映画『アイアンマン2』(2010)を紹介&解説。
映画『アイアンマン2』概要
映画『アイアンマン2』は、マーベル・コミックの人気ヒーローをロバート・ダウニー・Jr主演で映画化した『アイアンマン』の続編。自らがアイアンマンであることを公表したトニー・スタークが、パワードスーツの軍事利用を求める政府、スターク家に恨みを抱く新たな敵、そして自身の命を脅かす問題に向き合っていく。監督は前作に続きジョン・ファヴロー。共演にグウィネス・パルトロウ、ドン・チードル、スカーレット・ヨハンソン、サム・ロックウェル、ミッキー・ローク、サミュエル・L・ジャクソンら。
作品情報
日本版タイトル:『アイアンマン2』
原題:Iron Man 2
製作年:2010年
本国公開日:2010年5月7日
日本公開日:2010年6月11日
ジャンル:アクション/スーパーヒーロー/SF
製作国:アメリカ
原作:マーベル・コミック『アイアンマン』
上映時間:124分
前作(『アイアンマン』シリーズ):『アイアンマン』(2008)
前作(MCU):『インクレディブル・ハルク』(2008)
次作(『アイアンマン』シリーズ):『アイアンマン3』(2013)
次作(MCU):『マイティ・ソー』(2011)
監督:ジョン・ファヴロー
脚本:ジャスティン・セロー
製作:ケヴィン・ファイギ
製作総指揮:デニス・エル・スチュワート/ルイス・デスポジート/ジョン・ファヴロー/スーザン・ダウニー/アラン・ファイン/スタン・リー/デビッド・メイゼル
撮影:マシュー・リバティーク
編集:リチャード・ピアソン/ダン・リーベンタール
作曲:ジョン・デブニー
出演:ロバート・ダウニー・Jr./グウィネス・パルトロウ/ドン・チードル/スカーレット・ヨハンソン/サム・ロックウェル/ミッキー・ローク/サミュエル・L・ジャクソン/クラーク・グレッグ/ジョン・スラッテリー/ポール・ベタニー
製作:マーベル・スタジオ
配給:パラマウント・ピクチャーズ
あらすじ
自らがアイアンマンであることを世界に明かしたトニー・スタークは、政府からパワードスーツの技術を軍に引き渡すよう求められる。しかし、技術が悪用されることを恐れるトニーはこれを拒否。一方、スターク家に強い恨みを抱くイワン・ヴァンコが、アイアンマンに匹敵する兵器を作り上げ、モナコでトニーの前に現れる。さらに、トニー自身の身体にも危機が迫り、彼はヒーローとしての責任と自らの弱さに向き合うことになる。
主な登場人物(キャスト)
トニー・スターク/アイアンマン(ロバート・ダウニー・Jr):巨大軍事企業スターク・インダストリーズの社長で、天才発明家。自らがアイアンマンであることを公表したことで注目を集める一方、政府からスーツ技術の提供を求められ、さらに自身の命を脅かす問題にも直面する。
ヴァージニア・“ペッパー”・ポッツ(グウィネス・パルトロウ):トニーの秘書であり、信頼できるパートナー。トニーを支えながらも、彼の無謀な行動に振り回される。本作ではスターク・インダストリーズの運営にも深く関わっていく。
ジェームズ・“ローディ”・ローズ/ウォーマシン(ドン・チードル):トニーの親友で、アメリカ空軍の軍人。政府とトニーの間で板挟みになりながら、やがてウォーマシンとして物語に大きく関わっていく。
ナターシャ・ロマノフ/ブラック・ウィドウ(スカーレット・ヨハンソン):スターク・インダストリーズに現れる謎めいた女性。秘書としてトニーの周囲に近づくが、その正体は高い戦闘能力を持つシールドのエージェントである。
ジャスティン・ハマー(サム・ロックウェル):スタークに対抗心を燃やす兵器企業の経営者。アイアンマンの技術に匹敵する兵器を作ろうとし、イワン・ヴァンコと手を組む。
イワン・ヴァンコ/ウィップラッシュ(ミッキー・ローク):スターク家に恨みを抱くロシアの科学者。独自に開発した武器でトニーを襲撃し、アイアンマンの存在を揺るがす強敵として立ちはだかる。
ニック・フューリー(サミュエル・L・ジャクソン):国際平和維持組織シールドの長官。トニーの状況を見極めながら、より大きなヒーローチーム構想へと物語をつなげていく。
作品の魅力解説
映画『アイアンマン2』の魅力は、派手なアクションだけでなく、トニー・スタークの弱さや孤独を前面に描いている点にある。アイアンマンとして称賛されながらも、技術の責任、自身の健康問題、父との関係に揺れるトニーの姿が、ヒーロー映画に人間ドラマとしての厚みを与えている。
また、ブラック・ウィドウやウォーマシンの登場により、MCUの世界が大きく広がっていく重要作でもある。
内容ネタバレ
アイアンマンであることを公表したトニー・スターク
物語は、トニー・スタークが自ら「アイアンマンである」と公表した後の世界から始まる。トニーはヒーローとして世間の注目を集め、スターク・エキスポを華々しく開幕させる。彼は自分が世界の平和を保っていると自負し、アイアンマンの存在を誇示するが、その裏では胸に埋め込まれたアーク・リアクターに使われているパラジウムが血液を汚染し、命を削っているという深刻な問題を抱えていた。
トニーは治療法を探すものの、代替となる元素は見つからず、身体の状態は悪化していく。表向きは陽気に振る舞い、派手な生活を続けているが、彼は自分の死期が近いことを意識し始めていた。
スターク家を憎むイワン・ヴァンコ
一方、ロシアではイワン・ヴァンコが父アントン・ヴァンコの死を看取っていた。アントンはかつてトニーの父ハワード・スタークと関わりがあった科学者で、スターク家に対する恨みを息子に残して亡くなる。イワンは父の残した設計図をもとに小型アーク・リアクターを完成させ、スターク家への復讐を決意する。
トニーがアイアンマンとして世界的な名声を得ている一方で、イワンはその技術がスタークだけのものではないことを証明しようとしていた。彼の目的は単にトニーを殺すことではなく、スターク家の神話そのものを崩すことにあった。
政府からスーツの引き渡しを迫られる
トニーはアメリカ政府の公聴会に呼び出され、アイアンマン・スーツを国家に引き渡すよう求められる。政府側はスーツを兵器とみなし、個人が所有するには危険すぎると主張する。しかしトニーは、自分以外にこの技術を安全に扱える者はいないと反論し、引き渡しを拒否する。
公聴会には、スターク社のライバルである兵器企業の経営者ジャスティン・ハマーも出席している。ハマーはトニーに強い対抗心を抱いており、アイアンマンに匹敵する兵器を作ることで自分の存在を認めさせようとしている。トニーは各国や企業が似た技術の開発に失敗している映像を提示し、自分の技術的優位を見せつける。
モナコでの襲撃
トニーはモナコのグランプリに参加する。体調不良と死への恐怖を抱えながらも、彼は突発的にレースへ出場し、自らレーシングカーに乗り込む。そこへイワン・ヴァンコが作業員に紛れて現れ、電撃を放つ鞭状の武器でコース上の車を次々と破壊する。
トニーはスーツを持っていない状態で襲撃を受け、命の危機に陥る。ペッパー・ポッツとハッピー・ホーガンが駆けつけ、トニーは持ち運び型のスーツケースからアイアンマン・スーツを装着する。激しい戦いの末、トニーはイワンを制圧するが、事件は大きな衝撃を残す。世界は「アイアンマンの技術はトニーだけのものではない」と知ることになり、トニーの絶対的な優位は揺らぎ始める。
ジャスティン・ハマーがイワンを利用する
逮捕されたイワンは、ジャスティン・ハマーによって密かに脱獄させられる。ハマーはイワンの技術力を利用し、自社の兵器を完成させようと考える。彼は軍向けのパワードスーツを作らせようとするが、イワンはハマーの思惑に従うふりをしながら、自分自身の復讐計画を進めていく。
ハマーはトニーを超える兵器を作ることに執着しており、イワンが何を考えているのかを十分に理解しないまま協力関係を結ぶ。その結果、ハマーの野心はイワンに利用される形となっていく。
死を意識し、自暴自棄になるトニー
トニーの身体はさらに悪化し、パラジウム中毒は進行する。彼はペッパーをスターク・インダストリーズの最高経営責任者に任命し、自分の後始末を進めるような行動を取り始める。その一方で、ナタリー・ラッシュマンという女性がトニーの周囲に現れる。彼女はスターク社の社員として振る舞っているが、実際にはシールドのエージェント、ナターシャ・ロマノフである。
自分が助からないと思い込んだトニーは、誕生日パーティーでアイアンマン・スーツを着たまま暴走する。酒に酔い、客の前で危険な振る舞いを続けるトニーを見かねた親友ローディは、別のスーツを装着して彼を止めようとする。ふたりはトニーの邸宅で激しく衝突し、ローディはスーツを持ち去って軍に引き渡す。
この出来事によって、トニーとローディの信頼関係は大きく傷つく。ローディは友人としてトニーを心配していたが、軍人としての立場もあり、スーツを管理下に置く必要があると判断した。
ニック・フューリーと父ハワードの遺産
トニーの前に、シールド長官ニック・フューリーが現れる。彼はナタリーの正体がシールドのエージェントであることを明かし、トニーに父ハワード・スタークの資料を渡す。トニーは父との関係に複雑な思いを抱いていたが、資料を調べるうちに、ハワードが未来のために重要な手がかりを残していたことに気づく。
古い映像の中で、ハワードはスターク・エキスポの模型に隠されたメッセージを通して、当時の技術では作れなかった新元素の構造をトニーに託していた。トニーは父の意図を読み解き、自宅の設備を使って新たな元素を合成する。
新元素によって、トニーはパラジウムに代わる安全なエネルギー源を手に入れる。これは身体を蝕む問題を解決するだけでなく、父が本当に息子の未来を信じていたことを知るきっかけにもなる。トニーは父へのわだかまりを少しずつ解き、再び自分の使命に向き合う。
ウォーマシンの誕生
ローディが持ち去ったスーツは軍に渡り、ジャスティン・ハマーによって大量の武装が追加される。こうしてローディのスーツは、重火器を備えたウォーマシンとして改造される。ハマーはこれを自社の成果としてスターク・エキスポで披露し、さらにイワンが開発した無人兵器ドローンも発表する。
しかし、イワンはハマーの管理下にいるふりをしながら、ドローンとウォーマシンのシステムを密かに掌握していた。ハマーが華々しく兵器を披露する場は、イワンの復讐の舞台へと変わっていく。
スターク・エキスポでの暴走
スターク・エキスポの会場で、ハマーのドローンとウォーマシンが起動する。だが、それらはイワンに遠隔操作され、トニーを攻撃し始める。会場には多くの観客が集まっており、事態は大規模な危機へと発展する。
トニーは新たなエネルギー源を得たアイアンマン・スーツで出動し、ドローンの攻撃をかわしながら観客を守る。ウォーマシンもイワンに操られ、トニーを攻撃してしまうが、ナターシャとハッピーがハマー社に潜入し、システムの制御を取り戻そうとする。
ナターシャは高い戦闘能力で警備員たちを倒し、コンピューターにアクセスする。彼女の働きによってローディは操縦権を取り戻し、ウォーマシンとしてトニーと共闘できる状態になる。
アイアンマンとウォーマシンの共闘
トニーとローディは、無数のドローンに囲まれながら共闘する。かつて衝突したふたりだったが、戦いの中で再び信頼関係を取り戻していく。アイアンマンとウォーマシンは互いの火力と機動力を活かし、襲いかかるドローンを次々と破壊する。
戦いの終盤、イワン・ヴァンコは新たなアーマーを身にまとい、ウィップラッシュとしてトニーとローディの前に現れる。彼は強力な鞭状のエネルギー兵器でふたりを追い詰めるが、アイアンマンとウォーマシンは連携攻撃によってイワンを撃破する。
イワン・ヴァンコの最期
敗北したイワンは、自分のアーマーとドローンに仕掛けていた自爆機能を作動させる。トニーは会場に残っていたペッパーを救うため、爆発が迫る中で彼女のもとへ向かう。トニーは間一髪でペッパーを助け出し、大爆発から逃れる。
イワンは復讐を果たすことなく倒れるが、彼の存在はトニーに大きな影響を与える。彼はスターク家の過去が生んだ影であり、トニーが父の遺産と自分の責任に向き合うきっかけとなった存在でもある。
ペッパーとの関係と事件の後始末
事件後、ペッパーはスターク・インダストリーズの代表としての重圧に疲れ果て、トニーに怒りをぶつける。トニーは彼女を救った直後でありながら、いつものように軽口をたたくが、ふたりの関係にはこれまで以上に強い結びつきが生まれる。
ジャスティン・ハマーは、イワンを利用した責任を問われて逮捕される。彼の野心と焦りは、自社の兵器発表を大惨事へ変える結果となった。ローディはウォーマシンのスーツを持ち帰り、トニーとの関係も完全ではないながら修復へ向かう。
結末:アベンジャーズ計画への接続
その後、トニーはニック・フューリーと面会する。シールドはトニーの能力を評価しつつも、彼の性格や行動面には問題があると判断している。トニーは「アベンジャーズ計画」について興味を示すが、フューリーは彼を正式メンバーとしてではなく、まずはコンサルタントとして扱う方針を示す。
トニーは不満を見せながらも、その立場を受け入れる。こうして本作は、トニー個人の再生の物語であると同時に、後の『アベンジャーズ』へ向けた大きな布石として幕を閉じる。
ポストクレジット:ニューメキシコで発見されたもの
ポストクレジットでは、シールドのエージェントであるフィル・コールソンがニューメキシコへ向かう。砂漠地帯に巨大なクレーターができており、その中心には謎のハンマーが落ちている。これはソーの武器ムジョルニアであり、次作『マイティ・ソー』へとつながる重要な場面になっている。
このラストによって、『アイアンマン2』はトニー・スタークの物語にとどまらず、MCU全体の世界が広がっていく転換点として位置づけられる。
