映画『ペット』(2016)を紹介&解説。
映画『ペット』概要
映画『ペット』は、『怪盗グルー』シリーズや『ミニオンズ』を手がけたイルミネーション・エンターテインメントが、飼い主の留守中にペットたちは何をしているのかという発想を膨らませたアニメーション映画。ニューヨークで暮らす小型犬マックスと、新たに家族となった大型犬デュークが、大都会で繰り広げる冒険を描く。監督はクリス・ルノー(『怪盗グルーの月泥棒 3D』)、共同監督はヤーロウ・チェイニー。
作品情報
| 日本版タイトル | 『ペット』 |
|---|---|
| 原題 | The Secret Life of Pets |
| 製作年 | 2016年 |
| 本国公開日 | 2016年7月8日 |
| 日本公開日 | 2016年8月11日 |
| ジャンル | アニメーション/コメディ/アドベンチャー/ファミリー |
| 製作国 | アメリカ |
| 原作 | 無 |
| 上映時間 | 86分 |
| 次作 | 『ペット2』(2019) |
| 監督 | クリス・ルノー |
|---|---|
| 共同監督 | ヤーロウ・チェイニー |
| 脚本 | シンコ・ポール/ケン・ダウリオ/ブライアン・リンチ |
| 製作 | クリス・メレダンドリ/ジャネット・ヒーリー |
| プロダクションデザイン | エリック・ギヨン |
| 編集 | ケン・シュレッツマン |
| 作曲 | アレクサンドル・デスプラ |
| 声の出演 | ルイス・C・K/エリック・ストーンストリート/ケヴィン・ハート/ジェニー・スレイト/エリー・ケンパー/レイク・ベル/ダナ・カーヴィ/ハンニバル・バレス/ボビー・モイニハン/スティーヴ・クーガン/アルバート・ブルックス |
| 日本語吹替 | 設楽統/日村勇紀/中尾隆聖/沢城みゆき/佐藤栞里/永作博美/銀河万丈/宮野真守/梶裕貴/山寺宏一 |
| 製作会社 | イルミネーション・エンターテインメント |
| 配給 | ユニバーサル・ピクチャーズ/東宝東和(日本) |
あらすじ
ニューヨークのマンハッタンで、飼い主のケイティと暮らす小型犬マックス。ケイティを誰よりも愛するマックスは、彼女が仕事から帰ってくる時間を毎日心待ちにしていた。
ところがある日、ケイティが保護施設から毛むくじゃらの大型犬デュークを連れて帰ってくる。自分の居場所やケイティの愛情を奪われるのではないかと不安になったマックスは、デュークを追い出そうと画策。デュークも反発し、2匹は激しく対立する。
やがて散歩中の騒動によって首輪を失い、動物管理局に捕まりかけた2匹は、飼い主に捨てられたペットたちを率いるウサギのスノーボールと遭遇する。ケイティが帰宅するまでに家へ戻るため、マックスとデュークは反発しながらも力を合わせ、大都会を駆け巡ることになる。
主な登場人物(キャスト)
マックス(ルイス・C・K/日本語吹替:設楽統):マンハッタンのアパートでケイティと暮らす、テリア系の小型犬。ケイティの愛情を独占してきたため、新しく迎えられたデュークに強い嫉妬心を抱く。神経質で寂しがり屋だが、仲間を思う勇気も持っている。
デューク(エリック・ストーンストリート/日本語吹替:日村勇紀):ケイティが保護施設から引き取った、毛むくじゃらの大型犬。大ざっぱな振る舞いでマックスの生活を乱すが、陽気な外見の裏には、かつての飼い主にまつわる寂しい過去を抱えている。
スノーボール(ケヴィン・ハート/日本語吹替:中尾隆聖):人間に捨てられたペットたちによる地下組織を率いる白いウサギ。愛らしい見た目とは対照的に、気性が激しく、人間への復讐心を燃やしている。
ギジェット(ジェニー・スレイト/日本語吹替:沢城みゆき):マックスと同じアパートに暮らす白いポメラニアン。マックスに思いを寄せており、彼の行方が分からなくなると、仲間たちを集めて捜索に乗り出す。小柄で可愛らしいが、いざというときには驚異的な行動力を発揮する。
クロエ(レイク・ベル/日本語吹替:永作博美):マックスの友人である、食いしん坊の猫。気だるく無関心そうに振る舞いながらも、マックスの救出作戦に協力する。猫らしいマイペースな言動で笑いを生み出す。
ケイティ(エリー・ケンパー/日本語吹替:佐藤栞里):マックスとデュークの飼い主。マックスを大切に育ててきた心優しい女性で、保護施設にいたデュークを新たな家族として迎え入れる。
ポップス(ダナ・カーヴィ/日本語吹替:銀河万丈):後ろ脚が不自由な老犬。ニューヨークの街を知り尽くしており、ギジェットたちによるマックス捜索を案内する。
作品の魅力解説
飼い主の知らない「ペットあるある」の世界
本作の出発点となるのは、「飼い主が出かけている間、ペットたちは何をしているのか」という身近な疑問である。飼い主が家を出た瞬間に仲間の部屋へ遊びに行く犬、冷蔵庫の中身を漁る猫、ミキサーをマッサージ器代わりにする小動物など、動物と暮らした経験がある人なら思わず頷きたくなる行動が、自由な想像力とともに描かれている。
物語が本格的な冒険へ移ってからも、食べ物への執着や縄張り意識、物音に対する過剰な反応といった犬や猫の習性が随所に盛り込まれる。人間のように会話するキャラクターでありながら、それぞれが動物らしさを失っていないことが、作品の可愛らしさと笑いを支えている。
デフォルメの中に宿る動物の身体的なリアリティ
丸みを強調した輪郭や大きな目など、キャラクターデザインは大胆にデフォルメされている。一方で、走るときの脚の運び方、耳や尻尾の反応、着地した際の重心、毛に覆われた身体の揺れ方といった動きには、実際の犬や猫を研究したことが伝わる細やかさがある。
マックスの小さく軽快な動きと、デュークの大きく重量感のある動きにも明確な違いが設けられている。デザインはコミカルでも、キャラクターが物体としてその場に存在しているように感じられるため、車や動物管理局に追われる場面では、衝突や落下の危険が思いのほか切実に伝わってくる。この可愛らしさと物理的なリアリティの組み合わせが、アクションにハラハラする感覚を与えている。
居場所を奪われる不安から始まる王道の友情
マックスとデュークの関係は、可愛がられてきた先住犬が、新入りに飼い主の時間と愛情を奪われるのではないかと焦るところから始まる。反発する2匹が予期せぬトラブルに巻き込まれ、危機を切り抜ける中で互いの事情を知り、少しずつ助け合う相棒へ変わっていく構成自体に大きな意外性はない。
しかし、マックスの嫉妬もデュークの粗暴さも、その奥には「再びひとりになるかもしれない」という不安がある。2匹が家族になる過程を、ニューヨークを横断する冒険と結びつけたことで、親しみやすい友情物語としてまとめられている。
個性豊かなペットたちが駆け回るニューヨーク
マックスとデュークだけでなく、恋するポメラニアンのギジェット、無気力で食いしん坊な猫のクロエ、街を知り尽くした老犬ポップス、愛らしい外見で過激な言動を繰り返すスノーボールなど、脇を固める動物たちも個性的である。
アパートの室内から路地裏、地下下水道、橋、川へと舞台を次々に移しながら、多数のキャラクターが入り乱れる追跡劇が展開する。日常的な「ペットあるある」で始まった物語が、飼い主の知らないところで進行する大都会の冒険へ発展していくスケール感も、本作の娯楽性を高めている。
ライター/エディター/映画インスタグラマー。2019年に早稲田大学法学部を卒業。東京都職員として国際業務等を経験後、ライター業に転身。各種SNS(Instagram・X)やYouTubeチャンネル「cula 見て聞く映画マガジン(旧:アルテミシネマ)」においても映画や海外ドラマ、音楽といったカルチャーに関する情報レビューを発信している。
