【来日インタビュー】『デーヴァラ』コラターラ・シヴァ監督|『RRR』後のNTR Jr.主演作へのこだわり、“恐怖”やアクション演出、変わりつつあるインド映画の姿

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『RRR』『ヤマドンガ』などで活躍するNTR Jr.(N・T・ラーマ・ラオ・ジュニア)が主演を務めるアクション大作『デーヴァラ』がついに3月28日(金)より日本公開を迎えた。culaは今回、本作のプロモーションで来日したコラターラ・シヴァ監督に独占インタビューを行った。(取材・文・写真:ヨダセア)

日本に来られるのは今回が初めてとお聞きしました。食事や観光はもう楽しまれましたか。

コラターラ・シヴァ監督(以降、シヴァ):昨日(3月23日)到着したばかりだから観光はできていないしプランもまだないんだ。でもレストランで食べたラムチョップは美味しかったよ!

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2021年に公表された『デーヴァラ』の構想ですが、まず物語があり、それにふさわしい主演としてNTR Jr.さんを指名したのでしょうか? それとも、NTR Jr.さんと映画を作る前提で、この物語を選ばれたのでしょうか?

シヴァ:かなり前から構想自体はあったんだけど、なかなか基礎的なアイデアから発展させることができなかったんだ。改めてアイデアに取り組んだ時には、もう彼(NTR Jr.)が頭の中に浮かんでいたよ。

『デーヴァラ』(サンスクリット語で“神”や“神聖な存在”を意味する)というタイトルは神話的な響きを持っていますが、この物語は特定のインド神話や伝説にインスパイアされたものですか? それとも完全なオリジナルの物語でしょうか?

シヴァ:基本的にはオリジナルだけど、武器をかけた戦いや、伝統的なダンスなど、ある程度はインドの特定の地域で語られる伝承などからインスパイアを受けているよ。キャラクターや今作で起きる展開は完全なフィクションだね。

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監督から見て、NTR Jr.さんが持つ唯一無二の魅力、その本質とは何だと思いますか?

シヴァ:彼は準備しすぎない俳優なんだよ。実に自然体なんだ。準備しすぎた演技は、時にフェイクに見えてしまう。でも彼は自分の中から表れるものでそのままの演技をするから、嘘を感じさせない。本能的で情熱的で、それでいて自然体なのが彼の魅力だよ。

© 2024 NTR Arts. All rights reserved.

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2022年の『RRR』が世界的な大ヒットとなり、NTR Jr.さんはインドのスーパースターから“世界のスーパースター”になりました。日本でもファンが急増しています。そんなNTR Jr.さんの記念すべき30作目の出演作を手掛けることについて、どのような思いがありましたか?

シヴァ:NTR Jr.との関係はかなり前からインドで続いているから、彼の映画は長きにわたって見てきたけど、いまや彼のパフォーマンスはネクストレベルに進んだよね。だから今回の映画では彼が今披露できる要素のすべてを引き出すことを目指してデザインしていったよ。アクション、ダンス、感情的なドラマ、彼のそれらすべてを見せたいと思ったんだ。

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今回、NTR Jr.さんは親子二役を演じていますが、この2つのキャラクターをどのように作り上げ、演じ分けていったのでしょうか? 監督とNTR Jr.さんの間で、どのような話し合いやアプローチがありましたか?

シヴァ:まず、息子ヴァラのキャラクターについては簡単に作ることができたよ。若くて、いかにも“息子っぽい”キャラクターだからね(笑)。でも父デーヴァラに関してはたくさんの時間をかけたよ。彼がその土地に根付いた伝統的な人物で、威厳を持って村に君臨するリーダーであるキャラクターとして、衣装なども使って説得力を持たせる必要があったからね。ただNTR Jr.は父役と息子役の切り替えも簡単にやってのけたよ。

© 2024 NTR Arts. All rights reserved.

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ふたりのキャラクターの物語を作るにあたって、大切にしたことは何ですか。

シヴァ:今作の主軸となる感情は「恐怖」だ。恐怖を感じられることは人々にとって大切だよ。恐怖がなければ人は怪物になってしまうだろう。父デーヴァラは十分かつ適切な恐怖を感じることができているんだ。でも彼の周囲の人々は“恐れ知らず”で、不適切なふるまいをするよね。

シヴァ:父親というものは、毎晩息子を寝かしつける際などを使って、お話を子供に伝えていくんだ。お話は習慣として息子に浸透し、自分自身でも反復するようになる。いずれは与えられた物語が、自分自身の物語に昇華されていく。今作でいえばそれが、“映画では悪党たちに恐怖を与える手段”として機能していくんだ。

シヴァ:これがデーヴァラの美学だ。息子は父の感情に触れ、父の影響力を受けて、父の跡を追うようにレガシーを受け継いでいく。これが『デーヴァラ』が描く最も重要な部分だよ。

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今作ではまさに“恐怖”が印象的な要素でしたね。映画を作るにあたって、その恐怖を表すためにこだわった点はどこでしょうか。

シヴァ:恐怖を描くためにはまず、“恐怖を持たない人々”として悪のキャラクターたちを適切に作り上げる必要があった。戦士のコミュニティに属す今作のキャラクターたちは、先祖代々良識のある戦士たちだったはずだが、彼らの世代は悪党になってしまった。戦闘技術ではすぐれているが、その使い方が間違っているんだ。そんな彼らが持つ「悪」をまず描いた。

シヴァ:そして彼らの中から、勇敢なデーヴァラが立ち上がる。なぜなら彼は「善人」だからね。あるタイミングで、彼は気づくんだ。「俺がこの人々に恐怖を与えなければならない」とね。まず恐怖を持たない悪の象徴であり、不安の予兆をデーヴァラに与える悪党たち、そして象徴的なバイラというキャラクターを作り上げ、彼らを適切に描くことで、『デーヴァラ』における“恐怖”がデザインされていったんだ。

© 2024 NTR Arts. All rights reserved.

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サイフ・アリー・カーンさんとジャーンヴィー・カプールさんにとって、本作が初めての南インド映画、そして初のテルグ語映画だと伺っています。お二人との撮影で、特に印象に残っていることがあれば教えてください。

シヴァ:当初サイフは南インドに慣れていなかったんだ。インドは南北で文化が少し違うから、彼からは迷いが見えていたよ。彼はキャラクター(バイラ)を愛してくれたけど、「うまく演じられない」と言って少しためらっていたんだ。でも、全衣装・全アクセサリーをつけた彼が現場に出てきた時、もう彼はサイフ・アリー・カーンではなくバイラだったよ。自信に満ち溢れ、物語についても南インド文化についてもよく研究してくれた彼は、撮影中ずっと“バイラ”だったな。

シヴァ:ジャーンヴィーは母親が南インド系なのもあって、そんなに苦労はしてなさそうだったな。彼女は外見からも南インド人らしさを感じるよ。

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監督にとって、撮影していて特に楽しかったシーンはどこでしょうか?

シヴァ:儀式のシーンだね!武器を敬い、皆で踊るダンスシーンでは武器を片付けて、今度は村同士で戦って…撮影していて本当に楽しかったけど、同じくらい苦労も感じたよ。だって俳優はみんな砂ぼこりまみれだし、踊り回ってたくさん戦って…本当に大変だったけど、でも本当に愉快な時間だったな。

あのシーンは壮観でした!ちなみに、ほかに撮影が大変だったシーンは思い浮かびますか。

シヴァ:一番大変だったのは水のシーンだな。海のシーン、船のシーンは今作のメインパートになるから、波の演出や俳優が船でどう立つかなどをこだわるために、用意に1年くらいかけたよ。僕たちは撮影のために60メートル四方の貯水槽を作って水を溜めたんだ。自分たちの船も、波を作り出すウェーブマシーンまで作ったよ。あれには苦労したね。

海や船の周りでは色々なアクションが行われましたね。アクションシーンはどのようにこだわりましたか。

シヴァ:今作で戦闘アクションを行うキャラクターは戦士の村で育っているから、全員がそのバックグラウンドを汲んだユニークでタフな戦いを見せるアクションをストーリーに落としこまなければならなかった。水から飛び移ったり船から飛び移ったり、ロープを使ったり、すべての動きを適切にリハーサルし、こなしてもらったよ。

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シヴァ:米国のアクションデザイナーであるケニー・ベイツ、さらにアクションディレクターのレジェンド、ピーター・ハイン(Peter Hein)も参加してくれて、船上から水中まで様々なアクションを適切に見せてくれたんだ。

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日本にもたくさんのインド映画ファンがいますが、中には『バーフバリ』や『RRR』をきっかけにインド映画を好きになったばかりで、“インド映画”の中でのヒンディー映画、タミル映画、テルグ映画の違いなどはまだ知らない方もいると思います。監督にとって“テルグ映画の魅力”はどのようなところでしょうか。

シヴァ:インドは多様な文化や言語を持つ国だから、それぞれの地域・文化で異なる映画産業が発展してきた。でも僕が思うに、今はひとつの“インド映画(Indian Cinema)”になりつつあるよ。「北だから」「南だから」とかではなく、人々はインドの映画をまとめて愛するようになってきたんだ。

シヴァ:強いて言えば、テルグ映画は地域性に根ざした“感情表現”への愛をより感じさせる傾向にあると思う。でもやっぱり今は、ヒンディーもタミルもテルグもひとつになったグローバルな姿勢が見られる。とても良い兆候だよ。

最後に、動画で日本のファンへのメッセージをお願いします!

(インタビュー以上/取材・文・写真:ヨダセア)

大スター NTR Jrを中心に据え、コラターラ・シヴァ監督が壮大なアクション、ダンス、ドラマを描いた『デーヴァラ』は新宿ピカデリー他にて絶賛上映中。ぜひ大スクリーンで今作に込められた熱を味わっていただきたい。

作品情報

原題:Devara
監督:コラターラ・シヴァ『ジャナタ・ガレージ』
出演:NTR Jr.『RRR』、ジャーンヴィー・カプール『グンジャン・サクセナ -夢にはばたいて-』、サイフ・アリー・カーン『ヴィクラムとヴェーダ』
2024年|インド|172分|シネマスコープ|5.1ch|字幕翻訳:藤井美佳|字幕監修:山田桂子|映倫区分:PG12
© 2024 NTR Arts. All rights reserved.
配給:ツイン
公式サイト:https://devara-movie.com
X:https://x.com/devaramovie_jp

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