実写版『リロ&スティッチ』とはどんな映画?あらすじ・キャスト・魅力まとめ

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実写映画『リロ&スティッチ』(2025)を紹介&解説。


映画『リロ&スティッチ』概要

実写版映画『リロ&スティッチ』(2025)は、2002年のディズニー・アニメーション映画『リロ&スティッチ』を実写映画化したファミリー・アドベンチャー。ハワイを舞台に、孤独を抱える少女リロと、地球に逃げ込んだ暴れん坊のエイリアン、スティッチの出会いを通して、“オハナ=家族”の絆を描く。監督はディーン・フライシャー・キャンプ(『マルセル 靴をはいた小さな貝』)。主演はマイア・ケアロハ、共演にシドニー・アグドンザック・ガリフィアナキスビリー・マグヌッセンコートニー・B・ヴァンスら。スティッチの声は、オリジナル版でも同役を務めたクリス・サンダースが続投している。

作品情報

日本版タイトル 『リロ&スティッチ』
原題 Lilo & Stitch
製作年 2025年
本国公開日 2025年5月23日
日本公開日 2025年6月6日
ジャンル ファミリー/アドベンチャー/コメディ/SF
製作国 アメリカ
原作 ディズニー・アニメーション映画『リロ&スティッチ』(2002)
上映時間 108分
次作 リロ&スティッチ2(仮)』(2028)
監督 ディーン・フライシャー・キャンプ
脚本 クリス・ケカニオカラニ・ブライト/マイク・ヴァン・ウェズ
製作 ダン・リン/ジョナサン・アイリック
製作総指揮 ライアン・ハルプリン/トム・ペイツマン/ルイ・プロヴォスト/トーマス・シューマッカー
撮影監督 ナイジェル・ブラック
プロダクション・デザイナー トッド・チェルニアフスキー
衣裳デザイナー ウェンディ・チャック
編集 フィリップ・J・バーテル/アダム・ガーステル
作曲 ダン・ローマー
出演 マイア・ケアロハ/シドニー・アグドン/クリス・サンダース/カイポ・デュドイト/ティア・カレル/エイミー・ヒル/コートニー・B・ヴァンス/ハンナ・ワディンガム/ビリー・マグヌッセン/ザック・ガリフィアナキス
製作 ウォルト・ディズニー・ピクチャーズ/ライドバック
配給 ウォルト・ディズニー

あらすじ

ハワイで暮らす少女リロは、両親を亡くし、姉のナニとふたりで支え合いながら生きている。ナニはリロを守ろうと懸命に働くが、若くして保護者となった彼女の生活は不安定で、姉妹は離れ離れになる危機に直面していた。

そんなある日、リロは保護施設で不思議な生き物と出会い、“スティッチ”と名付けて家に連れ帰る。しかし、その正体は違法な遺伝子実験によって生み出された「試作品626号」。破壊本能を持つエイリアンだった。スティッチを追って宇宙からジャンバとプリークリーがやって来る中、リロとスティッチの出会いは、壊れかけていた姉妹の関係と家族の形を少しずつ変えていく。

主な登場人物(キャスト)

リロ(マイア・ケアロハ):ハワイで姉のナニと暮らす少女。両親を亡くした寂しさを抱え、周囲とうまく馴染めずにいるが、スティッチとの出会いをきっかけに、家族や居場所の意味を見つめ直していく。

スティッチ(声:クリス・サンダース):宇宙で生み出された「試作品626号」。破壊を目的としたエイリアンだが、リロに“犬”として迎え入れられ、彼女と過ごす中で少しずつ変化していく。

ナニ(シドニー・アグドン):リロの姉。両親を亡くした後、リロを守るために保護者として奮闘している。若さゆえの未熟さや生活の苦しさを抱えながらも、妹を手放すまいと必死に生きる。

デイヴィッド(カイポ・デュドイト):ナニを支える青年。姉妹の事情を理解し、ナニに寄り添いながら、リロたちの暮らしを温かく見守る。

ケコア(ティア・カレル):リロとナニの生活に関わる人物。姉妹の置かれた状況を見つめ、ふたりが安全に暮らせるかを判断する立場にある。

トゥトゥ(エイミー・ヒル):リロとナニの近くで暮らす人物。姉妹を取り巻くコミュニティの一員として、物語にハワイの生活感と温かさを添える。

コブラ・バブルス(コートニー・B・ヴァンス):リロとナニの家庭環境を調査するソーシャルワーカー。ナニがリロの保護者としてふさわしいかを厳しく見極めようとする。

議長(声:ハンナ・ワディンガム):宇宙側の秩序を司る存在。逃亡した試作品626号=スティッチを巡り、ジャンバやプリークリーに任務を与える。

プリークリー(ビリー・マグヌッセン):スティッチを追って地球へやって来る宇宙人。ジャンバと行動を共にしながら、ハワイで思わぬ騒動に巻き込まれていく。

ジャンバ(ザック・ガリフィアナキス):スティッチを生み出した科学者。自らの実験体である試作品626号を追い、プリークリーとともに地球へ向かう。

作品の魅力解説

映画『リロ&スティッチ』の大きな魅力は、オリジナル版の核である“オハナ=家族”のテーマを、実写ならではの生活感と身体性で描き直している点にある。リロとナニは、単なる仲良し姉妹ではなく、喪失や貧しさ、保護者としての責任に直面する家族として描かれる。その現実味があるからこそ、スティッチという非現実的な存在がもたらす変化にも温かい説得力が生まれている。

また、リロ役のマイア・ケアロハの存在感も本作の重要な見どころ。孤独で風変わりだが、誰かとつながりたいと願うリロの繊細さを、子どもらしい奔放さとともに体現している。ナニ役のシドニー・アグドンも、妹を守りたい気持ちと自分自身の人生の間で揺れる若い保護者の苦しさを担い、姉妹のドラマを物語の中心に引き寄せている。

スティッチの表現も、実写化における大きな注目点だ。CGによって現実のハワイの風景の中に現れるスティッチは、かわいらしさと危険な破壊性を併せ持つ存在として描かれる。オリジナル版から続投したクリス・サンダースの声も、キャラクターの魅力を支える大きな要素になっている。

さらに、ハワイの自然、音楽、コミュニティの空気も本作の魅力。海辺の風景や家族・地域のつながりが、リロとナニの孤独を包み込み、物語に明るさと切なさを同時に与えている。懐かしさに頼るだけでなく、現代の観客に向けて“家族とは何か”を改めて問いかける実写リメイクとなっている。

ストーリー解説(ネタバレ)

宇宙で生まれた“試作品626号”

物語は、地球ではなく宇宙から始まる。惑星トゥーロでは、科学者ジャンバ・ジュキーバが違法な遺伝子実験を行った罪で、銀河連邦による裁判にかけられていた。ジャンバが生み出したのは、驚異的な身体能力と高い学習能力を持ち、破壊本能を備えた生命体「試作品626号」。のちに“スティッチ”と呼ばれる存在である。

626号は、ただの小さな青い生き物ではない。強靭な肉体を持ち、知能も高く、暴れることそのものを目的に設計された危険な存在として扱われている。そのため、ジャンバは投獄され、626号も追放されることになる。

しかし、626号はおとなしく処分を受け入れるような存在ではなかった。彼は警察の宇宙船を奪って逃走し、ハイパードライブを使って地球へ向かう。行き着いた先は、ハワイのカウアイ島。ここから、宇宙の危険生物と、家族を失った少女の物語が交差していく。

ジャンバとプリークリーに与えられた任務

626号が地球へ逃げ込んだことで、銀河連邦は対応を迫られる。議長は、626号を生み出したジャンバに対し、彼を捕獲すれば自由を与えるという条件を提示する。ジャンバに同行することになるのが、地球に詳しいとされるエージェント、プリークリーである。

ジャンバは自分の発明品である626号を回収するため、プリークリーとともに地球へ向かう。ここで重要なのは、実写版ではアニメ版に登場したガントゥがこの流れに絡まないこと。626号を追う中心人物は、ジャンバとプリークリーであり、彼らの失敗と暴走が地上の騒動を大きくしていく。

ハワイで暮らすリロとナニ

一方、カウアイ島では、少女リロ・ペレカイが姉ナニと暮らしている。ふたりは両親を亡くしており、ナニは若くして妹の保護者になった。だが、生活は決して安定していない。家計、家の状態、リロの学校での問題、そして社会福祉の目が、ナニに重くのしかかっている。

リロは周囲から“変わった子”として見られ、同年代の子どもたちとうまく馴染めない。フラの教室でも孤立しており、姉ナニが来てくれなかったことへの苛立ちや寂しさも重なって、リロは舞台上でいじめっ子のマートルを押してしまう。その結果、リロはフラの学校を追い出されてしまう。

この場面で描かれるのは、単なる子どもの問題行動ではない。リロは両親を失った悲しみ、姉とのすれ違い、自分だけが取り残されているような孤独を抱えている。ナニもまた、妹を愛している一方で、保護者としての責任に追い詰められている。姉妹の関係は深い愛情で結ばれているが、その愛情だけでは生活を支えきれない現実が、冒頭から強く示される。

ソーシャルワーカーのケコアが姉妹の生活を調査する

リロの問題行動を受け、ソーシャルワーカーのケコアがペレカイ家を訪れる。ケコアは、ナニがリロをきちんと養育できているかを確認する立場にある。家の中は混乱しており、ナニは仕事や家事に追われ、リロの行動にも振り回されている。ケコアは、現状のままではナニが保護者として不十分だと判断しかねない状況を目にする。

実写版では、この“行政に見られている”緊張感がかなり大きい。ナニにとって問題は、ただ妹とうまくやっていくことではない。生活を立て直せなければ、リロと離れ離れになる可能性がある。ケコアはナニに対し、短い猶予の中で生活環境を改善し、仕事を安定させるよう求める。

626号がカウアイ島に墜落する

その頃、宇宙から逃げてきた626号はカウアイ島に墜落する。彼は結婚式の近くに落ち、さらに観光客向けのトロリーに轢かれるなど、地球に来て早々に大騒動を起こす。だが、その異様な見た目にもかかわらず、彼は“変わった犬”として扱われ、動物保護施設へ運ばれる。

626号にとって、地球は逃げ場であると同時に危険な場所でもある。ジャンバとプリークリーが追ってくる以上、彼は身を隠す必要がある。そんな時に出会うのが、孤独な少女リロだった。

リロは“友だち”を求めて動物保護施設へ向かう

リロの孤独を知った隣人トゥトゥは、彼女を動物保護施設へ連れていく。リロはそこで、普通の犬とはまったく違う奇妙な生き物、626号に出会う。周囲から見れば危険で扱いにくい存在だが、リロは彼を気に入る。

一方、626号はジャンバとプリークリーが自分を追っていることに気づき、リロに引き取られることを利用しようとする。つまり、この時点の626号は、リロに愛着を持ったから彼女のもとへ行くのではない。自分を守るため、犬のふりをしてリロのペットになる道を選ぶのである。

リロは626号を家に連れ帰り、彼に“スティッチ”という名前をつける。ナニが、彼に破られた車のシートを縫い直さなければならないとこぼしたことが、名前のきっかけになる。こうして、リロとスティッチの関係が始まる。

ナニの仕事場でスティッチが騒動を起こす

ナニはリロとスティッチを連れて、自分が働くリゾートのルアウ会場へ向かう。ナニにとって仕事を失うことは、リロの保護者でいられるかどうかに直結する重大問題である。なんとか生活を立て直そうとするナニだが、スティッチの存在が事態を悪化させてしまう。

スティッチは地球のルールを理解しておらず、周囲を混乱させる。会場ではテーブルに火がつく騒ぎが起こり、その結果、ナニは仕事を失ってしまう。リロにとってスティッチはやっと見つけた“友だち”だが、ナニにとっては生活をさらに危うくする存在でもある。

このあたりから、実写版はリロとスティッチのかわいらしい交流だけでなく、ナニがどれほど追い込まれているかを強く描く。スティッチの騒動は笑いの場面であると同時に、姉妹の生活を壊しかねない現実的な危機として機能している。

コブラ・バブルスが“別の顔”で現れる

ナニのもとには、ケコアとともにコブラ・バブルスも現れる。実写版のコブラ・バブルスは、アニメ版のように最初から単純なソーシャルワーカーとして出てくるわけではない。彼はCIAエージェントであり、スティッチの出現を調査するため、ケコアの関係者のような立場でナニたちの周囲に関わっていく。

ケコアはナニに、新しい仕事をすぐに見つける必要があると迫る。ナニはリロを守るため、職探しに奔走する。しかし、リロとスティッチが同行することで面接はことごとくうまくいかない。スティッチの暴走、リロの振る舞い、ナニ自身の余裕のなさが重なり、ナニは次々とチャンスを逃していく。

ナニはサーフィン講師として再出発しようとする

追い詰められるナニだったが、リロの助けもあり、サーフィン講師の仕事を得る。ナニにとってこれは大きな前進であり、姉妹の生活を守るための希望となる。デイヴィッドもナニを支え、リロ、ナニ、スティッチたちは海へ向かう。

サーフィンの場面では、姉妹とスティッチの関係が一時的に明るさを取り戻す。リロは楽しそうに過ごし、ナニにもようやく状況が好転する兆しが見える。スティッチもまた、地球の遊びや家族の空気に触れ、単なる破壊生物ではない表情を見せ始める。

ただし、この幸福な時間は長く続かない。ジャンバとプリークリーがスティッチを捕まえようと現れ、海上での追跡が始まる。彼らの行動によって、リロたちは波に巻き込まれ、危険な状況に陥る。

海での事故が姉妹の運命を大きく変える

サーフィン中の騒動で、リロとスティッチは海に投げ出される。スティッチは水に沈みやすく、パニック状態の中でリロを水中へ押し込んでしまう。ナニとデイヴィッドはリロを助け出すが、これはケコアの目から見れば重大な事故である。

リロは病院へ運ばれ、ナニの保護者としての立場はさらに危うくなる。ナニは妹を守ろうとしてきたが、結果的にリロを危険にさらしたと見なされかねない。ここで物語は、姉妹の絆だけでは乗り越えられない制度的な問題へ踏み込んでいく。

ケコアはナニに、リロの医療費や保険の問題について話す。ハワイ州が費用を負担することはできるが、そのためにはナニがリロの後見を手放す必要がある、という選択肢が示される。ナニはリロを愛している。しかし、リロの安全と生活を考えるほど、自分がこのまま保護者でいることが本当に最善なのか、答えを迫られていく。

リロとナニは“最後の夜”を過ごす

ナニは、リロのためを思って後見を手放す方向へ傾いていく。これは、彼女がリロを見捨てたからではない。むしろ、リロを守りたいからこそ、自分ひとりでは支えきれない現実を受け入れざるを得なくなる。

リロにとっては、姉と離れるかもしれないという恐怖が迫ってくる。ナニにとっても、それは自分の人生で最もつらい決断である。両親を失ったあと、なんとかふたりで家族を守ろうとしてきた姉妹が、外部の判断と生活の限界によって引き裂かれようとしている。

ふたりは、これまで通り一緒にいられる時間が終わりに近づいていることを意識しながら、姉妹としての“最後の夜”を過ごす。実写版は、アニメ版以上にナニの若さと限界を強調する。ナニは愛情のない姉ではなく、愛情だけでは生活を維持できない現実にぶつかっている。

スティッチは自分のせいで家族を壊したと気づく

リロとナニの別れが現実味を帯びる中、スティッチも自分の行動を振り返る。最初にリロのもとへ来た理由は、追っ手から身を守るためだった。リロを利用して“ペット”のふりをすれば、ジャンバとプリークリーに捕まりにくくなる。そう考えていたスティッチは、リロの孤独やナニの必死さを十分には理解していなかった。

しかし、リロがナニと引き離されそうになり、ナニが後見を手放すほど追い詰められていることを知ったスティッチは、自分がこの家族に与えた被害の大きさを悟る。リロにとって自分は大切な友だちになっていたが、その一方で、家の混乱、ナニの失職、海での事故といった問題の中心にもいた。

スティッチはリロのそばに居続けるのではなく、自ら家を離れる。彼は動物保護施設へ戻り、リロの人生から身を引こうとする。ここは、破壊のために作られた存在だったスティッチが、初めて誰かのために自分を退けようとする重要な場面である。

銀河連邦はジャンバとの取引を打ち切る

一方、宇宙側でも事態は動く。議長は、ジャンバがスティッチを捕獲できず、地球で騒動を広げ続けていることに業を煮やす。ジャンバに自由を与えるという当初の取引は打ち切られ、プリークリーにはジャンバを刑務所へ連れ戻すよう命令が下る。

しかし、ジャンバはおとなしく従わない。彼はプリークリーの監視を逃れ、自分の手でスティッチを捕まえようとする。ここから実写版は、アニメ版とは異なる終盤の構図に入る。アニメ版では終盤にガントゥが大きく関わるが、実写版ではガントゥは登場しない。終盤の直接的な敵として前面に出るのは、スティッチを生み出したジャンバである。

リロが姿を消し、ナニたちは捜索を始める

翌朝、ケコアとコブラ・バブルスがペレカイ家にやって来る。だが、そこで判明するのは、リロがいなくなっているという事実だった。ナニ、ケコア、バブルスたちは、リロを探し始める。

リロは、スティッチが戻った動物保護施設へ向かっていた。リロにとってスティッチは、ただのペットではない。自分と同じように居場所がなく、周囲から理解されない存在であり、初めて本当の意味で心を通わせた相手だった。だからこそ、ナニと離れ離れになる危機の中でも、リロはスティッチを放っておくことができなかった。

リロは施設でスティッチと再会する。しかし、そこへジャンバが現れる。スティッチを捕獲するため、ジャンバはリロを巻き込む形で強引に行動を起こす。

ペレカイ家でジャンバとの戦いが始まる

リロとスティッチはジャンバから逃げ、ペレカイ家へ戻る。だが、ジャンバはそこまで追ってくる。家の中で激しい争いが起こり、ペレカイ家は大きな被害を受けていく。

ここでのジャンバは、アニメ版のようなコミカルな追跡者というより、よりはっきりと危険な存在として描かれる。自分が作ったスティッチを取り戻すことに執着し、リロの安全や家族の生活を顧みない。結果として、リロとナニにとって大切な家そのものが破壊されていく。

戦いの中で、ジャンバはリロに残酷な事実を突きつける。スティッチは最初からリロを友だちとして選んだのではなく、追っ手から逃れるために利用していたのだ、と明かす。この言葉はリロを傷つけ、スティッチにも決定的な罪悪感を抱かせる。

スティッチはリロを守るために投降する

ジャンバの言葉によって、自分の過去の行動がリロをどれほど傷つけたかを思い知らされたスティッチは、逃げ続けることをやめる。彼はリロを守るため、ジャンバに投降する。

この場面は、スティッチの変化を示す大きな転換点である。スティッチはもともと、破壊するために作られた存在だった。自分が生き延びることを優先し、周囲の被害を気にしなかった。しかし、リロと出会い、ナニの苦しみを見て、彼の中には自分以外の誰かを守ろうとする感情が芽生えていた。

ジャンバはスティッチを捕まえ、ポータルを発生させる銃を使って宇宙船へ連れ去る。ジャンバの目的は、スティッチの中に生まれた“共感”を消し去り、再び自分の望む実験体として作り直すことだった。

リロは宇宙船に忍び込み、スティッチを救おうとする

スティッチを失いたくないリロは、ジャンバの宇宙船に忍び込む。スティッチは捕らえられ、ジャンバによって本来の“破壊兵器”に戻されようとしていた。リロはスティッチを解放し、ふたりでジャンバに立ち向かう。

リロとスティッチは協力し、ジャンバを船外へ放り出す。だが、危機はそこで終わらない。制御を失った宇宙船は海へ墜落し、リロとスティッチは水中に閉じ込められてしまう。

スティッチはリロを助けようとするが、彼には水に弱いという致命的な弱点がある。水中で自由に泳ぐことができず、沈みながらもリロを救い出そうとする。ここでスティッチは、自分が助かることではなく、リロを生かすことを選ぶ。

スティッチはリロを助け、自分は海に沈む

水中でリロが危険にさらされる中、スティッチは彼女を救う。だが、スティッチ自身は水面まで上がることができない。リロが自分と一緒に沈んでしまわないよう、スティッチは彼女の手を離す。

リロは助かるが、スティッチは海の底へ沈んでいく。破壊するために作られた存在だったスティッチが、最後にはリロを守るために自分を犠牲にする。実写版のクライマックスは、この自己犠牲によって、スティッチが“怪物”から“家族”へ変わったことを示す。

ナニとデイヴィッドはリロを助け出す。しかしリロは、スティッチを置いていくことを拒む。デイヴィッドがリロを岸へ連れて戻る一方、ナニは再び海へ飛び込み、沈んだスティッチを助けに向かう。

ナニたちはスティッチを蘇生させようとする

ナニは海の底からスティッチを引き上げ、岸へ戻る。しかし、スティッチは意識を失っており、動かない。デイヴィッドたちは彼を蘇生させようとする。

デイヴィッドはスティッチを助けるために処置を試みるが、すぐにはうまくいかない。リロは諦めず、車のバッテリーを使う方法を思いつく。スティッチの身体に強い電気的な刺激を与えることで、彼を目覚めさせようとするのだ。

一度は失敗したかに見えるが、やがてスティッチは意識を取り戻す。リロ、ナニ、デイヴィッドたちは安堵する。ここでスティッチは、単に生き延びたのではない。自分の命をかけてリロを守ったことで、彼が“家族”として受け入れられる資格を示したことになる。

議長が現れ、ジャンバは再び逮捕される

その後、銀河連邦の議長が地球に現れる。ジャンバは再び逮捕される。実写版では、ジャンバが終盤で改心してペレカイ家の仲間になる流れにはならない。ここもアニメ版と混同しやすい重要な違いである。

議長は、スティッチがリロを守るために自分を犠牲にしたことを知る。かつては危険な実験体としてしか見られていなかったスティッチだが、今の彼は誰かを愛し、守ることを学んでいた。議長はその変化を認め、スティッチを地球に追放する形で、リロたちのもとに残ることを許す。

プリークリーもまた、地球に残ることになる。彼はスティッチを監視する名目でペレカイ家の近くにとどまるが、実質的にはリロたちの新しい“オハナ”の一員になっていく。

ケコアはリロが家に残れる道を示す

宇宙側の騒動が収束したあと、ペレカイ家の問題が残る。家は壊れ、ナニは依然としてリロの後見を手放す選択に直面している。だが、ケコアはリロを遠くへ連れていくのではなく、彼女が家に残れる別の道を示す。

その方法は、リロの後見をナニひとりに背負わせるのではなく、デイヴィッド、トゥトゥ、コブラ・バブルスら周囲の大人たちが支える形にすることだった。リロは自分の家に残り、スティッチもそばにいる。ナニは、妹を完全に失うのではなく、家族の輪を広げることでリロを守る道を得る。

この結末は、アニメ版とは大きく異なる。アニメ版では、ナニ、リロ、スティッチが同じ家で家族として再出発する印象が強い。一方、実写版では、ナニがすべてを抱え込むのではなく、地域や周囲の人々を含めた“拡張されたオハナ”によってリロを支える方向へ物語が進む。

ナニは自分の夢に向かって進む

リロを支える新たな体制ができたことで、ナニは自分の夢にも向き合えるようになる。ナニは、カリフォルニア大学サンディエゴ校で海洋生物学を学ぶ道へ進む。

これは実写版のラストで最も議論を呼びやすい変更点である。ナニはリロを愛していないから離れるのではない。むしろ、リロを支える人々が周囲にいること、リロ自身がナニの夢を応援していることによって、初めて自分の人生を選べるようになる。

ただし、姉妹が物理的に離れる結末であることは確かだ。実写版は、“家族だから常に同じ場所にいる”という形ではなく、離れていても支え合い、必要な時に戻ってこられる関係を“オハナ”として描こうとしている。

壊れた家は、みんなの手で修理される

ペレカイ家はジャンバとの戦いで破壊されてしまったが、リロ、ナニ、スティッチ、デイヴィッド、トゥトゥ、バブルス、プリークリーたちは力を合わせて家を修理していく。

ここで描かれるのは、血のつながりだけではない家族の形である。リロとナニの姉妹関係は物語の中心にあり続けるが、実写版ではそこに地域の大人たちや宇宙から来た存在も加わり、家族の輪が広がっていく。

スティッチは、もはやリロを利用する逃亡者ではない。リロのそばにいることを許され、彼女の家族の一員になる。プリークリーも地球に残り、少し奇妙でにぎやかな共同体の一部となる。物語は、孤独だったリロと、破壊しか知らなかったスティッチが、互いに居場所を得る形で幕を閉じる。

ミッドクレジットでは、ナニがリロたちを訪ねる

本編後のミッドクレジット場面では、ナニがカリフォルニア大学サンディエゴ校で海洋生物学を学んでいることが示される。だが、ナニはリロたちと完全に切り離されたわけではない。

ナニは、ジャンバのポータル銃を使ってカウアイ島のリロとスティッチのもとを訪れる。遠く離れた場所で自分の夢に向かいながらも、ナニはリロとつながり続けている。リロ、ナニ、スティッチが再び一緒に過ごすことで、実写版は“離れても家族であり続ける”という結末を補強している。

ラストまでの要点:実写版は“家族を広げる”結末へ向かう

実写版『リロ&スティッチ』の物語は、リロとナニの姉妹がそのまま元通りになる話ではない。ナニはリロを愛しながらも、自分ひとりで妹を守ることの限界を受け入れる。リロはスティッチと出会い、自分を理解してくれる存在を得る。スティッチは、リロを利用していた逃亡者から、彼女のために命を差し出せる家族へと変わる。

アニメ版と大きく違うのは、終盤の敵役がガントゥではなくジャンバであること、ジャンバが改心して家族側に加わらないこと、そしてナニがリロと同居し続けるのではなく、進学のためにカリフォルニアへ向かうことだ。

その一方で、実写版は“オハナ”の意味を消すのではなく、血縁や同居だけに限定しない共同体として描き直している。リロは家を離れるのではなく、トゥトゥ、デイヴィッド、バブルス、プリークリー、そしてスティッチに囲まれながら暮らす。ナニもまた、リロを忘れるのではなく、離れた場所から家族であり続ける。物語は、壊れた家をみんなで直すイメージを通して、リロとスティッチが新しい家族の中に居場所を見つけたことを示して終わる。

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