映画『フューリー』(2014)を紹介&解説。
映画『フューリー』概要
映画『フューリー』は、デヴィッド・エアー監督(『エンド・オブ・ウォッチ』)が、第二次世界大戦末期のドイツを舞台に、1台の戦車で戦場を進む5人の米兵を描いた戦争アクションドラマ。歴戦の車長と戦闘経験のない新兵の関係を軸に、極限状態で育まれる仲間の絆と、戦争が人間の精神を変えていく過程を映し出す。主演・製作総指揮はブラッド・ピット。共演にシャイア・ラブーフ、ローガン・ラーマン、マイケル・ペーニャ、ジョン・バーンサルら。
作品情報
| 日本版タイトル | 『フューリー』 |
|---|---|
| 原題 | Fury |
| 製作年 | 2014年 |
| 本国公開日 | 2014年10月17日 |
| 日本公開日 | 2014年11月28日 |
| ジャンル | 戦争/アクション/ドラマ |
| 製作国 | アメリカ |
| 原作 | 無 |
| 上映時間 | 135分 |
| 監督・脚本 | デヴィッド・エアー |
|---|---|
| 製作 | ビル・ブロック/デヴィッド・エアー/イーサン・スミス/ジョン・レッシャー |
| 製作総指揮 | ブラッド・ピット/サーシャ・シャピロ/アントン・レッシン/アレックス・オット/ベン・ウェイスブレン |
| 撮影 | ローマン・ヴァシャノフ |
| 編集 | ドディ・ドーン |
| 作曲 | スティーヴン・プライス |
| 出演 | ブラッド・ピット/シャイア・ラブーフ/ローガン・ラーマン/マイケル・ペーニャ/ジョン・バーンサル/ジェイソン・アイザックス/スコット・イーストウッド |
| 製作会社 | コロンビア・ピクチャーズ/QEDインターナショナル/Lスター・キャピタル/ル・グリスビ・プロダクションズ/クレイヴ・フィルムズ |
| 配給 | ソニー・ピクチャーズ(アメリカ)/KADOKAWA(日本) |
あらすじ
第二次世界大戦末期の1945年4月。米軍の戦車長ウォーダディーは、シャーマン戦車“フューリー”と歴戦の乗員たちを率い、ドイツ国内を進軍していた。そこへ戦闘経験のない新兵ノーマンが配属される。戦争の凄惨な現実に戸惑うノーマンを抱えた5人は、圧倒的に不利な状況の中、敵陣深くで過酷な任務に挑んでいく。
主な登場人物(キャスト)
ドン・“ウォーダディー”・コリアー(ブラッド・ピット):シャーマン戦車“フューリー”を指揮する米軍の曹長。北アフリカ戦線から仲間たちと戦い続けてきた歴戦の車長で、冷静な判断力と統率力を備える。過酷な戦場で部下を生き残らせるため、新兵ノーマンにも非情な現実を突きつける。
ノーマン・エリソン(ローガン・ラーマン):戦死した乗員の補充として“フューリー”に配属された新兵。それまではタイピストとして勤務しており、戦車の知識も実戦経験も持たない。人を殺すことへの強い抵抗を抱えながら、ウォーダディーや乗員たちを通して戦場の現実を知っていく。
ボイド・“バイブル”・スワン(シャイア・ラブーフ):“フューリー”の砲手。敬虔なキリスト教徒で、聖書の言葉を口にしながら戦う。静かな物腰の内側に、数々の死線を乗り越えてきた兵士の覚悟と、仲間への深い信頼を秘めている。
トリニ・“ゴルド”・ガルシア(マイケル・ペーニャ):“フューリー”の操縦手。ウォーダディーたちと長く戦ってきた古参兵で、陽気さと皮肉によって戦場の恐怖を覆い隠している。荒々しい仲間たちの中では比較的冷静に周囲を見つめる存在。
グレイディ・“クーンアス”・トラヴィス(ジョン・バーンサル):“フューリー”の装填手。粗暴で攻撃的な言動が目立ち、戦場を知らないノーマンに厳しく接する。長く続く戦闘によって人間性をすり減らされており、その姿からは戦争が兵士にもたらす精神的な傷が浮かび上がる。
作品の魅力解説
実物の戦車が生み出す壮絶な戦車バトル
本作では、“フューリー”を演じるシャーマン戦車をはじめ、第二次世界大戦当時の実物の車両が撮影に用いられた。特に注目されるのが、現在も走行可能な唯一のティーガーI戦車「ティーガー131」の登場だ。重量感のある走行音、砲撃の衝撃、装甲を貫かれる恐怖までが生々しく表現され、戦車同士の攻防には圧倒的な迫力が宿る。一瞬の判断が乗員全員の生死を左右する、命懸けの戦車戦を臨場感たっぷりに描ききっている。
“ウォーダディー”を体現するブラッド・ピットの貫禄
ブラッド・ピットが演じるのは、戦車“フューリー”を指揮する歴戦の車長、通称“ウォーダディー”。部下を守る責任と、敵を殺さなければ生き残れない戦場の現実を背負い、時には新兵ノーマンに非情な選択を迫る。圧倒的な統率力を見せる一方、その内側には戦争によって蓄積された疲労や苦悩もにじむ。ブラッド・ピットは抑制された表情と立ち居振る舞いによって、極限状態でも戦車の指揮官であり続ける男の貫禄を体現している。
豪華キャストが演じる戦車兵たちの魂
ウォーダディーと共に戦車へ乗り込み、命を懸けて戦う男たちを演じるのは、シャイア・ラブーフ、ジョン・バーンサル、マイケル・ペーニャ、ローガン・ラーマンという豪華な顔触れだ。信仰心を支えとする者、粗暴さによって恐怖を覆い隠す者、皮肉や冗談で平静を保とうとする者、戦争の現実を知らない新兵。それぞれ異なる人間性を持つ5人が、互いの役割と命を預け合い、一つの戦車の中で魂を燃やす姿が熱量豊かに描かれる。
戦争が人間にもたらす恐怖と狂気
デヴィッド・エアー監督は、米兵たちを単純な英雄として美化せず、戦争によって倫理観や感情をすり減らされた人間として描いている。死が日常となった戦場では、敵を殺すことへのためらいが仲間の死につながり、生き残るためには人間らしい感覚さえ捨てなければならない。残酷で悲惨な戦争の恐怖と、その環境が兵士たちにもたらす狂気を容赦なく映し出すからこそ、絶望的な状況でも共に戦い続ける5人の絆と覚悟が、より強烈なものとして胸に迫る。
ライター/エディター/映画インスタグラマー。2019年に早稲田大学法学部を卒業。東京都職員として国際業務等を経験後、ライター業に転身。各種SNS(Instagram・X)やYouTubeチャンネル「cula 見て聞く映画マガジン(旧:アルテミシネマ)」においても映画や海外ドラマ、音楽といったカルチャーに関する情報レビューを発信している。
