映画監督ロブ・ライナーと妻ミシェル・シンガーが自宅で死亡し、ロサンゼルス市警が殺人事件として捜査している。
『スタンド・バイ・ミー』や『恋人たちの予感』などで知られる映画監督ロブ・ライナーが、妻ミシェル・シンガー・ライナーとともにロサンゼルス・ブレントウッドの自宅で遺体となって発見された。78歳だった。ロサンゼルス市警察(LAPD)は、この件を「明らかな殺人事件」として捜査しており、ハリウッドに衝撃が広がっている。
ブレントウッドの自宅で発見-LAPDは殺人事件として捜査
TMZによると、ロブ・ライナーと妻ミシェル・シンガー・ライナーは日曜日、ブレントウッドにある自宅で遺体となって発見された。LAPDは午後3時40分(現地時間)に通報を受けて現場に出動し、ふたりの死亡を確認したという。
警察は死因について「明らかな殺人事件」と説明しているものの、現時点では被害者の身元について公式な確認は行っていない。『ABC7』は、2人が刺殺された可能性があると報じている。現場にはLAPD強盗殺人課の刑事が入り、詳しい状況の解明が進められている。
また、ロサンゼルス・タイムズは、ライナー一家に近い親族が当局から事情聴取を受けていると、法執行機関の情報筋の話として伝えている。ロサンゼルス消防局の関係者によれば、死亡したのは78歳の男性と68歳前後の女性で、年齢は夫妻と一致しているという。
テレビスターから名匠へ-ロブ・ライナーのキャリア
ロブ・ライナーは、俳優としてキャリアをスタートさせた後、映画監督としてハリウッドを代表する存在となった人物だ。父は、コメディアン兼監督として知られるカール・ライナーで、ショービジネスの名門一家に生まれ育った。
CBSのシットコム『オール・イン・ザ・ファミリー(原題)』では、キャロル・オコナー演じる偏見に満ちた労働者階級の主人公アーチー・バンカーの、ヒッピーな義理の息子マイケル・“ミートヘッド”・スティヴィック役として9シーズンにわたり出演。1974年と1978年には、コメディ部門の助演男優賞でエミー賞を受賞し、俳優として高い評価を得た。
その後、脚本家としてテレビ映画や人気番組に携わったライナーは、1984年に映画『スパイナル・タップ』で監督・脚本・出演を兼ねて映画界に進出する。この作品は、架空のヘビーメタル・バンドを描いたインプロビゼーション主体のモキュメンタリーとしてカルト的な人気を獲得した。
以降、『スタンド・バイ・ミー』『プリンセス・ブライド・ストーリー』『ミザリー』『恋人たちの予感』『アメリカン・プレジデント』など、ジャンルを横断したヒット作と評価の高い作品を次々に手がけ、安定した職人性と語りの巧みさで映画史に名を刻んだ。
率直な政治活動家としての顔と社会的影響
映画界での成功と並行して、ロブ・ライナーはハリウッドでも屈指の率直な政治活動家として知られてきた。公職に就く道は選ばず、ゲイの権利擁護やタバコ業界との長年にわたる闘いなど、自身が支持する社会運動に直接関わる形で影響力を行使してきた。
また、カリフォルニア州の複数の住民投票イニシアチブに積極的に関与し、民主党の主要な資金調達者としても活動。ドナルド・トランプ大統領に対しては、在任中から一貫して厳しい批判を展開していた。
ライナーはかつて、公職に就かない理由について「ないね、選挙で選ばれる公職には就きたくないんだ」「物事を成し遂げたいんだよ」と語っている。
こうした姿勢は、作品世界とは異なるかたちで彼の存在感を際立たせ、映画監督という枠を超えた発言者としての立場を築くことにつながった。
妻ミシェル・シンガー・ライナーと家族
妻のミシェル・シンガー・ライナーは、かつて写真家として活動しており、ドナルド・トランプの著書『ザ・アート・オブ・ザ・ディール』の表紙用写真を撮影したことでも知られている。ロブ・ライナーとの間には、ジェイク、ニック、ロミーの3人の子どもがいる。
また、ライナーは最初の妻である故女優兼監督ペニー・マーシャルの娘で、女優のトレイシー・ライナーの養父でもあった。家族関係においても、映画界と深く結びついた存在だった。
夫妻の死をめぐっては、現在もロサンゼルス市警察による捜査が続けられており、事件の詳しい経緯や動機については明らかになっていない。ハリウッドに数多くの名作を残し、映画界のみならず社会的発言者としても影響力を持ち続けたロブ・ライナーの突然の死は、多方面に大きな衝撃を与えている。捜査の進展が待たれる状況だ。



