ハリー・ベイリーが『リトル・マーメイド』の批判を経て得た学びを振り返った。
ハリー・ベイリーが、ディズニー実写版『リトル・マーメイド』でアリエル役を演じた経験を振り返り、人種差別的な批判の渦中で「雑音の遮断の仕方を学んだ」と語った。最新作『You, Me & Tuscany(原題)』のプレスツアーで応じたインタビューでは、当時の心境に加え、ゼンデイヤやアリアナ・グランデから支えを受けていたことも明かしている。
『リトル・マーメイド』でハリー・ベイリーが学んだ“遮断”術
ハリー・ベイリーは、英The Independentの取材で、実写版『リトル・マーメイド』について「私にとってすばらしい経験だったよ」と振り返った。黒人俳優がアリエル役に起用されたことをめぐっては、公開前から一部で人種差別的な反発が広がり、ベイリー自身もオンライン上の嫌がらせの標的となった。
それでも彼女は、この経験を否定的なものとしては捉えていないという。むしろ作品を通じて、「自分自身の声」と「内なる良い声に耳を傾けること」を学び、「雑音の遮断の仕方を学んだ」と語っている。
さらにベイリーは、賛否が激しく交錯する状況の中で、かえって解放された感覚があったとも説明。「これは現実じゃない」と自分に言い聞かせることで、周囲の声と自分自身を切り分けてきたことを明かした。芸能界でキャリアを重ねる中でも、そうした感覚が自身を地に足のついた状態に保ってくれるのだという。
ゼンデイヤやアリアナ・グランデらの支えが心の支柱に
ハリー・ベイリーは、人種差別的な批判にさらされていた時期、俳優仲間たちから支えの言葉を受け取っていたことも明かしている。「ゼンデイヤも連絡をくれたし、アリアナ・グランデもすごく優しくしてくれたよ」と語り、厳しい反応の渦中で寄せられた思いやりが大きな意味を持っていたことをうかがわせた。
さらに彼女は、同じように世間の強い視線にさらされる若い女性たちの間には、自然と支え合う感覚があるとも説明。「女性同士って、仲間が世間から色々な意見にさらされているのを見ると、みんなで小さな守りの輪を作るんだよね」と述べ、実写版『白雪姫』の主演俳優であるレイチェル・ゼグラーについても「間違いなくそういう存在のひとり。彼女が大好きだよ」と語っている。
ベイリーは、こうしたつながりの背景には、若い女性としての傷つきやすさや揺らぎを共有している感覚があると示した。「私たちはみんな若い女性」であり、不安になったり、「人の意見が自分の思考を濁らせてしまうこともある」としながらも、「あなたはすばらしいよ、応援してるよ」と声をかけてくれるコミュニティの存在は特別だと語った。
過去にも語っていた葛藤と、家族から受け取った励まし
ハリー・ベイリーは、実写版『リトル・マーメイド』の公開前から、自身のキャスティングをめぐる人種差別的な反応について言及していた。2023年にThe Faceの取材を受けた際には、こうした批判は「黒人として、ある程度は覚悟していること」であり、「もう驚かなくなってるよ」と語っている。
また、姉のクロエとともにParkwoodと契約した当時、ビヨンセから「私は絶対に自分へのコメントを読まない。コメントは読んじゃダメだよ」と言われていたことも振り返った。ティザー公開時にはネガティブな反応を見ていなかったとしつつも、「『人種の問題じゃない』って言う人もいるよね」とした上で、黒人の子どもたちが自分たちの姿を映した存在を見ることの大きさを語っていた。
さらにベイリーは、Varietyの取材で、Xで「#NotMyAriel」がトレンド入りした際、家族の存在が批判を乗り越える力になったとも明かしている。祖父母からは、自分たちが経験してきた人種差別や偏見の記憶とともに、「これがどれほど私たちにとって、私たちのコミュニティにとって、自分たちの姿を映した存在を見ることになる全ての黒人や褐色の肌を持つ少女たちにとって意味のあることか、みんなはわからないんだよ」と励ましの言葉をかけられたという。
今回ベイリーが語った「雑音の遮断の仕方を学んだ」という言葉の背景には、こうした過去の経験に加え、家族や周囲から受け取ってきた支えの積み重ねがあったことがうかがえる。
監督も強調した、ハリー・ベイリー起用に“アジェンダ”はなかった
実写版『リトル・マーメイド』のロブ・マーシャル監督も、その後Entertainment Weeklyの取材で、アリエル役のキャスティングについて「何のアジェンダもなかった」と説明している。監督によれば、オーディションでは「あらゆる民族」の俳優を検討した上で、最終的にハリー・ベイリーが役を射止めたという。
マーシャル監督は、「純粋に、その役に最もふさわしい俳優を探していました。それだけです」と述べた上で、求めていたのは「非常に強く、情熱的で、美しく、聡明で、機知に富み、溢れんばかりの活力と喜びを持った人物でした」と説明した。
公開前から人種差別的な反発にさらされながらも、ベイリーは『リトル・マーメイド』での経験を「私にとってすばらしい経験だったよ」と振り返っている。さらに、雑音の中で自分の声に耳を傾けることを学び、ゼンデイヤやアリアナ・グランデ、家族らの支えも受けながら歩んできたことが、今回の発言からあらためて浮かび上がった。
