『いつだってやめられる 10人の怒れる教授たち』とはどんな映画?あらすじ・キャスト・魅力まとめ

映画『いつだってやめられる 10人の怒れる教授たち』(2017)を紹介&解説。


映画『いつだってやめられる 10人の怒れる教授たち』概要

映画『いつだってやめられる 10人の怒れる教授たち』は、社会からはじき出された研究者たちが合法ドラッグの製造に手を染める姿を描いた、イタリア発のクライムコメディ『いつだってやめられる 7人の危ない教授たち』の続編。服役中の神経生物学者ピエトロが、犯罪歴の抹消と引き換えに警察の極秘捜査へ協力し、再結集した仲間たちと新型スマートドラッグの撲滅に挑む。前作の社会風刺と会話劇を引き継ぎながら、チームを10人に拡大し、アクション映画としてのスケールも高めた三部作の第2作である。

作品情報

日本版タイトル 『いつだってやめられる 10人の怒れる教授たち』
原題 Smetto quando voglio – Masterclass
製作年 2017年
本国公開日 2017年2月2日
日本公開日 2018年5月26日
ジャンル コメディクライムアクション
製作国 イタリア
原作
上映時間 119分
前作 いつだってやめられる 7人の危ない教授たち』(2014)
次作 いつだってやめられる 闘う名誉教授たち』(2017)
監督 シドニー・シビリア
原案 シドニー・シビリア/フランチェスカ・マニエーリ/ルイジ・ディ・カプア
脚本 シドニー・シビリア/フランチェスカ・マニエーリ/ルイジ・ディ・カプア
製作 ドメニコ・プロカッチ/マッテオ・ロヴェーレ
撮影 ヴラダン・ラドヴィッチ
編集 ジャンニ・ヴェッツォシ
作曲 ミケーレ・ブラガ
出演 エドアルド・レオ/グレタ・スカラーノ/ヴァレリア・ソラリーノ/ヴァレリオ・アプレア/パオロ・カラブレージ/リベロ・デ・リエンツォ/ステファノ・フレージ/ロレンツォ・ラヴィア/ピエトロ・セルモンティ/マルコ・ボニーニ/ロザリオ・リスマ/ジャンパオロ・モレッリ/ルイジ・ロ・カーショ
製作 グルンランディア/ファンダンゴ/ライ・チネマ
配給 01ディストリビューション(イタリア)/シンカ、樂舎(日本)

あらすじ

合法ドラッグの製造によって逮捕され、刑務所へ送られた神経生物学者ピエトロ・ズィンニ。そんな彼のもとを警部パオラ・コレッティが訪れ、イタリア国内で蔓延する新型スマートドラッグを突き止める極秘任務を持ちかける。

報酬は、ピエトロと仲間たちの犯罪歴を抹消すること。かつての研究者仲間に海外で暮らす3人の専門家を加え、総勢10人となったチームは、それぞれの知識と能力を駆使して違法薬物の摘発を進めていく。しかし、正体も成分も分からないドラッグ“ソポックス”の背後には、彼らの想像を超える危険な計画が隠されていた。

主な登場人物(キャスト)

ピエトロ・ズィンニ(エドアルド・レオ):大学を追われた神経生物学者で、研究者チームのリーダー。前作で合法ドラッグの製造に手を染めて逮捕されたが、犯罪歴の抹消と引き換えに警察の極秘捜査へ参加する。

パオラ・コレッティ(グレタ・スカラーノ):新型スマートドラッグの蔓延を食い止めようとする警部。ピエトロたちの知識に目をつけ、表に出せない捜査チームとして彼らを利用する一方、上層部との間で難しい立場に置かれる。

ジュリア(ヴァレリア・ソラリーノ):ピエトロのパートナー。妊娠中でありながら服役中のピエトロを支えるが、彼が極秘任務について真実を話せないため、ふたりの関係には新たなすれ違いが生じる。

アルベルト・ペトレッリ(ステファノ・フレージ):チームの化学者。新型ドラッグの成分分析を担当する。依存症からの立ち直りを目指しているが、正体不明の“ソポックス”を調べる過程で大きな葛藤に直面する。

マッティア・アルジェリ(ヴァレリオ・アプレア):ラテン碑文学を専門とする研究者。双子のジョルジョと共にチームへ復帰し、専門知識だけでなく、独特の会話と行動で騒動を巻き起こす。

アルトゥーロ・フランティーニ(パオロ・カラブレージ):考古学者。古代の遺物だけでなく、歴史的な乗り物や道具にも詳しく、その知識がチームの奇想天外な作戦に活用される。

ジュリオ・ボッレ(マルコ・ボニーニ):新たにチームへ加わる解剖学者。国外へ流出した優秀な研究者のひとりで、タイで賭け試合に参加していた異色の経歴を持つ。

ルーチョ・ナポリ(ジャンパオロ・モレッリ):新加入メンバーのエンジニア。アフリカで兵器に関わる仕事をしていた人物で、機械や武器に関する知識を作戦へ持ち込む。

ヴィットリオ(ロザリオ・リスマ):教会法を専門とする弁護士。バチカンの裁判に関わっていた知識人で、チームが警察との取引を法的に成立させるための交渉役を担う。

ヴァルテル・メルクリオ(ルイジ・ロ・カーショ):正体不明のドラッグ“ソポックス”に関係する謎の男。ピエトロたちとは異なる目的で高度な科学知識を利用し、チームの前に立ちはだかる。

作品の魅力解説

犯罪者だった教授たちが権力に利用される皮肉

前作で社会的立場の弱さから犯罪へ踏み込んだ研究者たちは、本作では警察から能力を買われ、国家のために働かされる側へ回る。犯罪歴の抹消という条件は彼らにとって魅力的だが、その立場は正式な捜査官ではなく、問題が起これば簡単に切り捨てられかねない非公式の協力者にすぎない。

社会から能力を正当に評価されなかった者たちが、必要になった途端に権力から呼び戻される構図には、シリーズらしい苦い皮肉がある。彼らは名誉を取り戻すために任務へ参加する一方、自分たちを追い詰めた社会へ協力することへの複雑な感情も抱えることになる。

10人に増えた専門家チームと、それぞれの葛藤

本作では前作のメンバーに、解剖学者、エンジニア、教会法の専門家という3人が加わる。異なる場所で生き延びてきた前科持ちのスペシャリストを集め、大規模な作戦へ挑む展開には、『ワイルド・スピード MEGA MAX』のようなチーム再結集ものの高揚感がある。

ただし、10人全員が同じ考えを持っているわけではない。警察との取引をどこまで信用するのか、危険な任務を続けるべきか、仲間の過ちをどう受け止めるのかをめぐって主張が食い違う。作戦を進めながらチーム内の関係や個々の事情も掘り下げられ、単なる頭脳派集団ではない、不器用な人間たちとしての魅力が強まっている。

アクション映画として大幅にスケールアップ

前作の中心だった会話劇やブラックコメディは維持されているが、本作は潜入捜査、追跡、格闘、列車を使った攻防など、アクションの比重を大きく高めている。研究者たちが専門知識を持ち寄り、一般的な捜査官や犯罪者とは異なる発想で危機を切り抜ける点が見どころだ。

一方、笑わせ方については、研究者の専門性やイタリア社会の矛盾を利用した前作の知的なユーモアと比べ、身体を張ったドタバタや分かりやすい掛け合いが増加した。娯楽映画としての安定感と勢いは増したものの、前作ほど笑いに“知性”を感じにくく、一般的なアクションコメディへ近づいた印象も残る。

第3作へ直結する三部作の中間章

本作はひとつの任務を描きながら、その背後にあるより大きな脅威を提示し、完結編『いつだってやめられる 闘う名誉教授たち』へ直接つながる構成となっている。そのため、単独作品としては意図的に決着を持ち越している部分があり、すっきりと完結する物語を期待すると中途半端に感じられる可能性もある。

しかし、教授チームの再結集から新たな敵の登場までを描く前編として考えれば、完結編へ向けて物語と人物を動かす役割は明確である。本作と第3作を続けて鑑賞することで、捜査の裏に隠された計画や、権力に翻弄される研究者たちの名誉挽回劇をより一体的に楽しめる。

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