映画『ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか?』(2026)を紹介&解説。
映画『ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか?』概要
映画『ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか?』は、ベトナム戦争に従軍した元アメリカ海兵隊員アレン・ネルソンが自身の戦争体験と帰還後の苦しみを綴ったノンフィクションを映画化し、“戦争加害者の傷”を描く戦争ドラマ。塚本晋也が監督・脚本・撮影・編集を務め、『野火』『斬、』『ほかげ』に続いて戦争と人間を見つめる。主演はロドニー・ヒックス。共演にジェフリー・ラッシュ、マーク・マーフィー、リリー・フランキー、タチアナ・アリら。第83回ヴェネチア国際映画祭コンペティション部門選出作。
作品情報
| 日本版タイトル | 『ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか?』 |
|---|---|
| 原題 | Mr. Nelson, Did You Kill People? |
| 製作年 | 2026年 |
| 日本公開日 | 2026年9月11日 |
| ジャンル | 戦争/ドラマ/伝記 |
| 製作国 | 日本/アメリカ/タイ/ベトナム |
| 原作 | アレン・ネルソン『ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか? ベトナム帰還兵が語る「ほんとうの戦争」』(ノンフィクション) |
| 上映時間 | 116分 |
| 監督・脚本・撮影・編集 | 塚本晋也 |
|---|---|
| 製作 | 武部由実子/クリストファー・フレイ/フィリッパ・フレイ/落合賢 |
| 製作総指揮 | 木下直哉 |
| 作曲 | ermhoi |
| 出演 | ロドニー・ヒックス/ジェフリー・ラッシュ/マーク・マーフィー/リリー・フランキー/タチアナ・アリ |
| 製作 | キノフィルムズ/Cross Media International/J&B Entertainment/Chanh Phuong Films |
| 配給 | キノフィルムズ |
あらすじ
ニューヨークの貧しい家庭に生まれたアフリカ系アメリカ人のアレン・ネルソンは、差別と貧困から抜け出すため、18歳でアメリカ海兵隊へ入隊する。
沖縄のキャンプ・ハンセンを経て1966年にベトナム戦争の最前線へ送られたアレンがそこで経験したのは、映画で見ていた英雄的な戦争とはまったく異なる現実だった。人を殺すことを繰り返すうちに感覚を失っていったアレンは、23歳で帰国した後も戦場の記憶から逃れられない。
大きな音や暗闇に怯え、家族との関係も崩壊し、やがてホームレスとなったアレン。そんな彼を社会につなぎ止めたのが、退役軍人病院でカウンセリングを行う精神科医ニール・ダニエルズだった。
主な登場人物(キャスト)
アレン・ネルソン(ロドニー・ヒックス):ベトナム戦争に従軍したアフリカ系アメリカ人の元海兵隊員。貧困と差別から抜け出すため18歳で入隊するが、戦場での加害経験によって深いPTSDを抱える。実在した人物。
ニール・ダニエルズ(ジェフリー・ラッシュ):退役軍人病院でアレンの治療にあたる精神科医。戦争の記憶に苦しみ、社会とのつながりを失いかけたアレンに向き合う。
青年期のアレン・ネルソン(マーク・マーフィー):海兵隊員としてベトナム戦争の最前線へ送られた若き日のアレン。戦場で人を殺す経験を重ねる中で、その精神を大きく変化させていく。
黒井(リリー・フランキー):後年、反戦活動や講演活動を行うアレンを日本で支える人物。
リンダ(タチアナ・アリ):アレンの妻。戦場から帰還し、PTSDに苦しむアレンとの生活に直面する。
作品の魅力解説(公開前時点)
“戦争の被害者”だけではなく、“加害した兵士の傷”を見る
本作が正面から扱うのは、戦場で人を殺した側に残る傷。アレン・ネルソンは自らがベトナム戦争で行ったことを隠すのではなく、その体験と戦争後遺症を語り続けた人物だった。
戦争が民間人や兵士の命を奪うだけでなく、「人を殺すことを命じられた人間」の精神をその後の人生まで破壊していく過程を描く点が、本作の重要な視点となる。
『野火』『斬、』『ほかげ』の先にある塚本晋也の戦争映画
塚本晋也監督はこれまで『野火』『斬、』『ほかげ』で、戦場や暴力が人間の身体と精神へ与える影響を描いてきた。
本作ではアメリカ人のベトナム帰還兵という立場へ視点を移し、ニューヨーク、ベトナム、タイ、沖縄で撮影を敢行。監督自身が脚本だけでなく撮影・編集まで担当し、実在の人物の証言を塚本作品独自の身体感覚を伴った映像へ落とし込む。
国境を越えたキャストと4カ国共同製作
主人公アレンを演じるのはブロードウェイ版『RENT』のオリジナルキャストとして知られるロドニー・ヒックス。精神科医ダニエルズ役には『シャイン』でアカデミー賞主演男優賞を受賞したジェフリー・ラッシュが出演する。
さらにリリー・フランキー、タチアナ・アリらが参加し、作品は全編英語で製作。日本、アメリカ、タイ、ベトナムの4カ国にまたがる国際的な製作体制が組まれている。
第83回ヴェネチア国際映画祭のコンペティション部門にも選出され、国際的な舞台から発信される戦争映画となった。
