米アニメ映画『劇場版 チェンソーマン レゼ篇』が興行で首位を獲得し、予想を超える好スタートを切った。
『チェンソーマン レゼ篇』が全米首位スタート-異例の評価と観客層に注目
日本発のアニメ映画『劇場版 チェンソーマン レゼ篇』が、米国の興行ランキングで見事首位に輝いた。公開館数3,003館で推定1,730万ドル(約26億4,200万円)のオープニング興収を記録し、事前予想を大きく上回る結果となった。映画レビューサイトRotten Tomatoesでは批評家スコア96%、観客スコア99%という極めて高い評価を獲得しており、「CinemaScore」ではA評価、「PostTrak」でも5つ星満点と圧倒的な好反応を得ている。
同作はMAPPA制作のテレビアニメを基に、藤本タツキのオリジナルストーリーを映画化した作品。監督は吉原達矢、脚本は瀬古浩司が務めている。米『ハリウッド・リポーター』誌のレビューでは、「マンガやアニメのファンを失望させない」と評されており、作品の完成度が高く評価されている。
海外興収は54の市場で1,880万ドル(約28億7,100万円)を記録し、海外累計は9,070万ドル(約138億5,600万円)、世界累計では1億800万ドル(約165億9,200万円)に到達。配給を担当するソニーとクランチロールは(日本を除く)海外市場で6,040万ドル(約92億2,300万円)を稼いでおり、同ジャンルの作品としても異例のヒットとなっている。観客の75%が男性、50%以上が25歳未満と若年層中心で、アジア系観客が20%を占めるなど多様な層から支持を集めた。
『ブラックフォン2』と『Regretting You』が接戦を繰り広げる
第二の注目は、前週から好調を維持している『ブラックフォン2』と、新作『Regretting You(原題)』の接戦だ。ブラムハウスにとって必要な勝利となった『ブラックフォン2』は、前週比52%減にとどまりながら1,300万ドル(約19億8,500万円)を稼ぎ、国内累計は4,910万ドル(約75億800万円)に到達した。海外では74市場で1,050万ドル(約16億300万円)を上げ、世界累計は8,040万ドル(約122億7,100万円)に達している。
この好調ぶりは、ホラー作品としては異例の安定性といえる。『ブラックフォン2』は、今年のハロウィーン期間に全国公開された唯一の大手スタジオ製ホラー映画であり、その特性を最大限に活かして観客を引きつけ続けている。
一方、『Regretting You(原題)』は国内で1,290万ドル(約19億7,000万円)、世界で2,290万ドル(約34億9,700万円)のオープニングを記録。コリーン・フーヴァー原作によるこのロマンティック・ドラマは、辛辣なレビューを受けるとの予想を覆し、PostTrakで高い退場スコアを獲得した。Rotten Tomatoesでは観客スコア87%を誇り、CinemaScoreはB評価だった。
観客の少なくとも80%が女性で、チケット購入者の約75%が35歳未満。男性向け作品が多い中で、女性層を中心に確かな支持を集めている。THRは同作について「女性をターゲットにした数少ない映画のひとつであり、フーヴァー人気の持続を示すものだ」と評している。
『スプリングスティーン 孤独のハイウェイ』は予想下回るスタート
ディズニーが手がける伝記ドラマ『スプリングスティーン 孤独のハイウェイ』は、期待に届かず全米4位でのデビューとなった。国内では910万ドル(約13億9,000万円)、28市場の海外で700万ドル(約10億6,900万円)を記録し、世界累計は1,610万ドル(約24億6,100万円)でスタート。予想されていた2,000万ドル(約30億5,400万円)を下回る結果となった。
公開初週の観客は高齢層が中心で、米国チケット購入者の60%以上が45歳以上、そのうち40%が55歳以上を占めた。こうした層は初週末に劇場へ足を運ぶ傾向が低く、レビューの評価が興行に大きく影響しやすい。Rotten Tomatoesの批評家スコアは61%だが、観客スコアは85%と高く、CinemaScoreはB+、35歳以上の観客ではA−を獲得している。
本作は全米3,460館で上映され、250館のIMAX上映と750館のプレミアム大型フォーマット上映という優位性を持ちながらも、国内興収が1,000万ドル(約15億2,700万円)を超えるには至らなかった。THRのレビューでは、「ザ・ボスとして生々しく内面化された演技を見せているよ」と主演のジェレミー・アレン・ホワイトを高く評価している。
スコット・クーパー監督による本作は、ブルース・スプリングスティーンが大ヒットツアー後に迎えた転落と再生を描いたもので、彼の代表作『ネブラスカ』誕生の背景を映し出す。スプリングスティーン本人も製作過程に深く関わっており、作品は今後の賞レースでの展開にも注目が集まる。
専門系興行では『シェルビー・オークス』と『Bugonia』が健闘
専門系では、Neonが配給する『シェルビー・オークス』が堅調なスタートを切った。YouTubeの映画評論家クリス・スタックマンが初めて監督を務めたこのファウンド・フッテージ作品は、全米1,823館で公開され、240万ドル(約3億6,600万円)のオープニングを記録した。クラウドファンディング・プラットフォーム「Kickstarter」で140万ドル(約2億1,400万円)を調達し、ホラー映画としては史上最高額を更新したことでも話題を集めている。Neonはその後、追加資金を提供して製作を後押しした。
一方、フォーカス・フィーチャーズが配給する『Bugonia(原題)』も限定公開ながら強い注目を浴びている。全米17館で公開され、1館あたり平均4万588ドル(約620万円)のオープニングを記録。これは今年のプラットフォーム公開作品の中でもトップクラスの数字であり、今週末の1館平均でも断トツの首位になる見込みだ。
ヨルゴス・ランティモス監督による本作には、エマ・ストーンとジェシー・プレモンスが出演。批評家からの評価も高く、来週には全国拡大公開が予定されている。アニメやホラーの大作が話題をさらう中で、こうしたアート志向の作品が着実に存在感を示しているのも今週末の特徴といえる。
