映画『ドラキュラ/デメテル号最期の航海』(2023)を紹介&解説。
映画『ドラキュラ/デメテル号最期の航海』概要
映画『ドラキュラ/デメテル号最期の航海』は、ブラム・ストーカーの名作小説『吸血鬼ドラキュラ』の一章「デメテル号船長の航海日誌」をもとにしたモンスターホラー。ルーマニアのカルパチア地方から英国ロンドンへ向かう帆船デメテル号を舞台に、謎の木箱を運ぶ船員たちが、夜ごと姿を現す“何か”に追い詰められていく。監督は『ジェーン・ドウの解剖』『スケアリーストーリーズ 怖い本』のアンドレ・ウーヴレダル。主演はコーリー・ホーキンズ、共演にアシュリン・フランシオーシ、リーアム・カニンガム、デヴィッド・ダストマルチャン、ハビエル・ボテットら。
作品情報
日本版タイトル:『ドラキュラ/デメテル号最期の航海』
原題:The Last Voyage of the Demeter
製作年:2023年
本国公開日:2023年8月11日
日本公開日:2023年9月8日
ジャンル:ホラー/スリラー
製作国:アメリカ
原作:ブラム・ストーカー『吸血鬼ドラキュラ』第7章「デメテル号船長の航海日誌」
上映時間:119分
監督:アンドレ・ウーヴレダル
脚本:ブラギ・F・シャット/ザック・オルケウィッツ
原案:ブラギ・F・シャット
製作:ブラッドリー・J・フィッシャー/マイク・メダヴォイ/アーノルド・メッサー
製作総指揮:マシュー・ハーシュ/クリス・ベンダー/アン・ロッドマン/ジェブ・ブロディ/マーク・スピレイン/ケン・シェパード
撮影:トム・スターン
編集:パトリック・ラースガード
作曲:ベアー・マクレアリー
出演:コーリー・ホーキンズ/アシュリン・フランシオーシ/リーアム・カニンガム/デヴィッド・ダストマルチャン/ハビエル・ボテット/ウディ・ノーマン/ジョン・ジョン・ブリオネス/ステファン・カピチッチ/ニコライ・ニコラエフ
製作:ドリームワークス・ピクチャーズ/リライアンス・エンターテインメント/ストーリーワークス・プロダクションズ/スタジオ・バベルスベルク/フェニックス・ピクチャーズ/ワイズ・アウル・メディア
配給:ユニバーサル・ピクチャーズ(アメリカ)/東宝東和(日本)
あらすじ
ルーマニアのカルパチア地方から英国ロンドンへ、50個の無記名の木箱を運ぶためにチャーターされた帆船デメテル号。英国へ戻ろうとしていた医師クレメンスは、偶然の出来事をきっかけに船へ乗り込むことになる。しかし航海が始まると、船内では不可解な出来事が相次ぎ、乗組員たちは夜ごと姿を現す謎の存在に脅かされていく。やがて木箱に隠された秘密と、船を襲う恐怖の正体が少しずつ明らかになる。
主な登場人物(キャスト)
クレメンス医師(コーリー・ホーキンズ):英国へ戻るため、デメテル号に乗り込む医師。理性と医学の力で船内の異変に向き合おうとするが、常識では説明できない恐怖に直面していく。
アナ(アシュリン・フランシオーシ):デメテル号の木箱の中から発見される謎めいた女性。ドラキュラの存在を知る人物であり、乗組員たちに船内の危険を伝える重要な役割を担う。
エリオット船長(リーアム・カニンガム):デメテル号を率いる船長。経験豊富で責任感が強く、孫のトビーや乗組員たちを守ろうとするが、航海は次第に制御不能な悪夢へと変わっていく。
ヴォイチェク航海士(デヴィッド・ダストマルチャン):デメテル号の航海士。
ドラキュラ(ハビエル・ボテット):デメテル号に積まれた木箱とともに船へ入り込む吸血鬼。人間的な魅力よりも、獣のような恐怖と異形性が強調された存在として描かれる。
トビー少年(ウディ・ノーマン):エリオット船長の孫で、デメテル号に乗る少年。
作品の魅力解説
本作の大きな魅力は、ドラキュラ伝説を“海上の密室劇”として再構成している点にある。広大な海の上にいながら、逃げ場のない帆船の中で恐怖が増していく構造は、モンスター映画でありながらサバイバルスリラーとしての緊張感も生んでいる。
また、ドラキュラの描き方も特徴的である。貴族的で誘惑的な吸血鬼というより、夜の闇に潜む異形の捕食者として描かれており、古典的な怪物性を前面に押し出している。ハビエル・ボテットの身体性を生かした造形と動きが、船員たちを狩る存在としての恐ろしさを際立たせる。
原作では短い記録として語られる「デメテル号船長の航海日誌」を、乗組員それぞれの視点や関係性を加えて長編映画化している点も見どころだ。クレメンス、アナ、エリオット船長らの人物像を通じて、単なる怪物との対決だけでなく、死が近づく状況で人が何を信じ、誰を守ろうとするのかが描かれる。
さらに、船内の暗がり、荒れる海、木箱に隠された不気味な気配など、ゴシックホラーらしい美術と雰囲気も本作の魅力である。ドラキュラ映画の定番を踏まえながら、ひとつの船旅に物語を絞ることで、古典と現代的なモンスターホラーを結びつけた一作となっている。
