映画レビュー『サンセット・サンライズ』が1月17日(金)より公開となる。
『サンセット・サンライズ』予告編
新しい生活様式がもたらした予期せぬ移住物語
新型コロナウイルスのパンデミックによって世界がロックダウンに追い込まれた2020年。リモートワークを機に、東京の大企業に勤める釣り好きの晋作(菅田将暉)は、4LDK・家賃6万円という神物件に一目惚れする。海が近く、大好きな釣りが楽しめる三陸の町での気楽な”お試し移住”をスタートさせた晋作。仕事の合間には海へ通って釣り三昧の日々を過ごすが、東京から来た<よそ者>である彼に、町の人たちは気が気でない。一癖も二癖もある地元民の距離感ゼロの交流にとまどいながらも、持ち前のポジティブな性格と行動力でいつしか溶け込んでいく晋作だったが、その先にはまさかの人生が待っていた。

©楡周平/講談社 ©2024「サンセット・サンライズ」製作委員会
都会と地方、対立ではなく共存を描く温かな視点
本作の特筆すべき点は、都会に住む人々も地方に住む人々も、それぞれに異なるクセの強さや面倒臭さを持っていることを等距離で描き出していることである。時に奇異に映る部分もあれば愛すべき部分もあり、見知らぬ土地や人々との出会いによって変化する者もいればしない者もいる。そのいずれをも非難したり強要したりすることなく、「こんな人いるよね」「こんな気持ちになることあるよね」という提示として観客に受け取り方を委ねており、それが心地よい印象を与える。

©楡周平/講談社 ©2024「サンセット・サンライズ」製作委員会
首都圏で淡々とした生活を送る者の視点からすれば、作中の地方の人々の振る舞いは少し恐ろしく映る。声量は大きいし、言葉遣いは荒く感じるし、人との関わり方における常識も異なるように思える。晋作の明るさとコミュニケーション能力の高さがあるからうまくやり過ごせているが、あのテンションで迫られたら萎縮してしまう都会人も多いだろう。一方で、都会の人々が無意識に示す根拠のない優越的な態度や、過剰な冷淡さにも不快感を覚える。都会には地方のコミュニティが持つ親密さ、隣人への思いやりといった温かさが欠如していると改めて感じさせられる。

©楡周平/講談社 ©2024「サンセット・サンライズ」製作委員会
震災の記憶と共に歩む人々の姿
本作の重要な要素として、舞台が東日本大震災の被災地であることが挙げられる。作品終盤では、被災地の外の人間と、被災関係者たちとの触れ合いについても印象的な会話が展開される。震災で知人や家族や友人・家を失った人々の悲しみは簡単に言葉で片付けられるものではないし、消えるものでもない。しかし時間は確実に進んでいく。そこでどう生きるか。被災者でない人々はどう接するか。本作はそこにある答えを示してくれる。

©楡周平/講談社 ©2024「サンセット・サンライズ」製作委員会
演者たちの演技も見事である。明るく、しかし思慮深く人々と接するキャラクターを演じた菅田将暉、温かい表情の奥に悲しさや複雑な心情も描き出した中村雅俊、健気に周囲に尽くしながら、悲しさゆえの頑固さを感じさせる井上真央、荒々しさの中に人間臭い温かさを表現した竹原ピストルや三宅健、にこやかで“優しいおじさん”に見えてビジネスマンの狂気をはらませた小日向文世。それぞれの役者が繊細な演技で物語に深みを与えている。
最初から最後まで、都会人のことも地方民のことも、否定せず、かといって肯定せず、ただただ寄り添う。その姿勢が沁みる本作は、2025年1月17日(金)より全国公開される。温かな人間模様と、人生の新たな可能性を感じさせてくれる139分となるだろう。
作品情報

©楡周平/講談社 ©2024「サンセット・サンライズ」製作委員会
タイトル:『サンセット・サンライズ』
日本公開日:2025年1月17日(金)公開
監督:岸善幸『あゝ、荒野』
脚本:宮藤官九郎
原作:楡周平『サンセット・サンライズ』(講談社文庫)
音楽:網守将平 主題歌:青葉市子
撮影:今村圭佑
出演:菅田将暉、井上真央、竹原ピストル、山本浩司、好井まさお、藤間爽子、茅島みずき、白川和子、ビートきよし、半海一晃、宮崎吐夢、少路勇介、松尾貴史、三宅健、池脇千鶴、小日向文世/中村雅俊
インスパイアソング:GRe4N BOYZ「シオン」
©楡周平/講談社 ©2024「サンセット・サンライズ」製作委員会
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