江國香織の短編を内田俊太郎監督が映画化。篠塚大輝が映画初出演する。
江國香織の短編集『すいかの匂い』に収録された一編を映画化する『焼却炉』が、2027年に公開されることが決定した。あわせて、ビジュアルカット1点も解禁された。
本作は、学校や家族、周囲になじめない少女が、男子大学生との出会いを通じて初恋にも似た感情を抱いていく物語。少女から大人へと移り変わる過渡期の、言葉にしづらい揺らぎを描く作品となる。
また、本作は第60回カルロヴィ・ヴァリ国際映画祭「プロキシマ・コンペティション」部門への出品も決定。チェコの地でワールドプレミアを迎える。
江國香織『すいかの匂い』収録の一編を映画化
原作は、『きらきらひかる』『冷静と情熱のあいだ』など、数々の著作が映像化されてきた小説家・江國香織による短編「焼却炉」。11人の少女の夏の記憶を描いた短編集『すいかの匂い』(新潮文庫)に収録されている。
物語の中心となるのは、小学4年生の宮田梢。学校には行くものの、親しい友達はおらず、教室を抜け出したり早退したりする日々を送っている。そんな梢には、裏庭の焼却炉にモノを捨てるという“秘密の習慣”があった。
ある日、夏休みに小学校で影絵劇を行う大学生たちが、公演の告知にやってくる。梢は、その中のひとりであるすずきじんたから目が離せなくなる。やがて放課後、梢が焼却炉へ向かうと、そこにはじんたの姿があった。じんたもまた、梢と同じように焼却炉へ何かを捨てていたことから、梢の中で彼の存在はさらに大きくなっていく。
本作のプロデューサーでもある長尾卓磨は、約25年前の学生時代に原作を読み、長く映像化を望んでいたという。その想いが江國にも届き、今回の映画化が実現した。
篠塚大輝が映画初出演、主人公を惹きつける大学生役に
主人公・宮田梢を演じるのは、本作で俳優デビューを飾るかりん。オーディションで主演を勝ち取り、撮影当時10歳だったかりんが、梢という少女を等身大で演じる。
梢を惹きつける影絵サークルの大学生・すずきじんた役には、timeleszの篠塚大輝が出演する。篠塚は本作が映画初出演。オーディション番組「timelesz project -AUDITION-」を経てtimeleszの新メンバーとなり、グループでのツアーや個人での冠番組など活動の幅を広げるなか、スクリーンデビューを果たす。
篠塚は本作について「初めて映画の現場に立たせていただき、すべての瞬間が新鮮で、圧倒されるような毎日でした。『役として生きる』という経験は、難しさもありましたが、監督をはじめ、皆さんに支えられ、全力で駆け抜けることができました。自分にとって、忘れられない大切な作品です」とコメントしている。
そのほか、梢の母・洋子を菊池亜希子、梢の父・健二を長尾卓磨が演じる。監督は、『PORTRAIT ポルトレ』やドキュメンタリー映画『74歳のペリカンはパンを売る。』を手がけた内田俊太郎が務める。

映画『焼却炉』©️2026 QUE LINDO / NEOPA
今回解禁されたビジュアルカットには、物語のキーアイテムとなる焼却炉を前に立つ梢とじんたの姿が切り取られている。夏のじわじわとした暑さ、梢の内面にある複雑な感情、そしてじんたがまとう不思議な魅力が、本作ならではの静かな空気を伝える1枚となっている。
カルロヴィ・ヴァリ国際映画祭でワールドプレミアへ
『焼却炉』は、今年7月にチェコで開催される第60回カルロヴィ・ヴァリ国際映画祭に出品され、ワールドプレミアを迎える。出品部門は、新しい作家や挑戦的な作品が選ばれる「プロキシマ・コンペティション」。映画祭に向けて、海外版ポスターも完成している。

映画『焼却炉』©️2026 QUE LINDO / NEOPA
カルロヴィ・ヴァリ国際映画祭は1946年に始まった歴史ある映画祭で、国際映画製作者連盟公認の映画祭としても知られる。国内外のワールドプレミア、インターナショナルプレミアが行われるほか、カンヌやベルリンなどで評価された作品も上映される。昨年には、第78回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品された早川千絵監督『ルノワール』も上映された。
ワールドプレミアにあたり、内田監督は「伝統あるカルロヴィ・ヴァリ国際映画祭で『焼却炉』がワールドプレミアを迎えられること、大変光栄に思います」とコメント。さらに、「私はこの映画を作りながら、子供の頃の小さな瞬間を思い出していました。繊細で、どこか不安定で、大人になった私が失いかけていた感覚でした」と制作時の実感を明かしている。
また、原作者の江國香織は「私は普段、言葉でしかあらわせないものを小説にしているつもりなのですが、言葉でしかあらわせないはずのものが映像になっていて驚かされました」とコメント。「あのころの夏の気配が匂い立つほど濃く、忘れていた(あるいは忘れたかった)記憶の断片がわっと押し寄せたことにも。子供の所在なさと大人の逡巡がざらざらした質感で閉じ込められた、頭でっかちではない映画なところもよかったです」と、本作に寄せている。
作品情報
日本版タイトル:『焼却炉』
原題:『焼却炉』
公開日:2027年
監督:内田俊太郎
脚本:未発表
出演:かりん、篠塚大輝(timelesz)、菊池亜希子、長尾卓磨
原作:江國香織「焼却炉」(新潮文庫刊『すいかの匂い』所収)
2027年公開/日本/上映時間未発表/制作プロダクション:QUE LINDO / さざなみ/配給:NAKACHIKA
公式X:@shokyakuro_film
©️2026 QUE LINDO / NEOPA
