ASMRの安らぎが恐怖に変わる? 『Spoiling You(原題)』予告編公開、恐ろしいのに聴き心地は最高のサウンド

『Spoiling You(原題)』@ElflockFilms / YouTube NEWS
『Spoiling You(原題)』@ElflockFilms / YouTube

ASMRを題材にしたホラー『Spoiling You(原題)』の予告編が公開された。


作りものの親密さは、どこまでが救いで、どこからが支配なのか。ASMR配信を題材にしたホラー映画『Spoiling You(原題)』のティーザー予告編が、米メディアBloody Disgustingより公開された。安らぎと依存、崇拝と服従が交錯する物語の一端が明らかになっている。

【動画】『Spoiling You(原題)』ティーザー予告編

安らぎはやがて執着へと変わる

物語の主人公は、孤独な不眠症患者ドリュー。彼は、親密さと無条件の愛情を約束する誘惑的なASMRスタイルの配信者ミス・マターの動画に救いを求めるようにして日々を過ごしている。画面越しにささやかれる声と演出された優しさは、彼にとって唯一の安心できる居場所であった。

やがてドリューは、彼女に直接会えるコンペティションに当選する。盲目的な献身とともにその招きに応じた彼の空想は、次第に愛情と支配が入り混じる白昼夢へと変貌していく。服従を深めるにつれ、演技とアイデンティティ、そして崇拝の境界線が崩れ始めるのである。

“安らぎ”と“安全”の境界を揺さぶる

本作で監督も務めるメーガン・トレメシックは、作品の出発点について「私たちが興味を持ったのは、安らぎがいかに簡単に安全と混同されうるか」と語り、さらに「そしてその思い込みがひそかに揺さぶられたとき何が起こるか、ということだったんだよね」と明かしている。

ASMRは本来、心身を落ち着かせるコンテンツとして広く親しまれているジャンルである。しかし『Spoiling You(原題)』は、その“安らぎ”がどこまで本物で、どこまでが演出なのかという問いを突きつける。画面越しに差し出される優しさや「無条件の愛」は、果たして救済なのか、それとも依存を生み出す装置なのか。

ドリューが深い服従へと引き込まれていく過程は、デジタル空間における疑似的な親密さの危うさを映し出す。安らぎと支配、崇拝と自己喪失が交錯する物語は、現代的な恐怖の形を示唆している。

ローレンス・R・ハーヴィーらが出演、ロンドンで初上映へ

出演は『ムカデ人間』で知られるローレンス・R・ハーヴィーのほか、メーガン・トレメシック、スティーヴン・カー。トレメシックは主演のみならず監督も務め、脚本はローリー・ブリュースターとの共同執筆である。製作はブリティッシュ・ホラー・スタジオが手がけている。

近年、心理的恐怖を前面に押し出すインディペンデント・ホラー作品が注目を集めるなか、本作もまた“親密さ”という身近な感情を起点に不穏さを拡張していく試みと言えそうだ。

『Spoiling You(原題)』は2月21日、英ロンドンで開催されるロムフォード・ホラー映画祭でワールドプレミア上映される予定である。

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