【映画レビュー『フライト・リスク』】マーク・ウォールバーグ怪演! 上空1万フィートの密室で繰り広げられる恐怖の駆け引き

『フライト・リスク』©2024 Flight Risk Holdings, LLC. All Rights Reserved REVIEWS
『フライト・リスク』©2024 Flight Risk Holdings, LLC. All Rights Reserved

上空1万フィートの密室で繰り広げられる恐怖の駆け引き――『フライト・リスク』が3月7日(金)より日本公開される。メル・ギブソンが監督を務める本作は、小型飛行機という限られた空間で、3人の登場人物が織りなす緊迫のサスペンス・スリラー。マーク・ウォールバーグミシェル・ドッカリートファー・グレイスという実力派俳優陣が、アラスカの壮大な山脈を背景に、信頼と疑念が交錯する命がけの心理戦を展開する。

『フライト・リスク』予告編

『フライト・リスク』あらすじ

現場復帰したばかりのハリス保安官補(ミシェル・ドッカリー)は、重要参考⼈ウィンストン(トファー・グレイス)を、アラスカからニューヨークまで航空輸送する機密任務に就く。初顔合わせとなったベテランパイロットのダリル(マーク・ウォールバーグ)は、陽気な会話でハリスの緊張をほぐしていく。
離陸した⼀⾏が乗る機体は、壮⼤なアラスカ⼭脈上空10,000フィートまで上昇。ウィンストンに証⾔をさせる裁判開始までのタイムリミットが気になるハリスだが、頼もしいダリルのお陰で順⾵満帆な航⾏になるかに思えた。
⼀⽅、ひとり後部座席に繋がれるウィンストンが、⾜元に落ちていたパイロットライセンス証を何気なく⾒ると、そこには今⽬の前に座るパイロットとは全くの別⼈が写し出されているのだったー。

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メル・ギブソンが描く閉鎖空間のサスペンス

『ハクソー・リッジ』(16年)ぶりのメル・ギブソン監督作『フライト・リスク』は、閉鎖空間を活かした緊張感あふれるサスペンス・スリラーだ。派手なアクション映画というより、限られた舞台—最新設備とは程遠い小型飛行機という心もとない空間と、わずか3人の登場人物だけで緊迫したドラマを紡ぎ出している。

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高性能の装備も最新鋭のジェット機の安心感もないなか、誰が敵で誰が味方か判別しづらい不確かな状況と迫り来るタイムリミットが緊張感を生み出す。命の危機が次々と押し寄せる展開は、そこまでの目新しさには欠けるものの、一定の説得力と迫力を持った物語となっている。

マーク・ウォールバーグの意外な変身

本作最大の見どころは、キャスティングの妙だろう。『テッド』シリーズや『インスタント・ファミリー』での垢抜けない男性役、あるいは『パトリオット・デイ』や『トランスフォーマー』シリーズなどでの正義の味方という王道主人公のイメージが定着しているマーク・ウォールバーグを、予測不能な言動を繰り返す口の減らない謎めいたパイロット役に配したことだ。

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観客が抱くウォールバーグへの親近感を巧みに利用しながら、彼は次第に不穏な空気を漂わせ、その正体が掴めない不安と恐怖を絶妙なバランス感覚で表現していく。何をしでかすか予測できない危うさを内包した彼の演技は、観る者に不快感と緊張をもたらし、スリラーとしての効果を確実に高めている。

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三者三様の緊張関係が生み出す心理戦

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本作の主軸となるハリス保安官補を演じるのは、「ダウントン・アビー」のメアリー役で知られるミシェル・ドッカリー。彼女が纏う気丈な気品と、揺るがない職業的プライドは、現場復帰したばかりの女性保安官という役柄に説得力をもたらしている。対照的に、トファー・グレイスが演じる重要参考人ウィンストンは、要領を得ない言動で場の空気を掻き乱す不安定な存在だ。頼りなく見えながらも裁判の行方を左右する鍵を握る人物であるため、ハリスは彼を守り抜く使命を背負う。

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興味深いのは、画面に映る3人だけでなく、通信を通じて関わる人物たちも含め、誰一人として全幅の信頼を置ける人間がいない緊迫した状況設定だ。閉ざされた空間で進む心理戦は、「自分がこの立場なら」と思わず想像させ、観客の恐怖心を静かに掻き立てる。

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『フライト・リスク』は、派手なアクションや場面転換に頼らず、俳優の演技と閉鎖空間ならではの緊張感で観客を引き込む実直なスリラー映画だ。メル・ギブソン監督の手腕と、役者たちの巧みな演技の掛け合いが生み出す不穏な空気が印象に残る1作であった。期待値を極端に高くしなければ、週末の映画館で誰もが十分に楽しめる1作といえるだろう。3月7日(金)日本公開。

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作品情報

タイトル:『フライト・リスク』
原題:FLIGHT RISK
監督:メル・ギブソン
脚本:ジャレッド・ローゼンバーグ
出演:マーク・ウォールバーグ、ミシェル・ドッカリー、トファー・グレイス
日本語吹替版キャスト:森川智之、甲斐田裕子
全米公開:2025年1月24日
日本公開:2025年3月7日
2024年|アメリカ|英語|91分|カラー|シネマスコープ|5.1ch|字幕翻訳:北村広子|吹替翻訳:井村千瑞
©2024 Flight Risk Holdings, LLC. All Rights Reserved
配給:クロックワークス
公式サイト:https://klockworx-v.com/flightrisk/
X:@FlightRiskJP
#フライト・リスク

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