セリーヌ・ソン監督×A24の新作『Materialists』が批評家から高評価を受けている。
『パスト ライブス/再会』の余韻を引き継ぐ注目作-ソン監督とA24の再タッグ
2023年に公開された『パスト ライブス/再会』は、日本でも口コミやSNSを通じて話題を集め、観客の間で静かなブームを巻き起こした。監督のセリーヌ・ソンは、韓国生まれでカナダ育ちの劇作家出身。初監督作ながら、繊細な対話と抑制された演出で注目を浴びた。
そのソン監督の最新作『Materialists(原題)』(マテリアリスツ)が、再びA24とのタッグによって完成した。2025年6月13日(金)に全米で公開された本作は、13日現在ロッテントマト(Rotten Tomatoes)での批評家支持率89%、Metacriticでも73点を記録するなど、高い評価を得ている。知的で洗練された恋愛描写と映像美を両立させた一作として、早くも映画ファンの注目を集めている。
【動画】『Materialists(原題)』予告編(英語)
ニューヨークを舞台にした“恋愛と経済”のロマコメ-愛は資産で測れるのか
『Materialists』の主人公は、ニューヨークでハイエンドな恋愛相談業を営むマッチメイカーのルーシー(ダコタ・ジョンソン)。恋愛を感情だけでなく“資産価値”でも冷静に判断する彼女は、財力と安定を兼ね備えたハリー(ペドロ・パスカル)との関係に満足していたはずだった。
しかし、ある日再会したのは、かつての恋人で今は売れない俳優のジョン(クリス・エヴァンス)。現実的な人生と情熱のはざまで揺れるルーシーの心を通じて、映画は「愛と経済のバランス」を問いかけるようだ。

『Materialists』© A24
舞台となるのは、高層マンションやギャラリー、投資家が集うレストランなど、いかにも“資本の街”らしいニューヨークの風景。撮影はシャビエ・カイナーが担当し、35mmフィルムを用いて都市の光と距離感を詩的に切り取っている。A24作品らしいスタイリッシュな映像美も、本作の大きな魅力となっている。
『Materialists』はどんな映画?/知性とユーモアで現代を切り取る
本作は“恋愛コメディ”というジャンルに分類されながらも、いわゆる王道のラブストーリーとは一線を画している。登場人物たちは誰もが一癖あり、会話は洗練されつつもどこか計算高く、恋愛の理想や誠実さに対する皮肉が随所にちりばめられているという。
SF Chronicleのインタビュー記事において、ソン監督は本作で「恋愛を市場(マーケットプレイス)として扱い、身長、収入、BMIなど数字で価値が計算される現代の恋愛を描いた」と語っており、この作品はまさに「恋愛市場における寓話」になりそうだ。
また、ニューヨークプレミア直後には「今やお金が愛の一部になっていることを、見ないふりはもうできない」と語った監督。この言葉は、作中で描かれる関係性のすべてに通じるテーマとなっている。観る者はルーシーの選択を通じて、恋愛における“合理”と“本能”の狭間で揺れる自身の価値観と静かに向き合うことになるだろう。

『Materialists』© A24
『Materialists』は、派手な感動や劇的な展開に頼らず、会話と映像の行間に現代のリアルを描き出す1作。すでに海外では高い評価を獲得している本作だが、セリーヌ・ソンとA24の再タッグとして、日本でも公開される日が待たれる。
作品情報
原題:Materialists
監督・脚本:セリーヌ・ソン
出演:ダコタ・ジョンソン、クリス・エヴァンス、ペドロ・パスカルほか
撮影監督:シャビエ・カイナー
編集:キース・フレース
音楽:ダニエル・ペンバートン
上映時間:117分
