半世紀を経て日本初公開となる『バッドランズ』から、テレンス・マリック監督の発言が新たに発掘された
1975年以降、ほぼインタビューを受けることがなく、その後約20年もの間姿を消した謎めいた巨匠テレンス・マリック監督。このたび、彼のデビュー作『バッドランズ』が3月7日(金)より日本で初めて劇場公開されることを記念し、貴重な過去のインタビュー内容が明らかとなった。本作はマーティン・マクドナー監督、ウェス・アンダーソン監督、ソフィア・コッポラ監督など、現代の映画監督たちに多大な影響を与えたアメリカ映画史上の最重要作でありながら、1973年の製作から実に50年以上の時を経ての日本公開となる。
マリックは本作について「思春期の少女についての映画を作りたかった」と語り、「我々は10代の頃の方が物事に対してよりオープンです。後になって避けてしまうような質問を自分自身に投げかけます。これは特にアメリカの若い女性に当てはまります。彼女たちは若い男性よりも世界に対してひらいた姿勢を持っています」と、作品の本質に言及している。
アメリカ中西部を舞台に描かれる、衝撃の実話がモチーフ
『バッドランズ』は、1950年代末にネブラスカ州とワイオミング州で発生した連続殺人事件をモチーフにしている。約2ヶ月の間に11人もの命が奪われたこの事件で、犯人となったのは十代の若者たち——チャールズ・スタークウェザーとその恋人キャリル・アン・フューゲートだった。マリックは、この衝撃的な実話を、独自の詩的な視点で再解釈している。
当時、マリックは『ダーティハリー』(1971年)などの脚本を手掛けていたものの、まだ無名の新人だった。しかし本作で脚本・製作・監督を務め、その後『天国の日々』(1978年)、『シン・レッド・ライン』(1998年)と傑作を重ねることで、巨匠としての地位を確立していく。
マーク・トウェインの世界観から受けた影響
マリックは本作について、「トム・ソーヤの冒険」「ハックルベリー・フィンの冒険」などの児童文学作品からも影響を受けたことを認めている。「1958年に中西部で14歳だった、ということがどういうことだったのかを描いた映画を作りたかった」と語り、「思春期には当たり前だったものが、その後は永遠に閉ざされてしまうことがある。少し賢くなったら消えてしまう、ある種の物事に対する純粋な感情、弱さを見せたかった」と、作品に込めた思いを吐露している。
本作は『俺たちに明日はない』(1967年)のような<犯罪カップルの逃避行>映画の系譜に連なりながらも、童話やおとぎ話を思わせる抒情性豊かな美しさを備えている。この独特な表現スタイルは、現代の映画界にも大きな影響を与え続けている。
現代映画界に多大な影響を与えた傑作の誕生
『バッドランズ』に描かれるのは、15歳の少女ホリーと、ゴミ収集作業員の青年キットの物語だ。シシー・スペイセクが演じるホリーは、学校ではあまり目立たないがバトントワリングが得意な少女。マーティン・シーン扮するキットとの出会いから恋に落ち、交際に反対する父親が射殺された日から、ふたりの逃避行が始まる。ツリーハウスでの気ままな生活や、大邸宅への侵入、次々と人を殺していくキットの姿を、ホリーはただ見つめ続けることになる。
この作品は1974年のサン・セバスチャン国際映画祭で金の貝殻賞を受賞。マーティン・シーンも同映画祭で最優秀男優賞を獲得し、その後のハリウッドを代表する俳優としてのキャリアを確立するきっかけとなった。
新たに解禁された第二弾ビジュアルが作品の本質を象徴

©2025 WBEI
このたび解禁された第二弾ビジュアルには、「夢の終わりが、はじまる」というキャッチコピーとともに、荒地を背景に佇むキットとホリーの姿が映し出されている。デニムスタイルのキットと、ワンピース姿で微笑むホリー。荒涼とした大地と若い恋人たちのあどけなさが対照的な構図は、本作の持つ不思議な世界観を象徴するものとなっている。
作品情報
<STORY>
1959年、サウスダコタ州の小さな町。15才のホリー(シシー・スペイセク)は、学校ではあまり目立たないが、バトントワリングが得意な女の子。ある日、ゴミ収集作業員の青年キット(マーティン・シーン)と出会い恋に落ちるが、交際を許さないホリーの父(ウォーレン・オーツ)をキットが射殺した日から、ふたりの逃避行が始まった。ある時はツリーハウスで気ままに暮らし、またある時は大邸宅に押し入り、魔法の杖のように銃を振るっては次々と人を殺していくキットの姿を、ホリーはただ見つめていた──。
タイトル:『バッドランズ』
原題:BADLANDS
脚本・製作・監督:テレンス・マリック
製作総指揮:エドワード・R・プレスマン
出演:マーティン・シーン、シシー・スペイセク、ウォーレン・オーツ、ラモン・ビエリ
撮影:ブライアン・プロビン、タク・フジモト、ステヴァン・ラーナー
美術監督:ジャック・フィスク
音楽作曲・指揮:ジョージ・ティプトン
日本公開:2025年3月7日(金)より新宿ピカデリーほか全国順次公開
1973年|アメリカ|カラー|1.85:1ヴィスタサイズ|5.1ch|DCP|94分
©2025 WBEI
配給:コピアポア・フィルム
提供:キングレコード
公式サイト:badlands2025.com
X:@badlands_jp


