俳優クリステン・スチュワートが、トランプ2期目を背景にアメリカを離れる可能性について語った。
俳優で映画監督のクリステン・スチュワートが、ドナルド・トランプ氏の2期目の大統領任期中に、アメリカ合衆国から移住する可能性を示唆した。英『タイムズ・オブ・ロンドン』紙のインタビューで、現在のアメリカにおける創作環境や政治状況について率直な思いを語っている。
「自由に仕事ができない」―アメリカに留まらない可能性
同インタビューで、現在ロサンゼルスとニューヨークを拠点に生活しているスチュワートは、アメリカに今後も留まるかどうかを問われ、「たぶん留まらないと思うよ」と率直に答えた。その理由については、「あそこでは自由に仕事ができないんだ」と語り、現在の状況が自身の創作活動に制限を与えているとの認識を示している。一方で、「でも完全に諦めたくはないよね」とも述べ、アメリカという場所そのものを否定しているわけではないことも強調した。
ヨーロッパでの制作に言及「完全に諦めたいわけではない」
スチュワートは、アメリカを離れる可能性に言及しつつも、創作活動そのものを手放す考えはないことを強調している。国外での制作について触れ、「ヨーロッパで映画を作って」と述べた上で、それを「アメリカ人の喉に押し込みたいんだ」と語り、場所を変えても表現を発信し続ける意志を示した。
トランプ政権下の現状と、過去にも向けた批判的姿勢
インタビューの中でスチュワートは、ドナルド・トランプ政権下のアメリカの状況についても言及した。「トランプの下では現実が完全に崩壊しつつあるよ」と述べ、現在の政治的環境に強い危機感を示している。一方で、単なる悲観にとどまるのではなく、「私たちは彼のやり方を見習って、自分たちが生きたい現実を創造すべきだよね」とも語り、創作や行動を通じて主体的に現実を形作る必要性を訴えた。
クリステン・スチュワートは、トランプ氏が大統領選に出馬する以前から、その言動を巡って注目を集める出来事を経験している。2012年、トランプ氏は当時のTwitter(現X)上で、スチュワートとロバート・パティンソンの関係について言及。浮気報道と公の破局を経て復縁したという憶測をめぐり、パティンソンに対し、スチュワートと復縁すべきではないと発言した。この一件は、後にスチュワートがトランプ氏に対して率直な立場を示してきた背景のひとつとして知られている。
もしスチュワートが、妻で脚本家のディラン・メイヤーと共に海外へ移住することになれば、トランプ政権下の政治情勢を背景にアメリカを離れた著名人たちの動きと重なることになる。近年では、エレン・デジェネレスやロージー・オドネル、ジェームズ・キャメロンらが国外での生活を選択しており、スチュワートの発言もそうした流れの中で受け止められている。
関税への懸念と初監督作の制作背景
スチュワートはインタビューの中で、アメリカ国外で製作された映画に対する大統領の継続的な関税の脅威についても反応している。『スペンサー ダイアナの決意』で主演を務めた俳優は、そうした動きを業界にとって「恐ろしいもの」だと表現した。さらに、自身の長編監督デビュー作である『The Chronology of Water(原題)』をラトビアで撮影した理由についても触れ、「アメリカでやるのは不可能だっただろうから」と語り、制作環境の違いが作品の実現に直結していたことを明かしている。
『The Chronology of Water(原題)』は、作家リディア・ユークナヴィッチの回顧録を原作とし、虐待的な幼少期から逃れようとする主人公リディアの混沌とした人生を描いている。競泳や性的実験、有毒な人間関係、依存症へと身を委ねながらも、やがて執筆を通じて自らの声を見つけていく過程が描かれる。本作は、スチュワートにとって初の長編監督作品であり、彼女自身が語る創作環境への問題意識や、表現への強い意志を反映した一本となっている。


