映画『ディケンズのニコラス・ニックルビー』(2002)を紹介&解説。
映画『ディケンズのニコラス・ニックルビー』概要
映画『ディケンズのニコラス・ニックルビー』は、チャールズ・ディケンズの小説『ニコラス・ニックルビー』を、ダグラス・マクグラス監督・脚本で映画化した文芸ドラマ。父を亡くした青年ニコラスが、冷酷な伯父ラルフによって引き裂かれた家族を守るため、不正や虐待に立ち向かいながら自立していく姿を描く。主演はチャーリー・ハナム、共演にジェイミー・ベル、アン・ハサウェイ、ジム・ブロードベント、クリストファー・プラマー、ロモーラ・ガライ、ネイサン・レインら。
作品情報
日本版タイトル:『ディケンズのニコラス・ニックルビー』
原題:Nicholas Nickleby
製作年:2002年
本国公開日:2002年12月27日(米国)
日本公開日:劇場未公開
ジャンル:ドラマ
製作国:アメリカ/イギリス/ドイツ/オランダ
原作:チャールズ・ディケンズ『ニコラス・ニックルビー』(小説)
上映時間:132分
監督:ダグラス・マクグラス
脚本:ダグラス・マクグラス
製作:サイモン・チャニング=ウィリアムズ/ジョン・N・ハート/ジェフリー・シャープ
製作総指揮:ゲイル・イーガン/マイケル・ホーガン/ロバート・ケッセル
撮影:ディック・ポープ
編集:レスリー・ウォーカー
作曲:レイチェル・ポートマン
出演:チャーリー・ハナム/ジェイミー・ベル/クリストファー・プラマー/ジム・ブロードベント/アン・ハサウェイ/ロモーラ・ガライ/ネイサン・レイン/トム・コートネイ/アラン・カミング/エドワード・フォックス/ティモシー・スポール
製作:ユナイテッド・アーティスツ/メトロ・ゴールドウィン・メイヤー/ハート=シャープ・エンターテインメント/ポットボイラー・プロダクションズ
配給:メトロ・ゴールドウィン・メイヤー(米国)/20世紀フォックス(海外)
あらすじ
19世紀のイングランド。父を亡くし、財産も失った19歳の青年ニコラス・ニックルビーは、母と妹ケイトを守るため、冷酷な伯父ラルフを頼ってロンドンへ向かう。しかしラルフは一家を助けるどころか、ニコラスを陰湿な寄宿学校へ送り込み、ケイトにも危険な人間関係を近づけていく。学校で虐げられていた青年スマイクと出会ったニコラスは、彼を連れて脱出し、旅回り劇団や善良な人々との出会いを経ながら、家族を搾取しようとするラルフの企みに立ち向かっていく。
主な登場人物(キャスト)
ニコラス・ニックルビー(チャーリー・ハナム):父の死をきっかけに、一家を支える立場となる青年。正義感が強く、理不尽な状況に置かれながらも、母と妹を守るために行動していく。
スマイク(ジェイミー・ベル):ワックフォード・スクイアーズが運営する寄宿学校で虐げられてきた青年。ニコラスと出会い、彼とともに学校を逃れたことで、新たな人生の可能性を見出していく。
ラルフ・ニックルビー(クリストファー・プラマー):ニコラスの伯父で、冷酷な金貸し。困窮したニックルビー一家を助けるふりをしながら、ニコラスやケイトを自分の利益のために利用しようとする。
ケイト・ニックルビー(ロモーラ・ガライ):ニコラスの妹。兄と同じく父の死後に苦境へ追い込まれ、ラルフの思惑によって危険な社交の場にさらされる。
ワックフォード・スクイアーズ(ジム・ブロードベント):ヨークシャーの寄宿学校を運営する男。子どもたちを劣悪な環境で扱う人物で、ニコラスが不正に立ち向かう大きなきっかけとなる。
マデリン・ブレイ(アン・ハサウェイ):貧しい境遇に置かれながらも気品を失わない若い女性。ニコラスと出会い、物語の中で彼の心を動かす存在となる。
ヴィンセント・クラムルズ(ネイサン・レイン):旅回り劇団の座長。逃亡中のニコラスとスマイクを受け入れ、物語にユーモアと活気をもたらす。
ニューマン・ノッグス(トム・コートネイ):ラルフのもとで働く事務員。表向きはラルフに従っているが、ニコラスたちを気にかけ、陰ながら助けようとする。
作品の魅力解説
本作の魅力は、ディケンズ文学らしい善悪の明快な構図を、重厚になりすぎないテンポで描いている点にある。家族の没落、児童虐待、階級社会の冷たさといった題材を扱いながら、旅回り劇団や個性的な脇役たちのユーモアが物語に明るさを添えている。
若きチャーリー・ハナムが演じるニコラスは、未熟さを残しながらも家族を守ろうとする主人公として描かれ、ジェイミー・ベル演じるスマイクとの関係が物語の感情的な軸になっている。さらに、クリストファー・プラマーの冷徹な存在感、ジム・ブロードベントの強烈な悪役ぶり、ネイサン・レインの軽やかな芝居が、群像劇としての面白さを広げている。
アン・ハサウェイ、ロモーラ・ガライらが演じる女性キャラクターにも、時代の中で翻弄されながら尊厳を保とうとする強さが込められている。古典文学の映画化でありながら、家族を守ること、弱者に手を差し伸べること、自分の正義を失わないことといったテーマは現代にも通じる。
ディケンズ作品に馴染みがない人にとっても、本作は人物関係が比較的わかりやすく、文芸映画としての品格と娯楽性を兼ね備えた一本である。クラシカルな衣装や美術、英国的な空気感、豪華キャストのアンサンブルを楽しめる作品としても見どころが多い。
