『チルド』とはどんな映画?あらすじ・キャスト・魅力まとめ

映画『チルド』(2026)を紹介&解説。


映画『チルド』概要

映画『チルド』は、東京の片隅にあるコンビニエンスストアを舞台に、繰り返される日常が静かに狂い始める様子を描いた“コンビニエンス・ホラー”。同じ商品、同じ挨拶、同じ作業によって保たれていた店内の秩序が、新人アルバイトの加入をきっかけに崩れ、やがて外の世界まで終わりへ向かっていく。短編映画『VOID』で注目された岩崎裕介の長編監督デビュー作で、主演は染谷将太。共演に唐田えりか、西村まさ彦、くるま(令和ロマン)、長島竜也らが名を連ねる。第76回ベルリン国際映画祭フォーラム部門に正式出品され、国際映画批評家連盟賞を受賞した。

作品情報

日本版タイトル 『チルド』
原題/英題 AnyMart
製作年 2026年
日本公開日 2026年7月17日
ジャンル ホラー/ドラマ
製作国 日本
原作 無
上映時間 88分
映倫区分 R15+
監督 岩崎裕介
脚本 岩崎裕介
プロデューサー 林健太郎/下條友里/井上淳
ラインプロデューサー 長束雄介
撮影 大河原真生
照明 佐伯琢磨
録音 浅田将助
美術 大沼史歩
衣装 石塚愛理
ヘアメイク 舟﨑彩乃
編集 大森優希
音楽 PAS TASTA
主題歌 PAS TASTA「無限の国 feat. ermhoi」
出演 染谷将太/唐田えりか/西村まさ彦/くるま/長島竜也
企画・プロデュース NOTHING NEW
制作プロダクション 東北新社
製作 『チルド』製作委員会(NOTHING NEW/東北新社)
配給 NOTHING NEW

あらすじ

東京の片隅にあるコンビニ〈エニーマート倉冨町7丁目店〉。副店長の堺は、学生時代にアルバイトとして働き始めて以来、20代のほとんどをこの店で過ごしてきた。レジ打ち、品出し、廃棄処理、スマホゲーム、マッチングアプリ。同じことを繰り返すだけの毎日を、目的もなく生き続けている。

店を支配するオーナーは、効率的に設計されたコンビニというシステムの中で、わずかな乱れも許そうとしない。ところが、新人アルバイトの小河が働き始めたことで、保たれていた店の均衡が静かに崩れ始める。小さな違和感から生まれた歪みは、やがてコンビニを逃げ場のない極限の空間へと変え、外の世界までも終わりへ向かわせていく。

主な登場人物(キャスト)

堺(染谷将太):〈エニーマート倉冨町7丁目店〉の副店長。学生時代から働き続け、気づけば20代の大半をコンビニで過ごしてきた。仕事にも将来にも明確な意思を持てないまま、同じ作業を繰り返す毎日に埋没している。

小河(唐田えりか):〈エニーマート倉冨町7丁目店〉で働き始める新人アルバイト。人と関わることが誰かの人生を少し良くすると信じており、無気力な堺とは対照的に、自分の未来についてまっすぐに語る。その存在が、店内の秩序を変化させていく。

オーナー(西村まさ彦):コンビニという完成されたシステムを重視し、わずかな乱れも許さない店の支配者。規則や効率を優先し、従来の秩序を乱しかねない小河を警戒する。

室田(くるま):〈エニーマート倉冨町7丁目店〉で働くアルバイト。

今井(長島竜也):〈エニーマート倉冨町7丁目店〉の店長。

作品の魅力解説

身近なコンビニが異界へ変わる恐怖

本作が恐怖の舞台に選んだのは、24時間明かりが消えず、誰もが日常的に利用するコンビニである。同じ商品、同じ挨拶、同じ作業が絶えず繰り返される空間に、小さな違和感を忍び込ませることで、見慣れた場所を逃げ場のない異界へと変えていく。派手な怪異だけに頼らず、日常と狂気の境界が少しずつ曖昧になる不安を生み出している。

効率化された社会を映すホラー

コンビニは、商品だけでなく働く人間まで一定の規格に当てはめる、効率化された社会の縮図として描かれる。人間を個人としてではなく、交換可能な労働力や“物”として扱う社会の構造を、ジャンル映画として浮かび上がらせている点が特徴だ。タイトルの「チルド」にも、冷やされた商品のように感情や生気を失っていく人間の姿が重ねられている。

染谷将太と唐田えりかの対照的な演技

染谷将太演じる堺は、自らの意思を失い、ルーティンの中に沈み込んだ人物。一方、唐田えりか演じる小河は、人との関係や未来を信じようとする人物として登場する。対照的な二人の存在がぶつかることで、静かだった店内に変化が生まれていく。秩序に固執するオーナーを演じる西村まさ彦の不穏な存在感も、物語の緊張を高めている。

16ミリフィルムで捉えた無機質な空間

本作は16ミリフィルムで撮影されており、蛍光灯に照らされたコンビニの無機質な明るさに、ざらついた質感が加えられている。整然と商品が並ぶ店内の清潔さと、登場人物たちの内側に広がる不安や混乱が対比され、現実でありながら現実ではないような独特の映像世界を生み出している。

PAS TASTAによる異質な音楽

音楽を担当したのは、6人組のJ-POPプロジェクト・PAS TASTA。本作が初の映画劇伴となり、コンビニの日常に潜む湿度や違和感を音響面から強調している。ermhoiを迎えた主題歌「無限の国」は、終わることなく繰り返される空間を思わせる楽曲で、物語の余韻を象徴する一曲となっている。

岩崎裕介の長編デビュー作に対する国際的評価

CMディレクターとして活動し、短編ホラー『VOID』を国内外の映画祭へ送り出した岩崎裕介の長編監督デビュー作。第76回ベルリン国際映画祭フォーラム部門に正式出品され、日本作品として唯一となる国際映画批評家連盟賞を受賞した。身近なコンビニを通じて現代社会を映し出す着想と、ホラー、ブラックユーモア、社会批評を組み合わせた独自性が国際的にも評価されている。

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