映画『G.I.ジョー』(2009)を紹介&解説。
映画『G.I.ジョー』概要
映画『G.I.ジョー』は、『ハムナプトラ』シリーズのスティーヴン・ソマーズ監督が手がけた、近未来を舞台にしたSFミリタリーアクション大作。世界各地を舞台に、混乱を招くナノマシン兵器を巡り、最新兵器を駆使する機密特殊部隊G.I.ジョーと悪の組織コブラの壮絶な激闘を描く。出演はチャニング・テイタム、マーロン・ウェイアンズ、デニス・クエイドら。
作品情報
日本版タイトル:『G.I.ジョー』
原題:G.I. Joe: The Rise of Cobra
製作年:2009年
日本公開日:2009年8月7日
ジャンル:SF/ミリタリー/アクション
製作国:アメリカ
原作:玩具「G.I. Joe」に基づく
上映時間:118分
次作:『G.I.ジョー バック2リベンジ』
監督:スティーヴン・ソマーズ
脚本:スチュアート・ビーティー/デヴィッド・エリオット/ポール・ラヴェット
製作:ロレンツォ・ディ・ボナヴェンチュラ/ブライアン・ゴールドナー/ボブ・ダクセイ
製作総指揮:ゲイリー・バーバー/ロジャー・バーンバウム/エリック・ハウサム/デヴィッド・ウォマーク/スティーヴン・ソマーズ
撮影:ミッチェル・アムンゼン
編集:ボブ・ダクセイ/ジム・メイ
作曲:アラン・シルヴェストリ
出演:チャニング・テイタム/マーロン・ウェイアンズ/デニス・クエイド/シエナ・ミラー/レイチェル・ニコルズ/イ・ビョンホン/ジョセフ・ゴードン=レヴィット
製作:パラマウント・ピクチャーズ/スパイグラス・エンターテインメント/ハズブロ・スタジオズ/ディ・ボナヴェンチュラ・ピクチャーズ/ザ・ソマーズ・カンパニー
配給:パラマウント・ピクチャーズ
あらすじ
近未来。各国の精鋭で構成された極秘部隊G.I.ジョーが、国際的な軍需企業と対峙する任務に就く。最新ナノマシン兵器を狙う謎の武装組織コブラが出現し、世界規模の危機が勃発する。隊員たちは各地で戦いを繰り広げながら、その背後に潜む陰謀の核心へと迫っていく。
主な登場人物(キャスト)
デューク/コンラッド・S・ハウザー(チャニング・テイタム):アメリカ陸軍出身の兵士。任務中の戦闘をきっかけに極秘部隊G.I.ジョーへ加わり、現場の中心人物として活躍する。過去に“バロネス”ことアナと恋人関係にあった。
リップコード/ウォレス・ウィームズ(マーロン・ウェイアンズ):デュークの相棒である陽気な兵士。G.I.ジョー加入後は高性能スーツなどを駆使し、戦闘や航空任務で活躍する。
ホーク将軍/クレイトン・M・アバーナシー(デニス・クエイド):G.I.ジョーを統率する司令官。豊富な経験をもとに部隊全体の作戦を指揮するリーダー的存在。
バロネス/アナスタシア・“アナ”・デコブレイ(シエナ・ミラー):コブラに属する女性戦士。高い戦闘能力を持ち、ナノマシン兵器を巡る計画の中核を担う。デュークの過去と深く関わる。
スカーレット/シャナ・M・オハラ(レイチェル・ニコルズ):G.I.ジョーの女性隊員。多言語に精通し、戦術・情報分析の両面でチームを支える知性派戦士。
ストームシャドー/トーマス・アラシカゲ(イ・ビョンホン):コブラ側の忍者戦士。剣術に優れ、スネークアイズと同門の過去を持つ因縁の人物。
ドクター/レックス(ジョセフ・ゴードン=レヴィット):ナノマシン技術を操る科学者。かつてはデュークと同じ部隊に所属していたが、現在はコブラの中核として暗躍する。
スネークアイズ(レイ・パーク):G.I.ジョーに所属する寡黙な忍者戦士。高度な格闘能力を持ち、ストームシャドーとは過去に深い関係を持つ。
デストロ/ジェームズ・マッカレン(クリストファー・エクルストン):軍需企業M.A.R.S.のトップを務める武器開発者で、ナノマシン兵器の開発を主導する実業家。表向きは各国に兵器を供給する企業人でありながら、その裏ではコブラと結託し、世界規模の混乱を引き起こす計画を進める。
簡易レビュー・解説
玩具シリーズを原作とした本作は、近未来兵器や国際機密部隊といった設定を前面に押し出したSFミリタリーアクションである。ナノマシン兵器という当時の先端技術をモチーフに、世界各地を舞台にしたスケールの大きな戦闘が展開される。
監督のスティーヴン・ソマーズらしいスピード感のある演出や、誇張されたアクション、個性的なキャラクター造形が特徴で、リアリズムよりも娯楽性を重視した作風が貫かれている。
CGのクオリティは、同時期に公開された他作品と比較しても少々低い。走るシーン、車をかすめながらのジャンプ、高層ビルから数フロア下のビルへ腕一本で捕まるシーンなど、本来なら手に汗握るはずのアクションシーンが、重さや威力が伝わりにくく、少々弱めになっていることは否めない。
G.I.ジョーとコブラという善悪構造を軸にしながら、登場人物同士の過去の因縁や関係性も物語に織り込まれており、単なるアクションにとどまらないドラマ性も備えようとした点が認められるが、セリフの説明過多さや、ストーリーを強引に進めるためだけの取ってつけたような展開がノイズになりかねない1作ではある。
内容(ネタバレ)
ナノマシン兵器を巡る襲撃とG.I.ジョーへの加入
物語は17世紀のフランスで、後にコブラと関わる一族の過去が描かれる場面から始まる。その後、時代は近未来へと移り、アメリカ陸軍のデュークとリップコードは、ナノマシン弾頭の護送任務に就く。だが輸送中、バロネス率いる武装部隊の襲撃を受け、部隊は壊滅。窮地に陥ったふたりは、突如現れた極秘部隊G.I.ジョーに救出される。彼らはそのまま基地へと導かれ、精鋭チームへの参加を打診される。
コブラの暗躍と隊員たちの過去
G.I.ジョーの基地では、ホーク将軍の指揮のもと各国の精鋭が集結しており、デュークとリップコードは訓練を受けながらチームの一員として認められていく。一方で、襲撃を指揮していたバロネスが、かつてデュークの恋人であったことが明らかになり、彼の過去が浮かび上がる。また、敵側ではナノマシン技術を操る科学者ドクターが暗躍し、武器企業を巻き込みながら世界規模の計画を進行させていることが示される。
追跡作戦と拡大する戦い
G.I.ジョーは奪われた弾頭の行方を追い、世界各地でコブラとの戦闘を繰り広げる。加速スーツを用いた市街地での追跡戦など、ハイテク装備を駆使した戦闘が展開される中、リップコードやスカーレットらも実戦で頭角を現していく。やがて、コブラの背後にある組織的な陰謀と、その中心にいる人物の存在が徐々に明らかになっていく。
コブラの計画と“ドクター”の正体
G.I.ジョーは弾頭の行方を追う中で、武器企業を率いるデストロと、背後で暗躍する科学者ドクターの存在に迫る。やがてドクターの正体が、かつてデュークと同じ部隊に所属していたレックスであることが判明する。彼は過去の事故によって重傷を負い、その経験をきっかけに思想を歪め、ナノマシン技術を用いた新たな秩序の構築を目論むようになっていた。
ナノマシン弾頭の発射と世界的危機
コブラは奪取したナノマシン弾頭を用い、世界的な混乱を引き起こそうとする。弾頭は発射され、大都市を標的に被害が拡大していく。G.I.ジョーはこれを阻止すべく総力戦に突入し、各地で激しい戦闘が展開される。デュークはかつての仲間であるレックスと対峙し、彼の暴走を止めようと試みる。
決戦とその後
最終的にG.I.ジョーはコブラの計画を阻止し、弾頭の脅威も食い止めることに成功する。レックスは拘束されるが、コブラの指導者としての存在が示唆され、物語に新たな火種を残す形となる。また、バロネスことアナも確保されるが、デュークとの関係には複雑な余韻が残される。戦いは一旦の終結を迎えるものの、コブラの脅威は完全には消えていないことが示され、続編へとつながる結末となっている。
作品トリビア
玩具原作の“実写化戦略”の初期成功例
本作はHasbroの玩具「G.I. Joe」を原作とする映画で、『トランスフォーマー』に続く“玩具IP映画化路線”の重要作品のひとつ。以降のハリウッドにおけるIP戦略の流れを加速させた一作として位置づけられている。
ジョセフ・ゴードン=レヴィットはほぼ素顔が出ない
ジョセフ・ゴードン=レヴィットはドクター役で出演しているが、劇中の大半でマスクや特殊メイクに覆われており、本人の顔がはっきり確認できる場面は限られている。声や演技も加工が加えられている。
パリでの追跡シーンは大規模VFXの象徴
加速スーツによるパリ市街地での追跡シーンは、本作を代表するアクション。実写とCGを組み合わせた大規模VFXが用いられており、当時のハリウッドにおけるデジタルアクションの進化を象徴する場面とされる。
ストームシャドー役は国際的キャスティング
イ・ビョンホンの起用は、ハリウッド大作におけるアジア俳優の存在感が高まる流れの中でのキャスティング。以降のグローバル市場を意識した配役の一例ともいえる。
続編を前提とした構造
本作は単体完結というよりもシリーズ化を前提とした設計になっており、ラストではコブラ側の再編や新たな対立の火種が明確に残されている。実際に続編『G.I.ジョー バック2リベンジ』(2013)へとつながっている。
ライター/エディター/映画インスタグラマー。2019年に早稲田大学法学部を卒業。東京都職員として国際業務等を経験後、ライター業に転身。各種SNS(Instagram・X)やYouTubeチャンネル「cula 見て聞く映画マガジン(旧:アルテミシネマ)」においても映画や海外ドラマ、音楽といったカルチャーに関する情報レビューを発信している。
