【興行収入】『ブラック・フォン2』が全米1位でホラー旋風-ブラムハウス復活を告げる4200万ドルの快進撃

『ブラックフォン 2』より © 2025 Universal Studios. All Rights Reserved. NEWS
『ブラックフォン 2』より © 2025 Universal Studios. All Rights Reserved.

ホラー映画『ブラック・フォン 2』が全米興収1位を獲得。全世界で4200万ドルの好スタートを切った。


ホラー映画ブラック・フォン2が、ブラムハウス・プロダクションズに待望の復活劇をもたらした。スコット・デリクソン監督による本作は、全米で予想を上回るオープニングを記録。低迷が続いていたホラー界の名門スタジオに再び光を当てた。

ホラー界の雄ブラムハウスが復調-『ブラック・フォン2』が全米首位に

ブラムハウスが復活を遂げた。スコット・デリクソン監督の『ブラック・フォン2』は、ホラー界の巨匠ジェイソン・ブラム率いるスタジオに大きな勝利をもたらした。

全米3411館で2650万ドル(約39億9400万円)を記録し、海外72市場で1550万ドル(約23億3800万円)を加え、全世界合計4200万ドル(約63億3000万円)のスタートを切った。製作費は控えめな3000万ドル(約45億2100万円)とされ、初動としては十分な成功だ。

このデビューは、ユニバーサル傘下である同スタジオが一連の不振を経て再び勢いを取り戻した証拠でもある。年初に高額な失敗作とされた『M3GAN 2.0』からの巻き返しとして、ブラムハウスにとって象徴的な復活劇となった。

また、観客の反応も好調で、批評家からは「『ブラック・フォン』ユニバースの拡張」と評され、観客調査のシネマスコアではB評価を獲得。ホラー作品としては極めて高い水準にある。

『ブラックフォン 2』より © 2025 Universal Studios. All Rights Reserved.

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観客層の特徴と批評の反応-ラティーノ層が39%を占める

『ブラック・フォン2』の成功を支えたのは、観客層の広がりと好意的な評価だった。中でも注目されるのは、ラティーノ層が全体の約39パーセントを占めた点だという。米国で最も頻繁に映画館に足を運ぶとされる層が本作を積極的に支持し、興行を押し上げた。

批評面でも、前作からの世界観を拡張した点が高く評価された。観客調査のシネマスコアではB評価を獲得し、ホラーとしては上位に入る満足度を示している。デリクソン監督の演出が前作の恐怖と余韻を巧みに引き継ぎながら、物語をより感情的な方向へ導いたことが成功要因のひとつだ。

海外市場でも好調で、特にメキシコでは430万ドル(約6億4800万円)を記録。これはホラー作品としては異例の数字であり、同国の観客層の厚さを裏づける結果となった。全体として、ブラムハウスは再び「少ない投資で大きく稼ぐ」スタジオの代名詞に返り咲いたといえる。

他作品の動向-『トロン:アレス』は大幅減、『Good Fortune』は苦戦

『トロン:アレス』より © 2025 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.

『トロン:アレス』より © 2025 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.

同週公開の他作品では、ディズニーの大作『トロン:アレス』が2週目で急落した。興収は1110万ドル(約16億7400万円)で前週比65パーセント以上の下落。公開10日間での全米累計は5460万ドル(約82億3200万円)にとどまった。海外では、中国での低調な初登場280万ドル(約4億2200万円)を含む1410万ドル(約21億2500万円)を追加し、海外累計は4940万ドル(約74億4700万円)。全世界では1億300万ドル(約155億2700万円)を記録したものの、製作費1億8000万ドル(約271億2800万円)を考慮すると苦しい滑り出しとなった。

一方、アジズ・アンサリ監督によるライオンズゲート製作のコメディ『Good Fortune(原題)』は、豪華キャストをそろえながらも勢いに欠けた。セス・ローガンキキ・パーマーサンドラ・オーキアヌ・リーブスらが出演するこの作品は、全米2990館で620万ドル(約9億3400万円)を稼ぎ3位で初登場。製作費3000万ドル(約45億2100万円)を考えると、堅調とは言いがたい結果だ。

この週末のランキングでは、ユニバーサルの『ブラック・フォン2』が唯一“予想を上回った”タイトルとなり、他の主要作品はいずれも想定を下回るパフォーマンスにとどまった。ホラー映画の勢いと大作映画の失速という対照的な構図が、現在の北米興行の潮流を映し出している。

注目のアート系・海外勢-パナヒ最新作が賞レースで存在感

アート系作品でも注目すべき動きが見られた。イランの名匠ジャファル・パナヒ監督による『It Was Just an Accident(原題)』は、ニューヨークとロサンゼルスの3館で封切られ、5日間で1館あたり平均3万8333ドル(約578万円)という好成績を収めた。週末3日間の平均は2万2674ドル(約341万円)で、今年1月に公開されたソニー・ピクチャーズ・クラシックスの『アイム・スティル・ヒア』に匹敵する水準だ。

本作はカンヌ映画祭のコンペティション部門でパルムドールを受賞し、配給会社ネオンにとって6年連続の受賞となった。パナヒ監督にとっては、イラン当局による拘束から解放され、渡航禁止が解除されて以来、実に20年ぶりの新作となる。現在は第98回アカデミー賞(2026年)に向けて、フランス代表として国際長編映画賞部門への出品が決定しており、作品賞・監督賞・脚本賞など主要部門でのキャンペーンも進められている。

同じくインディペンデント系では、ルカ・グァダニーノ監督のサイコスリラー『After the Hunt(原題)』が2週目に拡大公開されたが、1238館で160万ドル(約2億4100万円)と苦戦。シネマスコアではC-評価にとどまり、批評面でも「グァダニーノ監督にとって稀な失敗作」と評されている。ただし、ジュリア・ロバーツアンドリュー・ガーフィールドアヨ・エデビリらキャストの演技は高く評価された。

さらに、ケリー・ライカート監督の『マスターマインド』が、MUBI配給でニューヨークとロサンゼルスの5館にて公開され、1館あたり2万840ドル(約314万円)を記録。これはライカート監督のキャリア最高のオープニングとなった。主演のジョシュ・オコナーが苦悩する建築家を演じ、1970年代の美術品強盗事件をモチーフに描かれた本作は、今後の拡大公開と賞レースでの動向が注目されている。


今週末の北米ボックスオフィスは、ジャンルもスケールも異なる作品が競い合う多様な光景となった。『ブラック・フォン2』がホラー映画として異例の好スタートを切る一方で、『トロン:アレス』の失速や『Good Fortune』の苦戦が、大作頼みの興行の難しさを浮き彫りにした。

一方で、ジャファル・パナヒ監督の『It Was Just an Accident(原題)』やケリー・ライカート監督の『マスターマインド』など、インディペンデント映画が静かに存在感を示したのも印象的だ。恐怖と芸術、商業と表現の両極が交錯した週末は、映画業界がいまも変化と再生の過程にあることを改めて示している。

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