿が輸送中に脱走し、ゴジラとの衝突が迫る。

主な登場人物(キャスト)

桜井修(高島忠夫):テレビ局「TTV」のカメラマン。パシフィック製薬の多胡部長の依頼で同僚の古江とともにファロ島へ向かい、キングコングを発見する。帰国後はコングにさらわれた妹・ふみ子の救出作戦に協力し、ゴジラとの最終決戦も見届ける。

多胡部長(有島一郎):パシフィック製薬の宣伝部長。自社提供のテレビ番組の視聴率を上げるため、桜井らをファロ島へ派遣する。発見されたキングコングを宣伝に利用しようと日本への輸送を推し進め、騒動の発端を作る。

古江金三郎(藤木悠):テレビ局「TTV」の局員で、桜井修の同僚。多胡部長の企画により桜井とともにファロ島へ派遣され、キングコングを発見する。当初は取材に乗り気だったが、現地の過酷な環境や怪獣の出現に恐怖し、帰国を望むようになる。弱気な性格と桜井とのコミカルな掛け合いが特徴。

桜井ふみ子(浜美枝):テレビ局員・桜井修の妹で、技術者・藤田一雄の恋人。ゴジラによる船舶事故で藤田の安否を案じ、彼を捜す途中で自身も危機に陥る。後にキングコングにさらわれて国会議事堂へ連れ去られるが、兄たちの救出作戦によって生還する。

藤田一雄(佐原健二):東京製綱に勤める技術者で、桜井ふみ子の恋人。特殊繊維の試験に向かった船が遭難し、死亡したと思われるが、実際には難を逃れていた。ゴジラやキングコングの脅威からふみ子を救い、終盤には特殊繊維を利用したキングコングの空輸作戦にも協力する。

ファロ島民(小杉義男/根岸明美ほか):南海のファロ島に暮らし、キングコングを「巨大なる魔神」として崇拝する人々。島を訪れた桜井たちと接触し、大ダコの襲撃からキングコングに救われる。島民たちが作る木の実の汁や儀式の歌は、キングコングを眠らせる重要な手段となる。

キングコング(スーツアクター:広瀬正一):南海のファロ島に生息し、島民から「巨大なる魔神」として崇拝される巨大な猿の怪獣。集落を襲う大ダコを撃退するが、パシフィック製薬の宣伝目的で捕獲され、日本へ連れ出される。脱走後はゴジラと激突し、電気を吸収する能力で死闘を繰り広げる。

ゴジラ(スーツアクター:中島春雄):北極海の氷山から復活した巨大怪獣。強力な放射熱線を吐き、日本へ上陸して各地に被害をもたらす。キングコングとの初戦では圧倒的な強さを見せるが、落雷によって強化されたコングとの再戦では再度激しい死闘を展開する。

作品の魅力解説・レビュー

二大怪獣が繰り広げる、プロレスのような格闘戦

本作最大の見どころは、やはりキングコングとゴジラという二大怪獣が真正面から激突する格闘戦にあるだろう。ゴジラシリーズ第3作にして、シリーズ初のカラー作品となった本作は、1954年の『ゴジラ』を覆っていた重苦しい恐怖の色調から大きく舵を切り、娯楽性を前面に押し出している。

怪力を武器に肉弾戦を挑むキングコングと、放射熱線で応戦するゴジラ。両者の戦いは、さながら巨大怪獣同士によるプロレスの趣を帯びており、技の応酬そのものが見せ場として成立している。

また、「化け物に対抗するには、別の化け物をぶつければいい」という単純明快な構造も、本作を特徴づける要素のひとつだ。複雑なドラマを期待して臨むよりも、二大怪獣の衝突を気楽に味わうべき作品といえる。

1933年版『キング・コング』へのオマージュを思わせる描写

本作には、怪獣同士の対決にとどまらず、映画『キング・コング』(1933)を想起させる場面も盛り込まれている。とりわけ印象深いのは、キングコングが桜井ふみ子をさらい、国会議事堂へとよじ登っていく場面だ。巨大な猿が女性を連れ去り、高層建築物の頂を目指すという構図は、オリジナル版においてキングコングがアン・ダロウを抱えてエンパイア・ステート・ビルを登る名場面と明確に重なり合う。

さらに、南海の孤島で神のように崇められていたキングコングが、人間の手によって捕獲され、文明社会へと連れ出されていくという筋立てにも、オリジナル版との共通点が見て取れる。こうした描写の端々からは、原典に対する作り手の敬意と愛着がうかがえる。

視聴率至上主義への風刺と、掘り下げ不足の人間ドラマ

怪獣映画としての娯楽性の裏側で、本作は視聴率や宣伝効果を何より優先するテレビ業界、ひいては企業社会への風刺も織り込んでいる。その象徴となるのが、パシフィック製薬の多胡部長だ。彼は自社がスポンサーを務める番組の視聴率を稼ぐため、キングコングを広告塔として利用しようと奔走する。巨大な怪獣すらも商業的な見世物へと変えてしまおうとするその姿勢は、当時のマスメディアに対する痛烈な皮肉として機能している。

もっとも、こうしたテーマの面白さに比して、人間ドラマの掘り下げは十分とは言い難い。

ふみ子と藤田の恋愛関係や、キングコングを文明社会へ連れ出した人間たちが負うべき責任など、物語として発展させうる要素は確かに存在する。しかし本作は、それぞれの葛藤や関係性を深く描くことよりも、怪獣同士の対決へ向けて物語を推し進めることを優先している印象が拭えない。

明確な娯楽作品としての方向性は理解できるものの、人物造形や主題にもう一歩踏み込んでいれば、作品により厚みが生まれていたのではないだろうか。

人種的なステレオタイプと、現代では笑いづらいコメディ

一方で、現代の視点から見ると看過しがたい問題も抱えている。とりわけファロ島民の描写には、人種的なステレオタイプが色濃く刻まれている。日本人俳優が肌を黒く塗って南洋の島民を演じる表現や、島民たちを一面的かつ過剰に異国情緒を帯びた存在として扱う演出は、差別的な表象として批判を免れないものだろう。1962年という製作当時の文化的背景を考慮する必要はあるが、時代の産物であるという事情だけで問題が解消されるわけではない。

また、作品全体に散りばめられたコメディ要素も、評価が分かれるところだろう。多胡部長の大仰な振る舞い、桜井と古江の軽妙なやり取り、ダジャレめいたセリフの数々など、笑いを狙った場面は枚挙にいとまがない。しかし個人的には、これらのギャグの大半が笑いに結びつかず、むしろ空回りしているように感じられた。当時の観客には好意的に受け入れられた笑いなのかもしれないが、少なくとも現代、筆者の感覚には響かなかった。

二大怪獣によるプロレスさながらの格闘戦を存分に楽しめる一方で、人間ドラマの浅さ、古びた笑い、そして人種表現の問題が少なからず引っかかる。魅力と瑕疵がはっきりと同居した一作だ。

簡易ストーリー解説(ネタバレ)

起

北極海の氷山からゴジラが復活し、原子力潜水艦を襲撃して日本へ向かう。一方、パシフィック製薬の宣伝部長・多胡は、低迷するテレビ番組の視聴率を上げるため、テレビ局員の桜井修と古江金三郎を南海のファロ島へ派遣。ふたりは島民から神として崇拝されるキングコングを発見する。

コングは集落を襲った大ダコを撃退するが、島特有の木の実の汁を飲んで眠り込み、宣伝に利用しようとする多胡の計画によって日本へ運ばれる。

承①

その頃、桜井の妹・ふみ子は、恋人で技術者の藤田一雄が乗った船の遭難を知り、彼の安否を確かめようと北海道へ向かう。しかし、ゴジラの接近で避難を余儀なくされ、命の危機に陥る。そこへ、船の沈没前に下船していた藤田が駆けつけ、ふたりは無事に再会する。

一方、日本への輸送中に目覚めたキングコングは脱走し、ついにゴジラと激突。放射熱線に圧倒され、初戦では敗走する。

承②

日本各地で怪獣による被害が拡大するなか、自衛隊は高圧電線でゴジラの進撃を阻止しようとする。しかし、キングコングは逆に電気を吸収して強化され、東京へ侵入。避難中のふみ子を電車からさらい、国会議事堂へ登ってしまう。

ふみ子を救うため、桜井たちはファロ島の木の実から作った麻酔と島民の歌を利用する作戦を実行。キングコングを眠らせ、藤田らはふみ子の救出に成功する。

転

自衛隊はゴジラとキングコングを共倒れさせるため、両怪獣を戦わせる作戦を決行する。藤田が開発に携わった特殊繊維と巨大な気球を使い、眠ったキングコングを富士山麓のゴジラのもとへ空輸。再び始まった戦いではゴジラが圧倒的な強さを見せ、コングを追い詰める。

しかし、落雷によって電気を吸収したキングコングが復活し、形勢は逆転。両怪獣は激しい死闘を繰り広げる。

結

戦いは熱海へと移り、ゴジラとキングコングは熱海城を破壊しながら海中へ転落する。しばらくして海面に現れたのはキングコングだけだった。コングは故郷のファロ島へ向かって泳ぎ去り、人間たちも追跡を断念する。

一方、ゴジラは最後まで姿を現さず、その生死は不明のまま。主要な人間キャラクターたちは生き延び、二大怪獣の決戦は明確な勝敗が示されないまま幕を閉じる。

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