映画『クロッシング』(2009)を紹介&解説。
映画『クロッシング』概要
映画『クロッシング』(2009)は、アントワーン・フークア監督(『トレーニング デイ』)が、ニューヨーク・ブルックリンを舞台に、3人の警察官の葛藤と正義を描くクライムドラマ。退職目前のベテラン警官、金銭的に追い詰められた麻薬捜査官、組織の中で板挟みになる潜入捜査官が、それぞれの現場で限界に近づいていく。主演はリチャード・ギア、ドン・チードル、イーサン・ホーク。共演にウェズリー・スナイプス、エレン・バーキン、ウィル・パットンら。
作品情報
日本版タイトル:『クロッシング』
原題:Brooklyn’s Finest
製作年:2009年
本国公開日:2010年3月5日
日本公開日:2010年10月30日
ジャンル:クライム/ドラマ/サスペンス
製作国:アメリカ
原作:無
上映時間:132分
監督:アントワーン・フークア
脚本:マイケル・C・マーティン
製作:イーライ・コーン/ベイジル・イヴァニック/ジョン・ラングレー/ジョン・トンプソン
製作総指揮:アントワーン・フークア/アヴィ・ラーナー/ボアズ・デヴィッドソン/ダニー・ディムボート/ロバート・グリーンハット/ジェシー・ケネディ/トレヴァー・ショート/メアリー・ヴィオラ/マルコ・ウェーバー
撮影:パトリック・ムルギア
編集:バーバラ・タリヴァー
作曲:マルセロ・ザーヴォス
出演:リチャード・ギア/ドン・チードル/イーサン・ホーク/ウェズリー・スナイプス/ウィル・パットン/リリ・テイラー/ブリアン・F・オバーン/エレン・バーキン/ヴィンセント・ドノフリオ/マイケル・ケネス・ウィリアムズ
製作:ミレニアム・フィルムズ/サンダー・ロード・ピクチャーズ/ニュー・イメージ
配給:オーバーチュア・フィルムズ(アメリカ)/プレシディオ(日本)
あらすじ
ニューヨーク、ブルックリンの犯罪多発地区。退職まで残りわずかとなったベテラン警官エディ、家族を守るために金銭的な不安を抱える麻薬捜査官サル、長年の潜入捜査から抜け出そうとするタンゴは、それぞれ異なる事情を抱えながら職務に向き合っていた。警官による強盗殺人事件をきっかけに、3人の人生と正義は思わぬ形で交錯していく。
主な登場人物(キャスト)
エディ・デューガン(リチャード・ギア):退職を間近に控えたベテラン警官。長年の勤務を経て職務への情熱を失いかけており、孤独と虚無感を抱えながら最後の日々を過ごしている。
クラレンス・“タンゴ”・バトラー(ドン・チードル):麻薬組織に潜入している刑事。長期にわたる潜入任務で心身をすり減らし、警察組織への忠誠と、現場で築いた人間関係との間で揺れ動く。
サル・プロシーダ(イーサン・ホーク):信仰心があり、家族を大切にする麻薬捜査官。病を抱える妻と子どもたちのために安全な住まいを求めるが、金銭的な苦境から危険な選択へと追い込まれていく。
カサノヴァ・“キャズ”・フィリップス(ウェズリー・スナイプス):刑務所から出所した麻薬ディーラー。タンゴとは複雑な関係で結ばれている。
エージェント・スミス(エレン・バーキン):タンゴの潜入捜査に関わる捜査官。成果を優先する冷徹な姿勢で、タンゴに厳しい決断を迫っていく。
作品の魅力解説
『クロッシング』の魅力は、派手なアクションだけではなく、警察官という職業の内側にある疲弊、欲望、孤独、倫理の揺らぎを重く描いている点にある。アントワーン・フークア監督は、犯罪都市の緊張感を背景にしながら、登場人物たちを単純な善悪で裁かず、それぞれが抱える事情と限界を浮かび上がらせる。
物語は3人の警察官を軸に進む群像劇であり、エディ、タンゴ、サルは同じ街で働きながらも、まったく異なる闇に飲み込まれている。退職前の空虚、潜入捜査の孤独、家族を守りたいという切実な焦りが並行して描かれることで、“正義”がひとつの形では語れないことを示している。
リチャード・ギアの抑えた演技、ドン・チードルの緊張感、イーサン・ホークの追い詰められた表情も見どころ。さらに、ウェズリー・スナイプスが演じるキャズの存在が、単なる犯罪者像にとどまらない人間味を作品にもたらしている。ブルックリンの荒々しい空気と、登場人物たちの内面が交差する、重厚なクライムドラマである。
