映画『ジャム DJAM』(2017)を紹介&解説。
映画『ジャム DJAM』概要
映画『ジャム DJAM』は、トニー・ガトリフ監督(『ガッジョ・ディーロ』『愛より強い旅』)が、ギリシャの大衆音楽レベティコに乗せて描く音楽ロードムービー。ギリシャ・レスボス島で暮らす自由奔放な女性ジャムが、船の部品を探すためトルコ・イスタンブールへ向かい、そこで難民支援のためフランスからやって来たアヴリルと出会う。ふたりの女性によるイスタンブールからギリシャへの旅を、音楽や文化、移民をめぐる社会背景とともに描く。主演はダフネ・パタキア。共演にシモン・アブカリアン、マリーヌ・ケイヨンら。
作品情報
| 日本版タイトル | 『ジャム DJAM』 |
|---|---|
| 原題 | Djam |
| 製作年 | 2017年 |
| 本国公開日 | 2017年8月9日 |
| 日本公開日 | 2023年9月29日 |
| ジャンル | ドラマ/音楽 |
| 製作国 | フランス/ギリシャ/トルコ |
| 原作 | 無 |
| 上映時間 | 97分 |
| 監督・脚本・編集・音楽監督・編曲 | トニー・ガトリフ |
|---|---|
| 製作 | デルフィーヌ・マントゥーレ/ステファーヌ・パルトネ |
| 撮影 | パトリック・ギリンゲッリ |
| 出演 | ダフネ・パタキア/シモン・アブカリアン/マリーヌ・ケイヨン/キモン・クーリス/ソロン・レッカス/ヤニス・ボスタンツォーグロウ/エレフセリア・コミ |
| 製作 | Princes Production/Pyramide Productions/Auvergne-Rhône-Alpes Cinéma/Blonde/Güverte Films/Princes Films |
| 配給 | Les Films du Losange(フランス)/コピアポア・フィルム(日本) |
あらすじ
ギリシャ・レスボス島。音楽とダンスを愛する自由奔放な女性ジャムは、元船乗りでレベティコを愛するカクールゴスと暮らしている。
ある日、故障した船を修理するために必要なエンジン部品を探すことになり、ジャムはトルコのイスタンブールへ向かう。そこで出会ったのは、難民支援のボランティアとしてフランスからやって来たものの、金もなく途方に暮れていた若い女性アヴリルだった。
ジャムはアヴリルを連れ、ギリシャへ戻る旅に出る。ふたりは道中でさまざまな人々と出会いながら、音楽と歌に満ちた旅を続けていく。
主な登場人物(キャスト)
ジャム(ダフネ・パタキア):レスボス島で暮らすギリシャ人女性。音楽とダンスを愛する大胆で自由奔放な性格で、船の部品を探すためイスタンブールへ向かう。
カクールゴス(シモン・アブカリアン):元船乗りでレベティコを愛するジャムの家族。故障した船のエンジン部品を手に入れるため、ジャムをイスタンブールへ送り出す。
アヴリル(マリーヌ・ケイヨン):難民支援のボランティアをするためフランスからトルコへ来た若い女性。金を失い孤立していたところでジャムと出会い、彼女とともにギリシャへの旅に出る。
作品の魅力解説
もうひとりの主人公ともいえる「レベティコ」
本作を貫くのが、ギリシャで発展した大衆音楽レベティコ。ブルースにも例えられるこの音楽は、20世紀初頭にギリシャと小アジアを行き来した人々や社会の周縁に生きる人々の文化とも深く結びついている。
ガトリフはレベティコを単なるBGMとして使うのではなく、登場人物たちの喜び、悲しみ、怒り、孤独を語るための言語として映画全体に配置。歌と演奏が物語そのものを前へ進めていく。
レスボス島とイスタンブールを結ぶ女性ふたりのロードムービー
物語の中心にいるのは、自由奔放なジャムと、異国で行き場を失ったアヴリル。
性格も境遇も異なるふたりが一緒に旅をすることで、映画は観光的なロードムービーにとどまらず、国境を越えて人と人が出会い、文化や経験を共有していく物語になっている。
その背景には難民問題や経済的困難も存在するが、作品はそれらを説明だけで提示するのではなく、旅の途中で出会う人々や音楽を通して自然に浮かび上がらせていく。
歌い、演奏し、踊るダフネ・パタキア
主人公ジャムを演じるダフネ・パタキアは、劇中の歌を自ら披露。レベティコで使われる楽器やダンスも身につけ、ジャムという人物の奔放なエネルギーを身体全体で表現している。
歌や踊りが「ミュージカルのための演出」として突然始まるのではなく、人々が生きるために自然に歌い、自然に踊るというガトリフ作品らしい音楽表現が、本作の大きな魅力となっている。
音楽と「移動する人々」を描き続けるガトリフのテーマ
トニー・ガトリフが長年描き続けてきた音楽と放浪、移民、文化の混交というテーマも本作に色濃く現れている。
ギリシャとトルコをまたぐ旅、難民支援に来たフランス人女性、レベティコに刻まれた歴史など、さまざまな「移動」が重なり合う。国籍や境界線を越えて受け継がれていく音楽を通して、人間同士を結びつける文化の力を描くロードムービーとなっている。
