リュディヴィーヌ・サニエ20年ぶりオゾン監督と再タッグ-「腹黒い人物を演じるのは快感」
『スイミング・プール』以来のタッグで新境地開拓、リュディヴィーヌ・サニエの最新インタビューが到着。
フランスの人気女優リュディヴィーヌ・サニエが、フランソワ・オゾン監督の最新作『秋が来るとき』で約20年ぶりにタッグを組んだ。2003年の『スイミング・プール』以来となる今回の再会について、サニエは「腹黒い人物を演じるのは私にとって快感でした」と語り、新たな役柄への挑戦を明かした。
本作は5月30日(金)より新宿ピカデリー、TOHOシネマズ シャンテほか全国で公開される。2024年サン・セバスティアン国際映画祭で脚本・助演俳優賞を受賞し、横浜フランス映画祭2025でも上映された注目作だ。80歳の女性ミシェルを主人公に、自然豊かなフランス・ブルゴーニュを舞台とした人生ドラマが展開される。
久しぶりの再会は偶然のランチから

『秋が来るとき』メイキング © 2024 – FOZ – FRANCE 2 CINEMA – PLAYTIME
サニエとオゾン監督の再タッグは偶然から始まった。サニエは再会のきっかけについて「オゾン監督と3作品ご一緒した後に、私たちはお互いに別々の道を歩みました。そして、今回再会するまでの時間は必要だった様に思います」と振り返る。その間、何度かオファーはあったものの、お互いの意向がかみ合わずにいた時期もあったという。
転機となったのは、オゾン監督からの突然のランチの誘いだった。「仕事の話はしなかったのですが、楽しい時間を過ごしました。その日の夜にエージェントからあなたに演じてもらいたい役があるという話を聞いたのです」とサニエ。古い友人との再会と新たな仕事への期待が重なり、「二重に嬉しかった」と喜びを語った。
撮影現場は「犬と猫」の共同生活
今回の撮影でも、かつてと同様にふたりは同じ家で共同生活を送った。サニエは撮影中のエピソードを笑いながら明かす。「撮影初日の朝に私が台所に行き、コーヒーを飲むわと言ったら、彼は『僕はティーにする』と答え、私は苺ジャムにすると言ったら、『僕はママレードにする』と言い、ふたりで『今日はいい1日になるよね』と笑いながら言う。犬と猫くらい私たち違うんです」。

『秋が来るとき』リュディヴィーヌ・サニエ © 2024 – FOZ – FRANCE 2 CINEMA – PLAYTIME
対照的な性格のふたりだが、長年の信頼関係が作品作りに活かされている。サニエはオゾン監督について「本当に女性の映画作家だなという風に思うんです。非常に複雑な女性性やヒューマンな女性像を描きながらちょっと面白い話をフィーチャーしていて」と評価。特に年齢を重ねた女性を積極的に主人公に据える姿勢を「女性を描く先進的な精神をもった監督」と称賛した。
「腹黒い人物」への挑戦と役作りの秘密
本作でサニエが演じるのは、複雑な過去を抱える女性だ。「シナリオを読んだとき、実は笑ってしまったのです。腹黒い人物を演じるのは私にとって快感です」と率直に語る。共感はできなかったものの、俳優として人物の背景を深く掘り下げた。「田舎町ですからかなり周囲から後ろ指を指されたり、彼女は心の中に傷を抱えて生きてきたのではないでしょうか。すごく苦労したと思うんです。子どものころの思いが大人になってもずっと残っている」と人物像を分析している。

『秋が来るとき』 © 2024 – FOZ – FRANCE 2 CINEMA – PLAYTIME
役作りについてサニエは「建築をする様な、少しずつ肉付けをしていくような感じで、深い人間性を取り込もうとする作業です」と説明。キャラクターの過去から未来までを想像し、立体的な人物像を構築していく手法を明かした。作品の解釈についても、オゾン監督から「僕が考えていることはどうでもいいんだよ。君が感じたことが大切なんだ」と言われたエピソードを紹介し、観客それぞれの自由な解釈を重視する作品性を強調した。
ベテラン女優陣との35年ぶりの再会
本作には新旧のオゾン・ファミリーが集結している。主人公ミシェルを演じるエレーヌ・ヴァンサンとサニエは実に35年ぶりの再会となった。「エレーヌ・ヴァンサンは私が8歳の頃、最初の作品に出演していました」とサニエ。お互いに好意を持ち、「彼女と仕事するのは全然難しくなくて、とても穏やかなので、一緒に演技するのはとても心地良いものでした」と共演を振り返る。
また、ジョジアーヌ・バラスコについては同じシーンはなかったものの、「前から知っているんですが、お互いとっても気があうんです。女優としても監督としても彼女のことはとても尊敬しています」と語った。サン・セバスティアン国際映画祭で助演俳優賞を受賞したピエール・ロタンも加わり、熟練した演技陣が物語に深みを与えている。

『秋が来るとき』リュディヴィーヌ・サニエ © 2024 – FOZ – FRANCE 2 CINEMA – PLAYTIME
作品の核心部分について、サニエは父親の不在が登場人物の不安定さに関係していると分析。「母親が安定した人生というものをなかなか与えられなかったから、やんちゃで軽犯罪に走ってしまったり、ちょっとメランコリックな安定した精神をもてなかったりした」と家族関係の複雑さを読み解いた。最後に日本の観客に向けて「ブルゴーニュでは、キノコがある時期が一番美しいです」と、作品の鍵となるキノコに触れながらメッセージを寄せている。
作品情報
<STORY>
本作の主人公は、80歳のミシェル。パリでの生活を終え、人生の秋から冬に変わる時期を自然豊かなブルゴーニュの田舎でひとり暮らしをしている。秋の休暇を利用して訪れた娘と孫に彼女が振る舞ったキノコ料理が引き金で、それぞれの過去が浮き彫りになっていく。人生の最後を豊かに過ごすために、ミシェルはある秘密を守り抜く決意をする――。
タイトル:秋が来るとき
原題:Quand vient l’automne
監督・脚本:フランソワ・オゾン
共同脚本:フィリップ・ピアッツォ
出演:エレーヌ・ヴァンサン、ジョジアーヌ・バラスコ、リュディヴィーヌ・サニエ、ピエール・ロタン
日本公開:2025年5月30日(金)
2024年|フランス|フランス語|103分|ビスタ|カラー|5.1ch|日本語字幕:丸山垂穂
© 2024 – FOZ – FRANCE 2 CINEMA – PLAYTIME
配給:ロングライド、マーチ
公式サイト:https://longride.jp/lineup/akikuru
