映画『エノーラ・ホームズの事件簿2』(2022)を紹介&解説。
映画『エノーラ・ホームズの事件簿2』概要
映画『エノーラ・ホームズの事件簿2』は、ナンシー・スプリンガーによる小説シリーズ「エノーラ・ホームズの事件簿」を基にしたNetflix映画『エノーラ・ホームズの事件簿』の続編。シャーロック・ホームズの妹エノーラが、自ら探偵事務所を開き、初めて正式な依頼を受ける姿を描くミステリー・アドベンチャーである。監督は前作に続きハリー・ブラッドビア、脚本はジャック・ソーン。主演はミリー・ボビー・ブラウン、共演にヘンリー・カヴィル、デヴィッド・シューリス、ルイス・パートリッジ、ヘレナ・ボナム=カーターら。
作品情報
日本版タイトル:『エノーラ・ホームズの事件簿2』
原題:Enola Holmes 2
製作年:2022年
本国配信開始日:2022年11月4日(Netflix配信)
日本配信開始日:2022年11月4日(Netflix配信)
ジャンル:ミステリー/アドベンチャー/ドラマ/アクション
製作国:イギリス/アメリカ
原作:ナンシー・スプリンガー「エノーラ・ホームズの事件簿」(小説シリーズ)
上映時間:129分
前作:『エノーラ・ホームズの事件簿』(2020)
次作:『エノーラ・ホームズの事件簿3』(2026)
監督:ハリー・ブラッドビア
脚本:ジャック・ソーン
原案:ハリー・ブラッドビア/ジャック・ソーン
製作:メアリー・ペアレント/アレックス・ガルシア/アリ・メンデス/ミリー・ボビー・ブラウン/ロバート・ブラウン
製作総指揮:ジョシュア・グローデ/マイケル・ドライヤー/ペイジ・ブラウン/ジェーン・ヒューストン/ハリー・ブラッドビア/ジャック・ソーン
撮影:ジャイルズ・ナットジェンズ
編集:アダム・ボスマン
作曲:ダニエル・ペンバートン
出演:ミリー・ボビー・ブラウン/ヘンリー・カヴィル/デヴィッド・シューリス/ルイス・パートリッジ/スーザン・ウォーコマ/アディール・アクタル/シャロン・ダンカン=ブルースター/ヘレナ・ボナム=カーター
製作:レジェンダリー・ピクチャーズ/PCMAプロダクションズ
配信:Netflix
あらすじ
最初の事件を解決したエノーラ・ホームズは、兄シャーロックのような探偵を目指し、自分の探偵事務所を開く。しかし、若い女性探偵である彼女に依頼はなかなか舞い込まず、現実の厳しさに直面していた。そんな中、マッチ工場で働く少女ベッシーが、行方不明になった姉サラを探してほしいと依頼にやってくる。
単純な失踪事件に見えた依頼は、ロンドンの工場、劇場、上流社会、そしてベーカー街221Bへと広がり、やがて大きな陰謀へとつながっていく。エノーラは友人たちや兄シャーロックの力を借りながら、事件の真相と、自分が進むべき探偵としての道を見つめ直していく。
主な登場人物(キャスト)
エノーラ・ホームズ(ミリー・ボビー・ブラウン):シャーロック・ホームズの妹で、本作の主人公。前作での経験を経て探偵事務所を開き、初めて正式な依頼として行方不明の少女を探す事件に挑む。周囲の偏見にぶつかりながらも、観察力と行動力で真相へ迫っていく。
シャーロック・ホームズ(ヘンリー・カヴィル):エノーラの兄で、名高い探偵。自身も別の事件を追っているが、エノーラの調査と少しずつ接点を持っていく。冷静な推理力を持つ一方、妹との関係を通して新たな一面も見せる。
グレイル警視(デヴィッド・シューリス):事件の捜査線上でエノーラの前に立ちはだかるスコットランドヤードの人物。
テュークスベリー卿(ルイス・パートリッジ):前作からエノーラと関わる若き貴族。エノーラの友人であり、彼女が事件を追う中で助けを求める相手のひとり。
イーディス(スーザン・ウォーコマ):茶店の店主。危険な状況に置かれたエノーラを支える協力者として登場する。
レストレード警部(アディール・アクタル):スコットランドヤードの刑事。ホームズ作品で知られる人物であり、本作でもエノーラやシャーロックの周辺で事件に関わっていく。
ミラ・トロイ(シャロン・ダンカン=ブルースター):大蔵省高官の秘書。
ユードリア・ホームズ(ヘレナ・ボナム=カーター):エノーラとシャーロックの母。型にはまらない思想と行動力を持ち、エノーラの生き方に大きな影響を与えている。
サラ・チャップマン(ハンナ・ドッド):ベッシーの姉で、行方不明になったマッチ工場の労働者。エノーラが追う事件の中心にいる人物であり、物語は彼女の失踪をきっかけに大きく動き出す。
ベッシー・チャップマン(セラナ・スー=リン・ブリス):マッチ工場で働く少女。姉サラを探すため、エノーラに初めての正式な依頼を持ち込む。
作品の魅力解説
本作の魅力は、エノーラの成長物語と本格的なミステリー、そして社会派の視点が軽快に組み合わされている点にある。前作では“シャーロックの妹”として自分の道を探していたエノーラが、本作では探偵として働く現実に直面する。依頼が来ないこと、女性であるがゆえに軽く見られること、兄の名声と比較されること。そうした壁にぶつかりながらも、自分の方法で事件に向き合う姿が物語の軸になっている。
また、シャーロックとの関係性がより深く描かれる点も見どころである。エノーラとシャーロックは互いに優れた推理力を持ちながら、事件への向き合い方や人との距離感が異なる。本作では、ふたりが対立するだけでなく、互いの強みを認めながら事件を追う展開があり、ホームズ兄妹のチームアップとしても楽しめる。
さらに、物語の背景には1888年のマッチ工場女性労働者ストライキを想起させる要素が盛り込まれている。少女の失踪事件を入口に、労働環境や階級、女性の声が軽視される社会構造へと視野が広がっていくため、単なる冒険ミステリーにとどまらない厚みがある。テンポのよい推理劇とコミカルな語り口の中に、社会の不均衡を見つめる視点が織り込まれていることが、本作ならではの魅力である。
