『Michael/マイケル』の大規模な再撮影と構成変更の内幕を追う。
(※この記事には映画の構成に関するネタバレが含まれます。)
マイケル・ジャクソンの伝記映画『Michael/マイケル』をめぐり、大規模な撮り直しと構成変更が行われていたとVarietyが報じた。当初は1993年の児童性的虐待疑惑を物語終盤の重要な要素として扱う予定だったが、法的事情により関連する描写は削除され、作品の結末そのものが再構築されたという。追加撮影には約22日間が費やされ、公開延期や制作費の上振れにもつながったようだ。
映画『Michael/マイケル』は当初、児童性的虐待疑惑を含んでいた
Varietyによれば、当初の『Michael/マイケル』は、マイケル・ジャクソンの人生でも最も物議を醸した時期のひとつを正面から扱う構成だったという。オリジナル脚本では、1993年に浮上した児童性的虐待疑惑が物語の大きな転換点として位置づけられ、第3幕の大部分がそのスキャンダルに割かれていたとされる。
報道では、捜査員がネバーランド・ランチを訪れる場面なども準備されていたが、こうしたくだりは最終的に完成版から取り除かれたという。結果として、本作は当初想定されていた“影”の側面を描く構成から大きく舵を切ることになったようだ。
この変更の背景には、告発者のひとりであるジョーダン・チャンドラーとの和解条項が関係していたという。関係者の証言では、製作側は土壇場になって、映画の中で彼を描写したり言及したりすることを禁じる内容が含まれていると把握し、結末を含めた大幅な見直しを迫られたようである。
法的事情の発覚で再撮影と公開延期が生じた
Varietyによると、製作陣が大幅な軌道修正を迫られた理由は、告発者のひとりであるジョーダン・チャンドラーとの和解内容にあったという。関係者の証言では、マイケル・ジャクソン財団の弁護士らが、いかなる映画作品においてもチャンドラーを描写または言及できない条項の存在に気づき、当初のエンディングを含む構成全体の見直しが必要になったようだ。
この土壇場での発覚を受け、製作側は新たな第3幕を組み立てるため、追加撮影を実施したという。2024年6月にはキャストが再集結し、22日間にわたって再撮影が行われた。主な撮影はサンタバーバラで進められ、その後ロサンゼルスでも作業が続いたとされる。
こうした再撮影の影響は、スケジュールと予算の両面に及んだ。当初2025年4月18日に予定されていた全米公開は、いったん同年10月3日に延期され、最終的には2026年春へと再調整されたという。また、類似案件に詳しい関係者の話では、追加費用は1000万〜1500万ドル規模にのぼったとされる。報道では、この費用は財団側の負担となり、その見返りとして作品への持分を得たとも伝えられている。
さらに、脚本を手がけたジョン・ローガンの自宅がパリセーズ火災で損傷したことも、作業の遅れに拍車をかけたようだ。結果として『Michael/マイケル』は、単なる編集変更ではなく、公開計画そのものを揺るがすレベルの再構築を迫られたことになる。
完成版は“絶頂期のマイケル”で締めくくられ、続編構想も浮上している
こうした再構築を経て、完成版の『Michael/マイケル』は、当初とは異なる着地点を採ることになったようだ。完成版を観た関係者によれば、映画の終盤はマイケル・ジャクソンの「Bad」ツアーを舞台に、彼が再びステージへ向かう姿で締めくくられるという。スキャンダルによって転落していく過程ではなく、なおスターとして観客を魅了する瞬間で幕を下ろす構成へと改められた形だ。
Varietyによると、完成版では圧巻のパフォーマンスシーンと音楽面がより前面に押し出される一方、私生活における奇行や後年の論争には深く踏み込まない方向に調整されたという。その代わり、物語の緊張軸として重視されているのが、息子のソロ活動を快く思わない父ジョー・ジャクソンとの関係である。あわせて、1984年のペプシCM撮影中の事故による重度のやけどや、その後の回復、鎮痛剤への依存の始まりも描かれる予定だとされる。
一方で、本作は1本で完結しない可能性も取り沙汰されている。報道では、オリジナル版の上映時間が3時間半を超えていたことから、プロデューサーのグラハム・キングが二部作化を望んでいるとされる。ライオンズゲートと国際配給を担うユニバーサルも、続編に転用できる素材がなお残っていると見ているようだ。ただし、将来的な作品で晩年の法廷闘争や虐待疑惑をどう扱うかは現時点では明らかになっていない。
さらに、スタジオ内では本作の興行にも強い期待が寄せられているという。公開前の追跡調査では、北米初週末で5500万ドル超のスタートが見込まれており、世界興収7億ドル規模への期待も報じられている。作品内容の大幅な見直しを経た『Michael/マイケル』は、公開後の成績次第で、その先の展開まで左右するタイトルになりそうだ。
