映画『多摩川の男』(2025)を紹介&解説。
映画『多摩川の男』概要
映画『多摩川の男』は、小野明良が監督・脚本・編集・出演を務め、若い頃に俳優を志して同じ養成所で学んだ仲間たちの、年齢を重ねても消えない友情と青春を描くヒューマンドラマ。三船プロダクション内に存在した俳優養成所・三船芸術学院で学んだ小野自身の経験や旧友たちをモチーフにしている。
60代となったかつての仲間たちが再会し、病や人生の終盤と向き合いながら再び絆を確かめていく。出演は小野明良、池上リョヲマ、良峰由香、門間利夫ら。小野と三船芸術学院時代から縁を持つ寺島進が友情出演する。
作品情報
| 日本版タイトル | 『多摩川の男』 |
|---|---|
| 製作年 | 2025年 |
| 日本公開日 | 2026年9月18日 |
| ジャンル | ドラマ/青春 |
| 製作国 | 日本 |
| 原作 | 無 |
| 上映時間 | 115分 |
| 監督・脚本・編集 | 小野明良 |
|---|---|
| 撮影 | 犬塚太郎 |
| 作曲 | 関将 |
| 出演 | 小野明良/池上リョヲマ/良峰由香/門間利夫/華村りこ/室町雅也/遠藤剛/寺島進/関将/高樹リオ ほか |
| 制作 | ワイルドバンチプロジェクト |
| 配給 | ミカタ・エンタテインメント |
あらすじ
40年以上前、俳優を志して三船プロダクションの俳優養成所でともに学んだ仲間たち。それぞれ別々の人生を歩み、今では60代を迎えていた。
故郷の今治で漁師をしている橘新造は、脳腫瘍の摘出手術を控え、かつての仲間たちに会うため妻の睦子とともに上京する。人気俳優となった高木秀一をはじめ、寺田行造、天童武史、小倉雄三、滝川友之らが久しぶりに集合する一方、自称「役に立たない超常能力者」の小川良雄だけは姿を現さなかった。
それから3年後、悪性リンパ腫で入院することになった新造のもとへ、突然良雄が現れる。仲間を思う良雄は再び旧友たちを集めようと動き出す。人生の終盤を迎えてもなお、若い頃と変わらない友情と“青春”が彼らをつないでいく。
主な登場人物(キャスト)
橘新造:物語の中心となる男性。故郷の今治へ戻り漁師として暮らしている。病を患い、かつて俳優を志していた仲間たちとの再会を望む。
小川良雄:かつて新造とともに俳優を目指した仲間の一人。長く行方がわからなくなっていた、自称「役に立たない超常能力者」。新造が病に倒れた後、突然姿を現す。
寺田行造:俳優養成所時代の仲間。殺陣師として生きてきた。
天童武史:かつての仲間の一人。現在は会社を経営している。
滝川友之:ライブハウスを経営しながらバンド活動を続けている旧友。
小倉雄三:陶芸教室を主催する、俳優養成所時代の仲間。
高木秀一:旧友たちの中で人気俳優となった男性。
作品の魅力解説
60代の男たちを主人公にした「青春映画」
『多摩川の男』が掲げる大きな特徴は、青春を若者だけのものとして扱わないことだ。
俳優を夢見て同じ場所へ集まった青年たちは、数十年の時を経て、漁師、殺陣師、経営者、ミュージシャン、陶芸家、俳優など、それぞれ異なる人生を歩んでいる。それでも昔の仲間と顔を合わせれば、若い頃と変わらない感情がよみがえる。
老いや病を扱いながら、「人生の終盤にも青春は続いている」という視点から仲間たちを描いている。
小野明良自身の人生と旧友たちが映画へ
監督の小野明良自身も、三船芸術学院の出身者。本作は、当時俳優を志していた実際の仲間たちをモチーフに企画され、小野の旧友でもある寺島進、門間利夫らが参加している。
フィクションとして物語を構築しながら、作り手と出演者が実際に共有してきた約40年以上の時間が作品の背景に存在する点は、本作ならでは。単に「昔の仲間を演じる」のではなく、本当に長い年月を生きてきた人々自身が映画へ集まることになる。
病や別れを前にしても続く、人間同士のつながり
物語では、脳腫瘍や悪性リンパ腫といった病が仲間たちの再会のきっかけとなる。
いつまでも同じ状態でいられるわけではなく、誰にも老いや別れは訪れる。それでも、失われていくものに抗うように仲間を思い、再び集まり、誰かのために行動する。本作は大事件ではなく、長い人生を共有してきた人間同士の「絆」そのものを物語の中心へ据えた作品となっている。
