【インタビュー/穂志もえか】『Never After Dark/ネバーアフターダーク』愛里の孤独と“人間の怖さ”、俳優兼プロデューサーとしての賀来賢人について

【インタビュー/穂志もえか】『Never After Dark/ネバーアフターダーク』愛里の孤独と“人間の怖さ”、俳優兼プロデューサーとしての賀来賢人について INTERVIEWS
穂志もえか © cula

映画『Never After Dark/ネバーアフターダーク』愛里役の穂志もえかにインタビュー!


2026年6月5日(金)公開の『Never After Dark/ネバーアフターダーク』は、「忍びの家 House of Ninjas」(24)で注目を集めた賀来賢人とデイヴ・ボイル監督が共同で映像製作会社「SIGNAL181」を立ち上げ、その劇場映画第1作として送り出す作品。霊媒師一家に生まれた愛里と、ある事件によって霊となった姉・美玖が、人里離れた洋館に巣食う亡霊と、その背後に隠された真実に向き合っていくホラー作品である。

愛里を演じるのは、「SHOGUN 将軍」(24)での繊細な存在感も記憶に新しい穂志もえか。霊と交信する力を持ちながらも、ただ恐怖に怯えるのではなく、孤独や喪失、他者に理解されない痛みを内に抱えた人物として、物語に静かな緊張感をもたらしている。

culaでは穂志もえかに単独インタビューを実施。デイヴ・ボイル監督との役作り、賀来賢人との共演、そして愛里という人物の核などについて話を聞くことができた。(取材・文・写真:cula編集長 ヨダセア)

『Never After Dark/ネバーアフターダーク』愛里役・穂志もえか インタビュー

【インタビュー/穂志もえか】『Never After Dark/ネバーアフターダーク』愛里の孤独と“人間の怖さ”、俳優兼プロデューサーとしての賀来賢人について

穂志もえか © cula

穂志さんが『Never After Dark/ネバーアフターダーク』で演じた愛里は、霊媒師でありながら、いわゆる“恐怖に怯える人”ではなく、自分のルールや強さを持った人物に見えます。最初に脚本を読んだとき、作品や愛里というキャラクターのどのような部分に惹かれましたか。

穂志もえか(以下、穂志):最初に読んだときは、物語全体にどこかファンタジーのような印象を受けていました。なので、愛里がどうやってリアリティを持ってこの世界を生きられるのかな、ということを考えたんです。そこでデイヴ監督に、「この作品で伝えたいことは何か、それから、この作品を作るに至った経緯やきっかけがあれば教えてください」と聞きました。そうしたら、彼の人生の中でこういうことがあって、それを通してこういうことを伝えたいんだ、と本当にこと細かく、丁寧に返してくれたんです。

それを踏まえた上で、もう一度脚本を読んでみたら、テーマが一貫して流れていることが見えてきました。それを理解した上だと、私も想いを乗せられるし、デイヴが伝えたいことにも共感できたので、一緒にやっていけそうだなと思ったのを覚えています。裏にあるテーマをしっかり把握できているかどうかで、印象が変わる作品だと思っています。

デイヴ監督からはどんな話を?

穂志:彼の人生の中で実際にあった出来事・事件のようなものを通して生まれた本作で、「人間が一番怖いんじゃないか」ということを描きたいと話してくれました。愛里たちは目に見えない存在に対して祈りを捧げながら生きています。でも、それ以上に「現実と向き合うことが大事なんじゃないか」ということを伝えたいと。終盤の危機を通してもそれが描かれていますよね。

【インタビュー/穂志もえか】『Never After Dark/ネバーアフターダーク』愛里の孤独と“人間の怖さ”、俳優兼プロデューサーとしての賀来賢人について

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デイヴ・ボイル監督は、日本を舞台にした作品を手がけてきた監督でもあります。愛里という人物について、監督とはどのような会話を重ねましたか。

穂志:作品にかける思いから始まって、愛里という役の生い立ちや、今どういう人格になっているのかを話しました。それから、お姉ちゃんとの関係性や、儀式中には何が見えているのか、どんな感覚なのかも共有しました。“ベール”の向こう側で起こったことが、現実にどのくらい干渉するのか。例えば、向こう側で腕をつかまれたら、現実の私にもあざが残っているのか、というような細かい設定についても話しました。

穂志:そういった共有ができていたからこそ、疑問をあまり持たずに、その世界の中で息づくことができたと思います。デイヴ監督はディスカッションがすごく好きで、「聞いてきてくれた方が助かる」というタイプでしたし、こちらのアイデアも積極的に求めてくれたので、とてもやりやすかったです。

デイヴ監督とのやりとりは、基本的には英語なんですか? 日本語も少し話されたりするのでしょうか。

穂志:私が英語を勉強中なので私に対しての演出は可能な限り英語にしてくれていました。デイヴは日本語がとても流暢なので、複雑な説明のときなどは日本語にスイッチして私に正しく伝わるようにしてくれました。

【インタビュー/穂志もえか】『Never After Dark/ネバーアフターダーク』愛里の孤独と“人間の怖さ”、俳優兼プロデューサーとしての賀来賢人について

穂志もえか © cula

本作はゴーストストーリーでありながら、家が侵略されていくというサスペンス要素もある作品です。超自然的な恐怖と、人間による恐怖の両方が描かれている作品だといえますが、愛里役を演じた穂志さんにとってそういった部分はいかがでしたか。

穂志:もともと愛里は、幽霊的なものをまったく怖がっていないんです。私たちは普段、幽霊の方が怖いと思って生きているかもしれないですけど、むしろ逆ですよね。そういう設定を深く理解して、さらに愛里のバックグラウンドや生い立ちについて聞いたうえで演じていたので、現実の問題に対する拒絶反応が強いというのは、自然と出てきたように思います。

序盤から愛里のスタンスは一貫しているというか、しっかり自分を持っているように見えます。一方で、いろんな状況に直面する中で、追い詰められていく緊張感もあったと思います。そうした愛里の強い部分と弱くなってしまう部分のバランスは、どのように作っていきましたか。

穂志:あまり意識していたわけではなくて、多分、愛里はその両方を持っているんだと思います。環境によって、どちらが強く出るかという感じでしたね。強さ、臆病さ、寂しさなど、いろいろなものを内包していて、状況によって表出するものが変わるイメージでした。自分でコントロールしていたというより、愛里の中にいろいろなものが内在しているからこそ、場面ごとに自然と出てくる感覚でした。

愛里を演じる中で、その感情のバランスが揺らいだ印象的なシーンなどはありますか。

穂志:賀来さんとふたりでお酒を飲んでいるシーンは、感情の揺れのようなものがありましたね。久しぶりに生きている人間との交流があって、少しずつガードが外れてきていたんです。でも結局、自分が変わり者扱いされていたり、信用されていないことが見えた瞬間に、孤独感や「どうせ分かってもらえないんだ」という悲しさ、怒りのようなものがパッと出てきてしまう。終盤、出来事の真相が分かったときは、恐怖のリミッターが外れたような感覚がありました。

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賀来賢人さんとの共演について伺います。俳優としての賀来さんと向き合ったとき、現場で特に印象に残っていることや、感覚はありますか。

穂志:シンプルに、ありのままで目の前に存在してくれていた感じがありました。でも、終盤で痛い目に遭うシーンの迫力は凄まじかったです。危機に陥っているときのアクションシーンもそうですけど、ものすごくリアルだなと思いました。愛里はあのシーンで隠れていたんですけど、賀来さんがリアリティのあるお芝居をしてくださったからこそ、私も緊張感を持って臨めたと思っています。

賀来さんとのお芝居では、セリフのやり取りだけでなく、疑いの目を向けられる沈黙や、緊張感のある場面もあったと思います。そうした共演シーンでは、どのようなことを意識して演じていましたか。

穂志:「何を考えているんだろう」とか、「群治は私のことを信用していないんだな」「バカにしているんだな」と感じていました。でも、「相手にしないようにしよう」とも思っていました。こちらは仕事としてやっているし、幽霊は本当に見えているので。

穂志:愛里はそういう、信じてくれない人にもたくさん会ってきたと思うんです。だから、その視線は感じつつも、「はいはい」という感じで、断ち切るようにしていました。

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スリリングなシーンが多い作品での共演だったと思うのですが、現場の空気はいかがでしたか。

穂志:撮影はほとんど、あの洋館だけで行っていました。毎日、キャストもスタッフもみんな同じホテルに泊まっていたんです。本当に山奥の閉ざされたホテルのようなロケーションで、現場までは少し離れていたんですけど、若干、合宿みたいな感じになっていました。でも、だんだんみんながその雰囲気を楽しみ出していて。オフの日は洋館の中庭でゲームをしている人がいたり、少し車で遠出している人がいたりしました。

穂志:撮影現場自体も、ナイトシフトがあったので、みんなだんだん疲れてきて、昼夜逆転もしていました。そういう撮影スケジュールの中でも、賀来さんをはじめプロデューサー陣が、本当にコンビニかと思うくらい、お茶場を充実させてくださったのもありがたかったです。多種多様なお菓子やカップ麺、栄養ドリンクなど何でもありました。

穂志:何より、デイヴ監督に対して、みんなが「監督が作りたい画を成立させるために頑張ろう」という想いを最後まで持っていたので、前向きなモチベーションが保たれる環境でした。

みなさんの人柄で、長丁場でも乗り越えられたんですね。

穂志:そうですね。意外と、超常現象的な画を作るのが楽しいという部分もあったと思います。技術部にとってもそうですし、私もそうですけど、苦労しながらもどこか楽しそうにしている人が多かった印象です(笑)

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賀来賢人さんは本作にプロデューサーとしても関わっています。俳優として共演する場面と、作品全体を支える立場としての賀来さんを見たとき、それぞれにどんな印象を持ちましたか。

穂志:本当に、「最前線にいてくれる」というイメージがありました。プロデューサーとして、ほかの製作会社と組んで作るのではなく、賀来さん自身が製作会社を立ち上げていて。そのメンバーも当時は3人くらいだったので、ものすごく風通しがよかったんです。賀来さんからは、「これは僕たちの作品だし、僕たちが全部、何でも責任を取る」という意識がひしひしと伝わってくる感じがありました。現場ファーストでいてくださったので、現場で起きている問題も掬い上げようとしてくれる気概をとても感じましたし、「本当になんでも言ってください」という言葉が嘘ではないと思えました。相談すれば一緒に悩んで考えてくれましたし、今でも、プロデューサーの賀来さんともまたお仕事してみたいと思っています。

出演もしながら、現場の空気もすごく整えていたんですね。

穂志:お忙しかったと思うんですけど、かっこつけていなかった感じがすごくよかったと思います。「プロデューサーだからできる風に見せて安心させる」ということではなくて、悩んだり、考えたりする姿勢まで、全部あけすけにそのままでいてくださって。でも同時に、「任せてください、どうにかしますんで!」という安心感もあったので、プロデューサーとしても、とてもすばらしいなと思っていました。

【インタビュー/穂志もえか】『Never After Dark/ネバーアフターダーク』愛里の孤独と“人間の怖さ”、俳優兼プロデューサーとしての賀来賢人について

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本作の愛里は、霊媒師という特殊な職業でありながら、喪失や孤独、誰かを導く責任を背負っている人物にも見えます。穂志さんは愛里の感情の核をどこに置いていましたか。

穂志:私は、意外と「寂しい」という気持ちが軸にある人物だと思いました。ああいった家系に生まれて、まず理解されない。周りとは違う、普通の子とは違うというコンプレックスもあるし、普通の子と同じような生活ができない。親とお姉ちゃんを失っているということもあります。

穂志:お姉ちゃんがそばにいてくれるから、寂しくない気がしているんですよね。でも、絶対に寂しいんです。寂しくないように振る舞っているし、お姉ちゃんにも「あっち行って」とか、「なんでまだいるの」とか言っているけれど、実際は多分、誰よりもお姉ちゃんのことを必要としていて、何よりお姉ちゃんにどこかへ行ってほしくない。そういう依存や矛盾が起こってしまうほどに、複雑で特異な人生を歩んできた人物だと思います。その寂しさが、時に暴走することもある人物だと思っています。

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穂志もえか © cula

最後に、本作を楽しみにしている観客の皆さんへメッセージをお願いします。

【動画】

ヘアメイク:渡嘉敷愛子 スタイリスト:高山エリ

衣装協力:ドレス ¥85,800(マレーラ/三喜商事 03-6426-5481)

(インタビュー以上/取材・文・写真:cula編集長 ヨダセア)

穂志もえかが愛里役で出演する映画『Never After Dark/ネバーアフターダーク』は、6月5日(金)より公開される。

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