映画『バッド・デイ・ドライブ』(2023)を紹介&解説。
映画『バッド・デイ・ドライブ』概要
映画『バッド・デイ・ドライブ』は、『プレデターズ』のニムロッド・アーントル監督が手がけたノンストップ・サスペンス。子どもを乗せた車に爆弾を仕掛けられた銀行幹部の男が、降車すれば爆発するという脅迫のもと、街中を走り続ける極限状況を描く。2015年のスペイン映画『暴走車 ランナウェイ・カー』を原作とするリメイク作品で、主演はリーアム・ニーソン。
作品情報
日本版タイトル:『バッド・デイ・ドライブ』
原題:Retribution
製作年:2023年
日本公開日:2023年12月1日
ジャンル:サスペンス/アクション
製作国:フランス/ドイツ/スペイン/アメリカ
原作:スペイン映画『暴走車 ランナウェイ・カー』(2015)のリメイク
上映時間:91分
監督:ニムロッド・アーントル
脚本:クリス・サルマンプール
製作:アンドリュー・ロナ/アレックス・ハイネマン/ジャウム・コレット=セラ/フアン・ソラ
製作総指揮:シャナ・エディ=グルーフ/リュック・エティエンヌ/ロン・ハルパーン/メルセデス・ガメロ
撮影:フラビオ・マルティネス=ラビアノ
編集:スティーブ・ミルコヴィッチ
作曲:ハリー・グレッグソン=ウィリアムズ
出演:リーアム・ニーソン/ノマ・ドゥメズウェニ/リリー・アスペル/ジャック・チャンピオン/エンベス・デイヴィッツ/マシュー・モディーン/エリアン・モアイェド
製作:ザ・ピクチャー・カンパニー/オンブラ・フィルムズ/TF1フィルムズ・プロダクション/スタジオ・バーベルスベルク
配給:ライオンズゲート(米国)ほか
『バッド・デイ・ドライブ』あらすじ
現代の都市。銀行幹部マット・ターナーは娘を同乗させた車で移動していた。突如、見知らぬ人物から車に爆弾が仕掛けられていると告げられ、降りれば爆発すると脅される。要求を突きつけられた彼は、制限時間の中で指示に従いながら、街を走り続ける極限状況へと追い込まれていく。
主な登場人物(キャスト)
マット・ターナー(リーアム・ニーソン):銀行幹部であり父親。子どもと共に爆弾を仕掛けられた車に閉じ込められ、犯人の要求に従いながら危機を打開しようとする。
アンジェラ・ブリックマン(ノーマ・ドゥメズウェニ):一連の事件を捜査する女性警官。
エミリー・ターナー(リリー・アスペル):マットの娘。父と共に車内で危険な状況に置かれる。
ザック・ターナー(ジャック・チャンピオン):マットの息子。家族の一員として事件に巻き込まれる。
ヘザー・ターナー(エンベス・デイヴィッツ):マットの妻。夫との関係に悩む中で事件に巻き込まれる。
アンダース・ミュラー(マシュー・モディーン):マットのビジネス仲間。
『バッド・デイ・ドライブ』簡易レビュー・解説
スペイン映画『暴走車 ランナウェイ・カー』の英語版リメイクにあたる本作は、車から降りれば爆発するというシンプルかつ強烈なルールを起点に展開するタイムリミット型スリラー。物語の大半が車内で進行するため、密室劇さながらの緊張感が持続し、逃げ場のない心理戦が展開する構造となっている。
とはいえ、この手のジャンルをある程度観てきた人間にとっては、本作の展開はほぼ想定の範囲内に収まってしまう。というより、基本的に同じ構図が繰り返されるばかりで物語に大きな転換点が乏しく、サスペンス映画として求められる“振り回されるスリル”や“予測を裏切る快感”が薄いのは否めない。金の世界に生きてきた男が謎めいた試練を通じて自らの人生を見つめ直すという筋書きには、デヴィッド・フィンチャー監督の『ゲーム』という強力な先例が存在しており、その比較においても本作が独自の存在感を示しているとは言いがたい。
結局のところ、本作ならではの魅力として残るのは、爆弾の存在が明かされた瞬間の初期衝動的なハラハラ感と、リーアム・ニーソンという俳優が醸し出す味わいに集約されてしまう。
ただ、本作で確かに評価できるのは、リーアム・ニーソン演じる主人公マットの造形だ。彼は自分が演出したいほど“デキる男”では決してなく、成功へのコンプレックスを抱えた荒削りな人間であるがゆえに、何かと余裕がない。身を潜めろと言われれば人目につく場所に汚い車を堂々と止めてしまうし、妻の写真をスマホの連絡先に登録しているのだが、それが妙に写りの悪い一枚だったりする。こうした“細部にまで気が回らない余裕のなさ”が、彼の虚栄心の裏にある脆さをにじませており、地に足のついた人間臭いキャラクター造形として機能している。
ライター/エディター/映画インスタグラマー。2019年に早稲田大学法学部を卒業。東京都職員として国際業務等を経験後、ライター業に転身。各種SNS(Instagram・X)やYouTubeチャンネル「cula 見て聞く映画マガジン(旧:アルテミシネマ)」においても映画や海外ドラマ、音楽といったカルチャーに関する情報レビューを発信している。
