『MORTAL モータル』とはどんな映画?あらすじ・キャスト・魅力まとめ

映画『MORTAL モータル』(2020)を紹介&解説。


映画『MORTAL モータル』概要

映画『MORTAL モータル』は、アンドレ・ウーヴレダル監督(『ジェーン・ドウの解剖』『スケアリーストーリーズ 怖い本』)が、北欧神話の雷神トールをモチーフに描くSFアクション・ファンタジー。ノルウェーの荒野で不思議な力を暴走させた青年が、自身の正体と力の根源に向き合っていく。主演は『Death Note/デスノート』のナット・ウルフ、共演にイーベン・オーケルリー、プリヤンカ・ボース、ペール・フリッシュ、ペール・エーギル・アスケら。

作品情報

日本版タイトル 『MORTAL モータル』
英題 Mortal
原題 Torden
製作年 2020年
本国公開日 2020年2月28日
日本公開日 2020年11月27日
ジャンル SF/アクション/ファンタジー/スリラー
製作国 ノルウェー
原作 無(北欧神話に着想)
上映時間 104分
監督・原案 アンドレ・ウーヴレダル
脚本 アンドレ・ウーヴレダル/ノルマン・レスパランス/ジェフ・ブッセティル
製作 ヨン・エイナル・ハーゲン/ベン・ピュー/ロリー・エイトキン/ブライアン・カヴァナー=ジョーンズ
製作総指揮 マリーヌ・イーラーズ/ジョシュア・ホースフィールド/ヘンリック・セイン/アージ・アーベルグ/アンドレ・ウーヴレダル/フレッド・バーガー/ウィリアム・V・ブロマイリー/シャナン・ベッカー/ジョナサン・サバ/ネス・サバン
撮影 ロマン・オーシン
編集 パトリック・ラースガード
作曲 マルクス・パウス
出演 ナット・ウルフ/イーベン・オーケルリー/プリヤンカ・ボース/ペール・フリッシュ/ペール・エーギル・アスケ
製作 モータルAS/ノルディスク・フィルム・プロダクション/42/オートマティック・エンターテインメント/ユーメディア/ゼフィール・メディア・ファンド/エルドラド・フィルム
配給 ノルディスク・フィルム(ノルウェー)/カルチュア・パブリッシャーズ(日本)

あらすじ

ノルウェー西部の荒野で、世間から身を隠すように暮らしていた米国人青年エリック。ある日、彼は自分でも制御できない不可解な力によって、ひとりの青年を死なせてしまう。逮捕されたエリックは、事件の原因を調べる若き心理学者クリスティーヌと出会い、少しずつ心を開いていく。

やがて米国当局がエリックの引き渡しを求めて介入するが、移送の途中で彼の力が再び暴走。クリスティーヌとともに逃亡することになったエリックは、警察や軍に追われながら、自身に宿った力と北欧神話とのつながりを探っていく。

主な登場人物(キャスト)

エリック(ナット・ウルフ):ノルウェーの荒野で野宿生活を送る米国人青年。触れた相手を傷つけ、雷や炎を引き起こすような制御不能の力に苦しんでいる。自分の力の意味を知らないまま逃亡者となり、やがて北欧神話と結びつく運命に向き合っていく。

クリスティーヌ(イーベン・オーケルリー):エリックの取り調べに関わる若き心理学者。彼の不安定な精神状態と異常な力の関係を見抜き、単なる犯罪者としてではなく、助けを必要とする人物として寄り添う。逃亡を通じて、エリックの理解者となっていく。

ハサウェイ(プリヤンカ・ボース):エリックの身柄を確保しようとするアメリカ側の人物。彼の力を危険な存在として捉え、ノルウェー当局と絡みながら追跡に関わる。

ヘンリック(ペール・フリッシュ):エリックを取り調べるノルウェーの警察官。不可解な事件の真相を追う中で、エリックの力が単なる犯罪では説明できないものだと知っていく。

ビョルン(ペール・エーギル・アスケ):エリックの力によって命を落とした少年の父親。息子を失った怒りと悲しみを抱え、エリックと対峙する。

オーレ(アルトゥル・ハカラフティ):エリックと接触したことで命を落とす少年。彼の死が事件の発端となり、エリックの逃亡と力の覚醒、そして物語全体の悲劇性を動かしていく。

作品の魅力解説

雷神トールを“現実の異変”として描く

本作の特徴は、北欧神話の雷神トール(英語読みでソー)と現代の人々の暮らしを組み合わせ、神の力を持つ者が実際に現れた場合の混乱を描いている点にある。警察の取り調べや医療検査、国家機関の介入といった現実的な要素を積み重ねることで、神話を現代社会の延長線上へ引き寄せている。

超人的な力に目覚めた主人公が、その能力を制御できず、自分自身を恐れるという構成はヒーロー誕生譚として王道である。スーパーヒーロー映画をあまり見ていない観客であれば、力の正体が少しずつ明らかになる過程を、ダークなファンタジーとして楽しめるだろう。一方、同種の作品に親しんだ観客には、見慣れた展開が多いことも否定できない。

ホラー監督らしい不穏さと悲劇性

エリックの力は、爽快な特殊能力としてではなく、本人や周囲の人間を傷つけかねない災厄として描かれる。感情の揺れに反応して火災や雷が発生し、肉体にも異変が表れる描写には、『ジェーン・ドウの解剖』などで知られるアンドレ・ウーヴレダル監督らしい身体的な痛みと不穏さがにじむ。

主人公が自らの可能性に胸を躍らせるのではなく、力を恐れながら孤立していくため、一般的なヒーロー映画のような明るい高揚感は薄い。その代わり、英雄が生まれるまでに周囲の人々が払う犠牲や、制御不能な力がもたらす悲劇に重点を置いた、陰のある誕生譚となっている。

淡々とした演出が生む距離と、脚本の粗さ

ノルウェーの荒涼とした風景や、感情を過度に盛り上げない淡々とした演出は、神話を現実の出来事として見せる本作の方向性に合っている。派手な会話や軽口に頼らず、不安と孤独が静かに広がっていく空気には独自の味わいがある。

しかし、その抑制された語り口が、物語へ入り込みにくい原因にもなっている。エリックとクリスティーヌの関係、当局の判断、力の正体へ近づく過程などは十分に積み上げられないまま進み、人物の行動や大きな展開に唐突さが残る。設定には興味を引くものがあるものの、説明やドラマのつなぎ方は粗く、最後まで乗り切れない観客も少なくないだろう。北欧神話を扱った異色のヒーロー映画としての個性はある一方、その素材を十分に物語へ落とし込めていない惜しさも目立つ作品である。

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