「ダークナイト」三部作誕生の裏側- スタジオからのある“厚かましい要望”がノーラン版バットマンを形作るカギに

『ダークナイト』© 2008 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved. NEWS
『ダークナイト』© 2008 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.

クリストファー・ノーランが、ワーナー・ブラザースからの「かっこいい車を」という要望が、リアリティーを追求した新しいバットマン像の構築に重要な役割を果たした経緯を語ったことが話題になっている。

2020年に出版された書籍「The Nolan Variations: The Movies, Mysteries, and Marvels of Christopher Nolan」(トム・ショーン著)において、クリストファー・ノーランが「ダークナイト」三部作(『バットマン ビギンズ』『ダークナイト』『ダークナイト ライジング』)の裏側を語ったことが改めて話題になっている。

『バットマン&ロビン』後のバットマン・フランチャイズ再起を目指すワーナー・ブラザースに対し、クリストファー・ノーランは70年代の「スーパーマン」シリーズのように、“アクション映画としてのリアリティ”を追求する新しいアプローチを提案したという。しかし、今作を製作するにあたり、ワーナー・ブラザースからある要望があった。

スタジオの2つの要件

ワーナー・ブラザースのグレッグ・シルバーマン氏は、ノーランの妻で製作パートナーでもあるエマ・トーマスに2つの条件を提示。ひとつは『バットマン ビギンズ』を子どもたち向けにPG-13指定にすること、そしてもうひとつが「かっこいい車を登場させること」だった。これはグッズの販売促進という狙いもあっての戦略だった。

このふたつ目の要望に対し、当初ノーランは戸惑いを感じたという。「正直、本当にそれで上手くいくのかと思った」とノーランは振り返る。「その実現はとても大きな課題だった。でも結果的に、それが脚本を書いている間も我々が注力した部分になったんだ。その車はどこから来るのか?どんな見た目か?この物語の中でどう説明するのか?それを考えるうちに、多くの要素のカギとなったんだ。我々が考えたのは、『コスチュームを着た男の存在をどうやって納得させるか?その神話とは何か?どうやってそれを正当化するか?』ということだった」と、その困難に向き合ったことが作品に深みを与えたことを振り返った。

【動画】『ダークナイト』予告編

商業的要望がもたらした創造的な進化

当初バットモービルの登場を想定していなかったノーランだが、プロダクションデザイナーのネイサン・クローリーと共に、作品世界観に沿った現実味のあるデザインを追求。その結果、『バットマン ビギンズ』でのゴッサム・シティを舞台にした印象的なカーチェイスシーンが実現した。

さらにその発展形として、『ダークナイト』では破損した車体からバットポッド(バイク)が出現するシーンが話題を呼び、『ダークナイト ライジング』では空飛ぶマシン“ザ・バット”へと進化を遂げた。

このように、一見すると商業的な要望が、ノーランの手によって「ダークナイト」三部作全体のリアリティ追求というテーマに深く結びつき、有機的な物語展開の重要な要素となったのだ。

cula をもっと見る

今すぐ購読し、続きを読んで、すべてのアーカイブにアクセスしましょう。

続きを読む