S・S・ラージャマウリ最新作『Varanasi(原題)』の詳細が初公開され、主演キャストが制作秘話を語った。
前作『RRR』(2022)で世界的評価を獲得したS・S・ラージャマウリの次回作として、かねてより注目を集めてきた『Varanasi(原題)』(2027)。
アメリカの観客を魅了し、オスカー歌曲賞を受賞した「Naatu Naatu」を生んだ前作以降、彼の次なる一手はインド映画界のみならず世界中の映画ファンの関心を集めてきた。
主演を務めるのはマヘーシュ・バーブ、共演にプリヤンカー・チョープラー、プリトヴィラージ・スクマーランを迎えた本作は、ヒンドゥー神話とSF、タイムトラベルを融合させた壮大な1作となるという。
2027年の世界公開を前に、キャストたちは本作にかける思いと、その長い制作の歩みを語った。
Varanasi は10年以上もの間、制作の水面下で温められていた
S・S・ラージャマウリは、数年おきに話題作を送り出してきた稀有なフィルモグラフィーを持つ監督である。一方で、その成功の連続が、次なる超大作の始動を結果的に遅らせてきた側面もあった。『Varanasi(原題)』はまさにその象徴とも言える企画であり、構想自体は10年以上前から存在していたという。
主演のマヘーシュ・バーブは、本作が実現するまでの長い年月について、「この映画が実現するのを、15年も待っていたよ」と振り返る。
最初にラージャマウリから声をかけられた際には、「一緒に映画を作りたい」と言われたものの、『バーフバリ 伝説誕生』『バーフバリ 王の凱旋』、そして『RRR』という一連の巨大プロジェクトが先に控えていた。
その間にパンデミックも重なり、結果として実現までに15年を要することとなったが、それでも監督は約束を守り続けたという。マヘーシュ・バーブは、ラージャマウリから「もうストーリーが仕上がった。ナレーションをしたいんだ」と連絡を受けた瞬間を、特に印象深い出来事として語っている。
【動画】『Varanasi(原題)』公式予告編
Varanasi は、プリトヴィラージ・スクマーランを悪者としての思考に挑ませた
イベント「Globetrotter」の開催中、共演者たちから惜しみない称賛を受けたプリトヴィラージ・スクマーランは、自身が演じる悪役・クンバーについて語った。登場人物としてのクンバーは、単純な善悪の二元論では語れない複雑なキャラクターであり、その予測不能な物語性について、スクマーランは次のように述べている。
「善悪だけの話じゃないと思う。これは、私がこれまで演じた中で最も予測不能な物語を持つキャラクターだと思う」
クンバーは、テクノロジー搭載の車椅子に加え、ドクター・オクトパスのような機能的な腕を備えたユニークな悪役として描かれ、映画史上の象徴的なヴィランたちを彷彿とさせる存在感を放つという。スクマーラン自身は、こうした挑戦的な役柄を通じて、ラージャマウリの演出の本質を体感したという。
「彼の第一の優先事項が常に俳優のクローズアップであることに気づいたよ。昔からある言葉で『正直に演じる俳優のクローズアップ以上に強い視覚的表現はない』という言葉があるよね。彼はそれを本当に信じている。それが大きなセットアップの中にもかかわらず。彼がキャストの演技を仕上げるために注いでいる時間の量は、本当に感謝に値するものだよ。」
モリウッドの大スターとして多彩な演技を見せてきたスクマーランだが、今回の役作りを通じて示されたクンバーの存在感は、単なる“悪者”の枠を超えた人間の奥行きを持つヴィランとしての深い思考を必要とするものである。
5万人もの歓呼のもとで、トレーラーが初公開された
『Varanasi(原題)』の最初のトレーラーは、インド・ハイデラバッドにあるラモジーフィルム・シティで開催されたイベント「Globetrotter」にて初公開された。会場には5万人を超える観客が集まり、スーパースターキャストのわずかな登壇を目撃するため、数時間をかけて現地に足を運んだという。
巨大なIMAXスクリーンにマヘーシュ・バーブの姿が映し出されるたび、会場は割れんばかりの歓声に包まれた。その光景は、西洋の観客にとっては映画イベントというよりも、年に一度のスポーツの祭典を思わせる熱狂に近いものであったという。インド映画が持つスター性と集客力は、この瞬間、強烈な形で可視化されたと言える。
トレーラー解禁後、その反応は瞬く間にSNS上へと拡散され、イベントの熱気は国境を越えて共有された。この反響について、マヘーシュ・バーブは映画の完成と公開を前にした心境を次のように語っている。
「ここに映画を讃えよう!いつもみんなに言い続けているとおりね。特にテルグ映画を讃えよう。彼らの期待に応える必要があるから、プレッシャーもある。だから、自分たちが伝えたいものを届け、常にバーを上げ続けなきゃいけない。」
世界中の観客に向けた“アクロス・オーディエンス”の冒険譚として構想されている『Varanasi(原題)』は、このトレーラー初公開の瞬間をもって、いよいよその全貌を現し始めた。
世界規模の実地撮影が、『Varanasi(原題)』のスケールを物語る
近年の大作映画では、グリーンスクリーンやポストプロダクションへの依存が一般化している一方で、過度なVFXが没入感を損なう危険性も指摘されてきた。
その点、『Varanasi(原題)』では、インド各地の風景をはじめとする実地撮影が重視されており、物語のスケールと質感を両立させる選択がなされている。
本作は、ヒンドゥー神話に根差した過去の世界から、小行星に脅かされる未来のタイムラインまでを横断する壮大な物語を描く。その背景として、人類の欠点と優雅さを同時に映し出す「本物の風景」が重要な役割を果たしている。
ラージャマウリは、この点においても妥協のない姿勢を貫いているようだ。
撮影の中でも、アフリカでのロケーションはキャストにとって特別な経験となったという。主演のマヘーシュ・バーブは、マサイ・マラでの撮影を「これまでで最も楽しい経験だった」と振り返り、動物たちのすぐそばで行われた撮影の記憶を「永遠に忘れられない」と語っている。
また、プリヤンカー・チョープラーも、ケニア政府の協力のもとで実現した撮影について、「一度だけの経験で、きっと二度とできないと思う」と述べており、本作が持つ制作規模と希少性を強調した。
『RRR』によって世界的評価を確立したS・S・ラージャマウリが、10年以上にわたって温めてきた『Varanasi(原題)』は、神話、SF、アクションを融合させた新たなエピックとして、その輪郭を徐々に明らかにしつつある。
『Varanasi(原題)』は、2027年に世界公開予定。日本公開についても同じく2027年が予定されており、具体的な日程は今後の発表を待つ形となる。
