映画『ナギダイアリー』(2026)を紹介&解説。
映画『ナギダイアリー』概要
映画『ナギダイアリー』は、深田晃司監督(『淵に立つ』『LOVE LIFE』『恋愛裁判』)が、平田オリザの戯曲「東京ノート」に着想を得てオリジナル脚本を書き上げた日本・フランス・シンガポール・フィリピン合作のヒューマンドラマ。
岡山県奈義町をモデルにした自然豊かな町「ナギ」を舞台に、喪失を抱えながら一人で創作を続ける彫刻家・寄子と、東京と台湾で活動してきた建築家・友梨がともに過ごす9日間を描く。
主演は松 たか子。石橋静河、川口和空、藤原聖、藤間爽子、水間ロン、申瑞季、松山ケンイチらが共演する。2017年の企画立ち上げから約9年をかけて完成し、第79回カンヌ国際映画祭コンペティション部門へ正式出品された。
作品情報
| 日本版タイトル | 『ナギダイアリー』 |
|---|---|
| 製作年 | 2026年 |
| 日本公開日 | 2026年9月25日 |
| ジャンル | ドラマ |
| 製作国 | 日本/フランス/シンガポール/フィリピン |
| 原作 | 無 |
| 上映時間 | 110分 |
| 監督・脚本 | 深田晃司 |
|---|---|
| 製作 | 四宮隆史 |
| 製作総指揮 | 大野二郎/ギヨーム・モレル/ジョセット・アタイデ/マリア・ソフィア・アタイデ・マルド |
| 撮影 | 四宮秀俊 |
| 編集 | シルヴィ・ラジェ |
| 作曲 | 李沛芩 |
| 出演 | 松 たか子/石橋静河/川口和空/藤原聖/藤間爽子/水間ロン/申瑞季/松山ケンイチ ほか |
| 製作 | スターサンズ/八朔ラボ/Survivance/Momo Film Co./Nathan Studio/ワンダーストラック |
| 制作プロダクション | Lat-Lon |
| 配給 | スターサンズ |
あらすじ
自然に囲まれた町「ナギ」。彫刻家の遠藤寄子は、近くの山から切り出された木を使って作品を作りながら、一人静かな生活を送っている。寄子の胸には、簡単には消えることのない喪失が残されていた。
ある日、東京と台湾で建築家として活動してきた友梨が、数日間の休暇を取り、彫刻のモデルを務めるため寄子のもとを訪れる。友梨は町で、寄子の幼なじみであり、若くして妻を亡くした好浩や、その息子・春樹、春樹の親友・圭太らと出会う。
穏やかに流れているように見えたナギでの日常だが、人々が言葉を交わし、ともに時間を過ごすうち、それぞれが長く目を背けてきた過去や喪失、他者には簡単に理解できない思いが少しずつ浮かび上がってくる。
寄子と友梨がともに過ごす9日間は、それぞれが自分自身の人生を見つめ直す時間になっていく。
主な登場人物(キャスト)
遠藤寄子(松 たか子):自然豊かな町「ナギ」で暮らす彫刻家。近隣の山から切り出された木を使って作品を制作している。心の中に癒えない喪失を抱えている。
友梨(石橋静河):東京と台湾を拠点に活動してきた建築家。数日間の休暇を取り、寄子の彫刻のモデルとなるためナギを訪れる。
好浩(松山ケンイチ):寄子の幼なじみ。町役場で働いており、若くして妻を亡くしている。
春樹(川口和空):好浩の息子。友梨がナギで出会う若者の一人。
圭太(藤原聖):春樹の親友。寄子や友梨たちを取り巻く町の人物の一人。
作品の魅力解説(公開前時点)
9日間の何気ない時間から、人間の内側を描く
本作で描かれるのは、大事件によって人生が一変する物語ではなく、異なる背景を持つ人間たちが同じ場所で時間を共有することで生まれる、小さな心の揺れ。
寄子と友梨を中心に、人々が会話し、食事をし、町を歩き、創作に触れる。そうした日常の中で、それぞれが抱えてきた過去や喪失が少しずつ見えてくる。
目立った出来事だけで人物を説明せず、人と人との距離や会話の微妙なずれから内面を浮かび上がらせることは、深田晃司監督作品の大きな特徴でもある。
平田オリザ「東京ノート」の精神を、新しい物語へ
本作は「東京ノート」の直接的な映画化ではない。深田監督は平田オリザの代表的戯曲から着想を得たうえで、岡山県奈義町をモデルとする架空の町「ナギ」を舞台にオリジナルストーリーを構築した。
複数の人間が一つの場所へ集まり、一見何気ない会話を重ねる中から、それぞれが抱える問題や社会との関係が見えてくるという構造に、平田作品から受け取った精神が反映されている。原作の再現ではなく、演劇から映画へ発想を受け渡している点に注目したい。
企画から完成まで9年、4か国合作で作られた作品
『ナギダイアリー』の企画が立ち上がったのは2017年。
そこから約9年をかけ、日本だけでなくフランス、シンガポール、フィリピンの製作陣も参加する国際共同製作として完成した。
深田監督にとって初めてカンヌ国際映画祭コンペティション部門へ選出された作品でもあり、長期間かけて作られた一作が世界でどのように受け止められたのかも、日本公開時の注目点となる。
