映画『カンダハル 突破せよ』(2022)を紹介&解説。
映画『カンダハル 突破せよ』概要
映画『カンダハル 突破せよ』は、リック・ローマン・ウォー監督(『エンド・オブ・ステイツ』『グリーンランド―地球最後の2日間―』)が放つ、骨太で緊迫感あふれるスパイアクション。潜入任務の機密が漏れたCIA工作員が、執拗な追っ手をかわしアフガニスタン南部カンダハルの救出地点を目指す。主演はジェラルド・バトラー、共演にナヴィド・ネガーバン、アリ・ファザル。
作品情報
日本版タイトル:『カンダハル 突破せよ』
原題:Kandahar
製作年:2022年
日本公開日:2023年10月20日
ジャンル:アクション/スリラー
製作国:イギリス
原作:無(脚本家ミッチェル・ラフォーチュンのアフガニスタン赴任経験に着想)
上映時間:119分
監督:リック・ローマン・ウォー
脚本:ミッチェル・ラフォーチュン
製作:ベイジル・イワニク/エリカ・リー/ブランドン・ボイア/ジェラルド・バトラー/アラン・シーゲル/クリスチャン・メルクリ/スコット・ラスタイティ/アリ・ジャファー
撮影:マクレガー
編集:コルビー・パーカー・ジュニア
作曲:デヴィッド・バックリー
出演:ジェラルド・バトラー/ナヴィド・ネガーバン/アリ・ファザル/バハドール・フォラディ/ニーナ・トゥーサン=ホワイト/トラヴィス・フィメル/トム・リス・ハリーズ/ヴァシリス・コウカラニ/マーク・アーノルド/コーリー・ジョンソン
製作:MBCスタジオ/キャップストーン・ピクチャーズ/サンダー・ロード・フィルムズ/G-ベース・フィルム・プロダクション
配給:オープン・ロード・フィルムズ/クロックワークス(日本)
あらすじ
現代の中東。CIAの潜入工作員トムは、イランの核施設を破壊する極秘任務を遂行していた。だが作戦の情報が漏えいし、身元を知られたトムは敵対勢力や諜報機関に追われる身となる。現地通訳とともに、追跡をかわしながら救出地点カンダハル空港を目指す危険な脱出行が始まる。
主な登場人物(キャスト)
トム・ハリス(ジェラルド・バトラー):CIAの潜入工作員。イランの核施設を破壊する極秘任務を遂行するが、作戦の情報が漏えいしたことで身元が暴かれ、敵対勢力に追われる身となる。生き延びるため、アフガニスタン南部のカンダハル空港にある救出地点を目指す。
モハメド・“モー”・ドゥード(ナヴィド・ネガーバン):トムに同行する現地通訳。複雑な政治状況の中でトムを支えながら、危険な脱出行に身を投じる。
簡易レビュー・解説
中東情勢を背景にしたサバイバル型スパイアクションである。潜入任務が露見し、敵対勢力に追われるCIA工作員が脱出地点を目指すというシンプルな構図ながら、現地の政治的緊張や諜報機関同士の駆け引きを絡め、緊迫感のある展開を描く。
監督は『グリーンランド―地球最後の2日間―』などで知られるリック・ローマン・ウォー。主演のジェラルド・バトラーとは複数作で組んできたコンビで、本作でも身体性を生かしたリアル志向のアクションが特徴となっている。
脚本は元軍事情報関係者でありアフガニスタンでの軍事情報活動の経験を持つミッチェル・ラフォーチュンの経験に着想を得たもので、現地の複雑な勢力関係や諜報活動の裏側を意識した設定が盛り込まれている。リアルゆえのテンポの悪さが若干冗長に感じられる一面もあるが、戦場のスペクタクルだけでなく、追跡と逃走を軸にした諜報サスペンスとしての側面も強い印象的な作品である。
作品テーマ解説
本作の中心にあるのは、現代の中東情勢を背景にした「諜報戦の現実」と「任務と人間性の葛藤」である。主人公トムは国家のために秘密作戦を遂行するCIA工作員だが、任務が露見した瞬間、国家は彼を守れない立場に置かれる。作品は、国家の利益のために動くエージェントが、最終的には孤立した状況で自らの判断だけを頼りに生き延びなければならないという、諜報活動の過酷さを描いている。
もうひとつの軸となるのが、異なる文化や立場を超えた「信頼関係」である。トムと通訳モーは、出身も宗教も異なるが、危険な逃走の中で互いに命を預ける関係へと変化していく。敵対勢力や国際政治が入り乱れる状況の中で、個人同士の信頼が生存の鍵となる点は、本作の重要なテーマとなっている。
作品トリビア
脚本は軍事情報将校の実体験に着想を得ている
脚本を手がけたミッチェル・ラフォーチュンは、元アメリカ国防情報局(DIA)関係者で、アフガニスタンに派遣されていた経験を持つ人物である。本作の物語は、彼が中東地域での任務中に経験した出来事や諜報活動の実態をもとに着想を得ている。
『エンド・オブ・ステイツ』『グリーンランド』に続くコンビ作
主演のジェラルド・バトラーと監督リック・ローマン・ウォーは、本作で3度目のタッグとなる。両者は『エンド・オブ・ステイツ』(2019)と『グリーンランド―地球最後の2日間―』(2020)でも組んでおり、アクション映画での継続的なコラボレーションとして知られている。
サウジアラビアで大規模ロケが行われた作品
映画の主要撮影はサウジアラビアで実施され、特にアル・ウラーなどの砂漠地帯が舞台として使用された。
ライター/エディター/映画インスタグラマー。2019年に早稲田大学法学部を卒業。東京都職員として国際業務等を経験後、ライター業に転身。各種SNS(Instagram・X)やYouTubeチャンネル「cula 見て聞く映画マガジン(旧:アルテミシネマ)」においても映画や海外ドラマ、音楽といったカルチャーに関する情報レビューを発信している。
