セバスチャン・スタンがドナルド・トランプを演じた映画『アプレンティス:ドナルド・トランプの創り方』が、2025年1月17日(金)より日本公開。また、今作の1週間限定の先行上映が11月22日(金)~28日(木)に決定した。
『アプレンティス:ドナルド・トランプの創り方』予告編
『アプレンティス:ドナルド・トランプの創り方』概要
20代のドナルド・トランプは危機に瀕していた。不動産業を営む父の会社が政府に訴えられ、破産寸前まで追い込まれていたのだ。そんな中、トランプは政財界の実力者が集まる高級クラブで、悪名高き辣腕弁護士ロイ・コーンと出会う。大統領を含む大物顧客を抱え、勝つためには人の道に外れた手段を平気で選ぶ冷酷な男だ。そんなコーンが“ナイーブなお坊ちゃん”だったトランプを気に入り、<勝つための3つのルール>を伝授し洗練された人物へと仕立てあげる。やがてトランプは数々の大事業を成功させ、コーンさえ思いもよらない怪物へと変貌していく…。

© 2024 APPRENTICE PRODUCTIONS ONTARIO INC. / PROFILE PRODUCTIONS 2 APS / TAILORED FILMS LTD. All Rights Reserved.
レビュー本文
セバスチャン・スタンの徹底された“ドナルド・トランプっぷり”
まず驚くべきはセバスチャン・スタンのあまりにハイクオリティな“ドナルド・トランプっぷり”。髪型や特殊メイク、体型管理によって見た目を巧みに似せているだけでなく、さまざまな写真・動画を漁り、各時代のトランプの仕草や表情を研究し尽くしたというスタンの役作りは細部まで徹底されている。物語が進むごとに、どんどん我々の見慣れた最近のトランプに近づいていくのもわかる。

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ロイ・コーンによってドナルド・トランプは怪物へと育った。しかし、この映画で描かれたものを見るに、ピュアで純真無垢な若者の人生がねじ曲げられたわけではないだろう。怪物になれるポテンシャルを秘めながらもくすぶっていた野心家をコーンが拾い上げたことで、怪物は“覚醒”したといえる。最初から彼は怪物の卵だったのだ。
ジェレミー・ストロングの演技が説得力を持たせる栄枯盛衰
そしてロイ・コーンを演じたジェレミー・ストロングの演技にも圧倒されるばかり。ドナルドを見かけてすぐに目をつけ、最初から彼を支配していく様子はあまりに生々しく、恐ろしい。まずは周囲の人々や相手本人を“イジり”、笑わせ、主導権を握る。そしてすぐには相手の要望やおねだりに応じず、支配権が誰にあるかを明確にさせる。こうして相手に上下関係と自分の力を身をもって認識させる振るまい方は、コーンが権力と実力と狡猾さを併せ持つ悪魔のような人間であることを明確に示していた。

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しかしこの世は盛者必衰。コーンにも変化が訪れる。悪魔が喜んで育てた人間は、気づけば大魔王になってしまった。なんとも悲しい変貌を遂げていくコーンと、同じく変化していくドナルドとの関係。ドナルド・トランプだけでなく、ロイ・コーンの強さと弱さも濃厚に描くこの物語において、別人のような演技をこなしたジェレミー・ストロングはまさに彼の栄枯盛衰を体現してみせた。
まるでドキュメンタリー、しかしエンタメ
そして、今作を本物の映像かのように錯覚させてくるのが、ドキュメンタリー映像のように思えてくる撮影だ。あえて粗くした画質や、手持ちカメラで人間を必死で追うような動きが特徴の映像は、スタンらの演技力も相まって実際に当時撮影された記録映像を見せられているような感覚にさせられる。

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しかし一方で、大げさなロック調の音楽やドラマチックな構成は“叙事詩的なドキュメンタリー”と呼ぶにはあまりにエンターテインメントであり、その“典型的なアメリカ”感、“大仰で浅い雰囲気”をあえて打ち出したところには、当時の活気をそのまま伝えると同時に、監督のアンチトランプ的な皮肉も感じられる。『ボーダー 二つの世界』『聖地には蜘蛛が巣を張る』とはまた異なるアリ・アッバシ監督のアプローチに「アッバシ監督が“アメリカの映画”を撮るとこうなるのか」と、新たな一面を見られたように感じた。
エンタメ感を得たドキュメンタリータッチの作品としてドナルド・トランプの覚醒をエネルギッシュかつダークに描き、現代への警鐘を鳴らす作品として作られながらも、見方によってはトランプの成功譚/シンデレラ・ストーリーにすら見えてくるところからは、批判だけにすべてを注がず、あくまで歴史映画、物語映画として作品を仕上げたアッバシの監督としての真摯なスタンスが感じられた。

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スタンとストロング、そしてアッバシ監督らが賞レースで脚光を浴びることにも期待が高まる『アプレンティス:ドナルド・トランプの創り方』は2025年1月17日(金)より日本公開、11月22日(金)~28日(木)の1週間限定で先行上映。
映画『アプレンティス:ドナルド・トランプの創り方』先行上映概要
期間:11月22日(金)~28日(木)1週間限定上映
上映劇場:TOHOシネマズ 日比谷、キノシネマ新宿
※特別興行のため、ムビチケカード、各種割引・各種招待券はご使用いただけません。
※チケット販売については各劇場HPを確認ください。
アリ・アッバシ監督 メッセージ
日本の皆さまが、アメリカ大統領選直後にこの映画をご覧になることを嬉しく思います。この映画を観れば、アメリカがどうして今に至ったかが分かるでしょう。
作品情報

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監督:アリ・アッバシ
脚本:ガブリエル・シャーマン
出演:セバスチャン・スタン、ジェレミー・ストロング、マリア・バカローヴァ、マーティン・ドノヴァン
2024年|アメリカ|英語|123分|カラー|ヴィスタ|字幕翻訳:橋本裕充|R-15
配給:キノフィルムズ
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