アカデミー賞受賞作『ノー・アザー・ランド』パレスチナ人共同監督が入植者から暴行被害 - 家族へ無連絡のまま軍に連行か

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右から2人目がハムダーン・バラール

アカデミー賞受賞作『ノー・アザー・ランド』パレスチナ人共同監督が入植者から暴行被害 - 家族へ無連絡のまま軍に連行か

アカデミー賞受賞ドキュメンタリーの共同監督が暴行を受け連行される事態に。

先日のアカデミー賞でドキュメンタリー部門を受賞したイスラエル・パレスチナ合作映画『ノー・アザー・ランド 故郷はほかにない』のパレスチナ人共同監督ハムダーン・バラールが、イスラエル入植者集団に暴行を受けたとの報告が24日(日)、共同監督ユヴァル・アブラハームのSNS投稿で明らかになった。バラールはその後、イスラエル軍によって連行され、現在も消息不明の状態が続いているという。

この事件はアカデミー賞授賞式からわずか3週間後に発生。同映画がパレスチナ人の窮状を告発する内容であることから、政治的背景を含む暴力事件として国際的な懸念が高まっている。

共同監督アブラハームが緊急投稿「ハムダーン・バラールが入植者にリンチされた」

入植者の集団が、我々の映画『ノー・アザー・ランド 故郷はほかにない』の共同監督ハムダーン・バラールを今しがたリンチしました」と共同監督のユヴァル・アブラハームは24日、SNS「X」に緊急投稿した。「彼らは彼を殴り、頭と腹部に怪我を負わせ、出血しています。彼が呼んだ救急車に兵士たちが侵入し、彼を連れ去りました。それ以降、彼の消息はありません」と当時の状況を伝えている。

AP通信の報道によれば、非暴力ユダヤ人センターの活動家たちが現場でバラールが暴行される場面を目撃しており、「10〜20人のマスクをした入植者の集団が、彼と他のユダヤ人活動家を石や棒で攻撃し、彼らの車の窓を割り、タイヤを切り裂いた」と証言している。

目撃者の証言では、バラールは故郷のスースヤ村で攻撃を受け、マスクをした人物の大半は棒とナイフを持った10代の若者だったとジョセフ・カプラン・ワインガーは述べている。この際、バラール以外にも3人のパレスチナ人が拘束されたと報告されており、弁護士リア・ゼメルによると、彼らは尋問の前に軍事センターに連行されたという。ただし、彼らの拘束理由は明らかにされていない。

アブラハームはさらに、マスクをした男が別の人物を押す様子を映したビデオも共有。撮影していた人々がその後、車両に逃げ戻る様子も記録されていた。

国際ドキュメンタリー協会が即時釈放を要求

この事件を受け、国際ドキュメンタリー協会(IDA)は声明を発表し、「我々はバラールの即時釈放を要求し、彼の家族とコミュニティに彼の状態、場所、そして拘束の正当性について知らせることを求めます」と強く訴えた。

この暴行事件は、『ノー・アザー・ランド 故郷はほかにない』がアカデミー賞最優秀ドキュメンタリー賞を受賞してからわずか3週間後に発生した。授賞式では監督のアブラハーム、バラール、バーセル・アドラー、そしてレイチェル・ゾーが登壇し、ガザで起きている状況に世界の注目を集めようと訴えていた。

アカデミー賞授賞式でのメッセージと映画の背景

アカデミー賞授賞式の壇上で、パレスチナ人ジャーナリストで活動家のアドラーは「我々は世界に対し、不正を止め、パレスチナ人の民族浄化を止めるための真剣な行動を求めます」と訴えた。さらに「約2ヶ月前、私は父親になりましたが、娘には私が今生きているような生活を送ってほしくないという希望があります。…『ノー・アザー・ランド 故郷はほかにない』は、私たちが何十年も耐え、今もなお抵抗している厳しい現実を反映しています」と自身の思いを語った。

『ノー・アザー・ランド 故郷はほかにない』は、イスラエル・パレスチナの集団によって制作されたドキュメンタリー映画で、西岸地区に住むパレスチナ人家族が、イスラエル政府によって家を破壊され、立ち退きに直面する様子を追っている。物語の中心には、パレスチナ人のアドラーとイスラエル人ジャーナリストのアブラハームが厳しい状況の中で予想外の友情を築き、共にこの物語を記録するために協力する姿が描かれている。

高い評価を受けながらも配給の課題に直面

この映画は2024年のベルリン映画祭で初公開され、ドキュメンタリー部門の審査員賞と観客賞をダブル受賞するという快挙を成し遂げた。その後も秋の映画祭サーキットで高い評価を受け続け、トロント、バンクーバー、ニューヨーク映画祭といった名だたる映画祭で上映された。

しかし、国際的な評価の高さにもかかわらず、この映画はアメリカでの配給会社を確保できていない状況が続いていた。そのため、制作者たちは今年1月31日にニューヨーク市で、2月7日にロサンゼルスで自主配給という形で公開された。

バラール監督の所在や健康状態についての情報は、現在も明らかになっておらず、共同監督や国際団体、人権団体からの情報開示と即時釈放の要求が続いている。

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