デュア・リパが、テレビ販売に自身の写真を無断使用されたとして、サムスン電子を提訴した。
英歌手のデュア・リパ(Dua Lipa)が、サムスン電子(Samsung Electronics)を相手取り、少なくとも1500万ドル(約23億6000万円/5月12日時点)の損害賠償を求める訴訟を起こした。リパ側は、同社が自身の写真をテレビのパッケージに無断で使用し、あたかも本人が商品を推薦しているかのような印象を消費者に与えたと主張している。
テレビの箱に写真を掲載か 訴状では著作権侵害などを主張
訴状は米カリフォルニア州の連邦地方裁判所に提出された。リパ側は、サムスン電子が2024年のオースティン・シティ・リミッツ・ミュージック・フェスティバルの舞台裏で撮影された自身の写真を、2025年以降、複数のテレビ商品のパッケージに使用したと主張している。
問題となっている写真について、リパ側は本人が著作権を保有していると説明。訴状では、サムスン電子が「リパ氏の知名度と信用を認識したうえで、許可やライセンスを得ることなく、同氏の著作権で保護された画像を使用し、サムスン製テレビが入った小売販売用の段ボール箱の前面に大きく掲載した」としている。
リパ側は、同社の行為が著作権侵害、商標権侵害、パブリシティ権の侵害にあたると主張。さらに、本人の許可や報酬なしに商業利用が行われたことで、アーティストとして築いてきたイメージやブランド価値が損なわれたとしている。
「本人が推薦している」と誤認させた可能性も争点に
訴状で特に問題視されているのは、写真の使用によって、リパがサムスン製テレビを推薦しているかのような印象を与えた可能性である。リパ側は、本人が同商品を支持・承認した事実はないとしながら、消費者の一部がパッケージ上の写真を理由に購入を検討、または購入したとみられるSNS上の投稿も例として挙げている。
訴状には、XやInstagramに投稿されたコメントとして、「テレビを買うつもりはなかったけれど、箱を見て買うことにした」「デュアが載っているという理由だけで、そのテレビを買う」といった趣旨の反応が引用されている。これらの投稿は、写真の使用が単なる装飾ではなく、購買意欲に影響を与えた可能性を示すものとして示された形だ。
またリパ側は、サムスン電子に対して画像使用の停止を求めたにもかかわらず、同社が応じなかったとも主張している。訴状では、同社の対応を「軽視的で冷淡」と表現し、問題の商品が現在も市場で販売されていると指摘している。
セレブリティの肖像利用をめぐる問題が改めて浮上
今回の訴訟は、著名人の写真や肖像を商品販売に使用する際の権利処理をめぐる問題を改めて浮き彫りにしている。リパは「Levitating」や「Don’t Start Now」などのヒット曲で知られ、ファッションやビューティー、ライフスタイル領域でもブランド価値の高いアーティストとして活動してきた。
訴状では、リパが商業パートナーシップを慎重に選んできたことにも触れられている。本人の名前、写真、肖像がどの商品と結びつくかは、アーティストのイメージ戦略に直結するため、無断使用があった場合には単なる写真使用料の問題にとどまらない。
リパ側は、サムスン電子が自身の知名度や人気を利用して商品販売につなげたと主張しており、少なくとも1500万ドルの損害賠償を求めている。現時点で訴訟は始まったばかりであり、今後は写真の権利関係、使用の経緯、消費者に与えた印象、損害額の妥当性などが争点になるとみられる。
