映画『ジェーン・ドウの解剖』(2016)を紹介&解説。
映画『ジェーン・ドウの解剖』概要
映画『ジェーン・ドウの解剖』は、アンドレ・ウーヴレダル監督が、身元不明の女性遺体の検死を通して不可解な謎と恐怖を描く密室ホラー/ミステリー。バージニア州の遺体安置所を舞台に、検死官の父子が“ジェーン・ドウ”と呼ばれる遺体に隠された異常な痕跡をたどるうち、説明のつかない現象に巻き込まれていく。主演はブライアン・コックスとエミール・ハーシュ、共演にオフィリア・ラヴィボンド、マイケル・マケルハットン、オルウェン・ケリーら。
作品情報
日本版タイトル:『ジェーン・ドウの解剖』
原題:The Autopsy of Jane Doe
製作年:2016年
本国公開日:2016年12月21日(アメリカ)
日本公開日:2017年5月20日
ジャンル:ホラー/スリラー/ミステリー
製作国:イギリス/アメリカ
原作:無
上映時間:86分
レーティング:R15+
監督:アンドレ・ウーヴレダル
脚本:イアン・ゴールドバーグ/リチャード・ナイン
製作:フレッド・バーガー/エリック・ガルシア/ベン・ピュー/ロリー・エイトキン
製作総指揮:スチュアート・フォード/マット・ジャクソン/スティーヴン・スクイランテ
撮影:ロマン・オーシン
編集:パトリック・ラースガード/ピーター・グボズタス
作曲:ダニー・ベンジー/ソーンダー・ジュリアーンズ
美術:マット・ガント
衣装:ナタリー・ウォード
出演:ブライアン・コックス/エミール・ハーシュ/オフィリア・ラヴィボンド/マイケル・マケルハットン/オルウェン・ケリー
製作:42/インポスター・ピクチャーズ/IMグローバル
配給:松竹メディア事業部(日本)/IFCミッドナイト(アメリカ)
あらすじ
バージニア州の田舎町。ベテラン検死官トミー・ティルデンと息子オースティンは、親子で遺体安置所を営んでいた。ある嵐の夜、地元の保安官から緊急の検死依頼が入る。それは、一家惨殺事件の現場となった家の地下から発見された、身元不明の若い女性の遺体だった。外傷が見当たらない不可解な遺体を前に、ふたりは通常の検死として解剖を進める。しかし、体内からは常識では説明できない痕跡が次々と見つかり、やがて安置所では異様な現象が起こり始める。
主な登場人物(キャスト)
トミー・ティルデン(ブライアン・コックス):バージニア州の小さな町で遺体安置所を営むベテラン検死官。経験豊富で冷静な職人肌の人物だが、身元不明の女性遺体を解剖する中で、これまでの知識では説明できない異常事態に直面する。
オースティン・ティルデン(エミール・ハーシュ):トミーの息子で、父とともに検死の仕事をしている青年。家業を手伝いながらも、恋人との将来や自分の人生に迷いを抱えている。ジェーン・ドウの検死を通して、父との関係にも変化が生まれていく。
エマ(オフィリア・ラヴィボンド):オースティンの恋人。仕事に縛られがちなオースティンとの関係を気にかけている。
バーク保安官(マイケル・マケルハットン):惨殺事件の現場から見つかった身元不明の女性遺体を、トミーとオースティンのもとへ持ち込む保安官。
ジェーン・ドウ(オルウェン・ケリー):一家惨殺事件の現場となった家の地下から発見された、身元不明の若い女性の遺体。外見上は傷ひとつないように見えるが、解剖が進むにつれて、体内に残された不可解な痕跡と恐ろしい秘密が明らかになっていく。
作品の魅力解説
本作の大きな魅力は、舞台をほぼ遺体安置所に限定しながら、解剖という手順そのものをミステリーの進行に変えている点にある。体を調べるたびに新たな謎が見つかり、観客は検死官親子と同じ目線で“何が起きたのか”を追っていくことになる。
また、派手な恐怖演出に頼りすぎず、照明、音、閉鎖空間の圧迫感によって不穏さを積み上げていく構成も印象的である。遺体が置かれた部屋、外で強まる嵐、途絶えていく通信といった要素が重なり、逃げ場のない緊張感を生み出している。
ブライアン・コックスとエミール・ハーシュが演じる父子関係も、単なるホラーにとどまらない見どころのひとつ。冷静に職務をこなそうとする父と、将来に迷う息子の関係が、異常事態の中で少しずつ浮かび上がる。
さらに本作は、ファンタスティック・フェストでホラー部門の作品賞、シッチェス・カタロニア国際映画祭で審査員特別賞を受賞するなど、ジャンル映画としても評価された。短い上映時間の中で、謎解き、密室劇、超常ホラーを凝縮した作品である。
