『塔の上のラプンツェル』とはどんな映画?あらすじ・キャスト・魅力まとめ

映画『塔の上のラプンツェル』(2010)を紹介&解説。


映画『塔の上のラプンツェル』概要

映画『塔の上のラプンツェル』は、グリム兄弟の童話『ラプンツェル』を大胆に再構成した、ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオ第50作目の長編アニメーション。魔法の長い髪を持ち、塔の中で育てられた少女ラプンツェルが、泥棒フリン・ライダーとの出会いをきっかけに、初めて外の世界へ踏み出す冒険と恋を描く。監督はネイサン・グレノとバイロン・ハワード。声の出演はマンディ・ムーア、ザッカリー・リーヴァイ、ドナ・マーフィーら。

作品情報

日本版タイトル 『塔の上のラプンツェル』
原題 Tangled
製作年 2010年
本国公開日 2010年11月24日
日本公開日 2011年3月12日
ジャンル アニメーション/ミュージカル/ファンタジー/アドベンチャー/恋愛/コメディ
製作国 アメリカ
原作 グリム兄弟『ラプンツェル』
上映時間 101分
監督 ネイサン・グレノ/バイロン・ハワード
脚本 ダン・フォーゲルマン
製作 ロイ・コンリ
製作総指揮 ジョン・ラセター/グレン・キーン
プロダクション・デザイン ダグラス・ロジャース
編集 ティム・マーテンズ
作曲 アラン・メンケン
作詞 グレン・スレイター
出演 マンディ・ムーア/ザッカリー・リーヴァイ/ドナ・マーフィー/ロン・パールマン/ブラッド・ギャレット/ジェフリー・タンバー
製作 ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオ
配給 ウォルト・ディズニー・スタジオ

あらすじ

森の奥にそびえる塔で、母親を偽る“マザー・ゴーテル”と暮らしてきた18歳の少女ラプンツェル。彼女が持つ20メートルを超える金色の髪には、不思議な癒やしの力が宿っていた。外の世界は危険だと教えられてきたラプンツェルだが、毎年自分の誕生日になると空を埋め尽くす無数の灯りを間近で見たいと願っていた。

そんなある日、王国で指名手配されている大泥棒フリン・ライダーが塔へ逃げ込んでくる。ラプンツェルは彼を捕らえ、灯りが上がる場所まで案内することを条件に取引を持ちかける。生まれて初めて塔の外へ出たラプンツェルは、フリンとともに冒険を重ねる中で、自身の出生に隠された秘密へ近づいていく。

主な登場人物(キャスト)

ラプンツェル(マンディ・ムーア):魔法の力を宿す長い金髪を持ち、森の塔で18年間育てられた少女。好奇心旺盛で絵画や音楽、料理など多彩な才能を持つ一方、外の世界への憧れを募らせている。毎年誕生日に見える無数の灯りの正体を確かめるため、フリンと旅に出る。

フリン・ライダー/ユージーン・フィッツハーバート(ザッカリー・リーヴァイ):王国で指名手配されている自信家の大泥棒。本名はユージーン・フィッツハーバート。追っ手から逃げるためにラプンツェルの塔へ入り込み、彼女との取引によって渋々旅の案内役を務める。軽薄に見えるが、次第に誠実な素顔をのぞかせていく。

マザー・ゴーテル(ドナ・マーフィー):ラプンツェルを赤ん坊の頃にさらい、母親として塔で育ててきた女性。ラプンツェルの髪が持つ力を利用して若さを保っている。愛情深い母親を装いながら、罪悪感や恐怖を植えつけてラプンツェルを支配する。

パスカル:ラプンツェルと塔で暮らすカメレオン。言葉は話さないものの、豊かな表情と身ぶりで感情を伝える親友であり、ラプンツェルの決断を力強く後押しする。

マキシマス:フリンを執念深く追跡する王宮警護隊の白馬。優秀で正義感が強く、犬のような仕草を見せることもある。フリンとは激しく対立するが、ラプンツェルを通じて奇妙な協力関係を築いていく。

スタビントン兄弟(ロン・パールマン):フリンとともに王冠を盗んだ大柄な兄弟。裏切ったフリンへの復讐を狙い、ラプンツェルの秘密に目をつけたゴーテルに利用される。

作品の魅力解説

ディズニー・アニメーション復活の節目となった第50作

本作は、ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオにとって記念すべき長編第50作。2000年代のディズニー長編アニメーションに停滞感を抱いていた観客にとっては、スタジオが再び息を吹き返したと感じられるマイルストーン的作品でもあろう。

プリンセス、魔法、冒険、ロマンス、動物の相棒、ミュージカルという伝統的なディズニー映画の要素を受け継ぎながら、テンポの速い会話や現代的なユーモア、立場の逆転を盛り込んだ。クラシックな童話の魅力とCGアニメーション時代の感覚を結びつけ、後の『アナと雪の女王』などへ続く新たな隆盛を準備した作品と位置づけられる。

長い髪とランタンが生み出すCGアニメーションの美しさ

20メートルを超えるラプンツェルの長髪は、物語の鍵であると同時に、本作の映像表現を象徴する存在だ。膨大な髪の束が絡み合い、揺れ、光を放つ様子をCGによって繊細に表現し、髪そのものをアクションや感情表現の一部として機能させている。

なかでも、無数のランタンが夜空を埋め尽くす場面は本作最大の見せ場。水面に映る光、暖かな色彩、ゆったりと動くランタンが、ラプンツェルの夢の実現とユージーンへの想いを視覚的に表現する。台詞に頼らず、映像と音楽によって感情を最高潮へ導く、ディズニー史に残るロマンチックなシークエンスとなった。

ラプンツェルとユージーンが育てる憧れのロマンス

世間知らずながら行動力にあふれるラプンツェルと、世慣れた大泥棒を演じるユージーン。一見すると正反対の凸凹コンビだが、冒険を通して互いの弱さや本当の夢を知り、少しずつ心の距離を縮めていく。

ラプンツェルはユージーンとの旅によって塔の外の世界を知り、ユージーンはラプンツェルとの出会いによって、虚勢の裏に隠していた本来の自分を取り戻していく。美男美女としての華やかなビジュアルだけでなく、互いの自由と幸福を尊重し合う関係へ成長していく過程が、世代を超えて憧れられるカップル像を作り上げている。

善悪だけでは割り切れないマザー・ゴーテルの歪んだ母性

マザー・ゴーテルは、若さを保つためにラプンツェルを誘拐し、その自由を奪ってきた明確なヴィランである。しかし、18年間にわたって母親として接してきたため、その振る舞いには、わずかながら本物の情愛さえ混じっているように見える瞬間がある。

だからこそ、彼女の支配は単純な暴力以上の独特の手触りをもたらす。優しい言葉、過剰な心配、罪悪感を刺激する態度を使い、ラプンツェルに「外の世界では生きられない」と思い込ませる。愛情と所有欲を混同した歪んだ母性は、ラプンツェルが乗り越えるべき心理的な塔として物語に深みを与えている。

脇役まで忘れがたい表情豊かなキャラクター

本作の魅力はメインの恋愛関係だけにとどまらない。小さなカメレオンのパスカルと、使命感の強い白馬マキシマスは、台詞を話さずとも目線や動作だけで感情を雄弁に伝える。特にフリンとマキシマスの対立は、人間同士の掛け合いにも負けないコメディを生み出している。

荒くれ者が集まる酒場「かわいいアヒルの子」の男たちも、それぞれが意外な夢を抱えていることを告白する。外見だけで人を判断してはならないという作品のテーマを、笑いとミュージカルによって軽やかに伝える名脇役たちだ。

アラン・メンケンが紡ぐキャッチーで感情豊かな音楽

音楽を手がけたのは、『リトル・マーメイド』『美女と野獣』『アラジン』などでディズニーの黄金期を支えたアラン・メンケン。作詞家グレン・スレイターとのコンビで、物語と登場人物の感情を前へ進めるミュージカルナンバーを作り上げた。

ラプンツェルの閉塞感と外の世界への憧れを歌う「When Will My Life Begin?(自由への扉)」、荒くれ者たちの意外な素顔が楽しい「I’ve Got a Dream(誰にでも夢はある)」、ラプンツェルとユージーンの恋心が重なる「I See the Light(輝く未来)」など、楽曲はいずれもキャッチーでありながら登場人物の心情に深く結びついている。「I See the Light」は第83回アカデミー賞歌曲賞にもノミネートされた。

また、「When Will My Life Begin?」にはジョニ・ミッチェルらに通じる1960年代のフォークロックが取り入れられている。一方、街の祝祭を彩る器楽曲「Kingdom Dance(王国でダンス)」では、ケルト音楽を思わせるリズムと次第に加速する舞曲が、人々の熱気とラプンツェルの解放感を表現。歌曲だけでなく劇伴にも、アラン・メンケンならではの物語を語る力が宿っている。

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