『Sharper:騙す人』とはどんな映画?あらすじ・キャスト・魅力・レビューまとめ

映画『Sharper:騙す人』(2023)を紹介&解説。


映画『Sharper:騙す人』概要

映画『Sharper:騙す人』は、ニューヨークを舞台に、富と愛をめぐって詐欺師たちが幾重もの騙し合いを繰り広げるクライムサスペンス。『ザ・クラウン』や『キャシアン・アンドー』を手掛けたベンジャミン・カロンの長編映画監督デビュー作で、Apple Original FilmsとA24が製作に参加した。

物語は複数の登場人物の名前を冠した章に分かれ、視点と時間を切り替えながら、それまで信じていた関係や出来事を次々と覆していく。出演はジュリアン・ムーア、セバスチャン・スタン、ジャスティス・スミス、ブリアナ・ミドルトン、ジョン・リスゴーら。

作品情報

日本版タイトル 『Sharper:騙す人』
原題 Sharper
製作年 2023年
本国公開日 2023年2月10日(米国限定公開)
日本公開日 2023年2月17日(Apple TV+配信開始)
ジャンル クライム/サスペンス/スリラー/ドラマ
製作国 アメリカ
原作 無
上映時間 116分
監督 ベンジャミン・カロン
脚本 ブライアン・ゲイトウッド/アレッサンドロ・タナカ
製作 エリック・フェイグ/ジェシカ・スイッチ/ジュリアン・ムーア/バート・フレインドリッチ/ブライアン・ゲイトウッド/アレッサンドロ・タナカ
製作総指揮 ジュリア・ハマー/エイミー・ハーマン
撮影 シャルロッテ・ブルース・クリステンセン
編集 ヤン・マイルズ
作曲 クリント・マンセル
出演 ジュリアン・ムーア/セバスチャン・スタン/ジャスティス・スミス/ブリアナ・ミドルトン/ジョン・リスゴー
製作 Apple Original Films/A24/Picturestart
配給 A24(米国劇場)/Apple TV+(世界配信)

あらすじ

ニューヨークで小さな書店を営む青年トムは、ある日、店を訪れた大学院生サンドラと出会う。本をきっかけに親しくなったふたりは、やがて恋人同士になるが、サンドラは家族が抱えている深刻な問題をトムに打ち明ける。

裕福な父親を持つトムは彼女を救おうとするものの、ふたりの関係は思いもよらない方向へと進んでいく。やがて、富豪リチャードとその恋人マデリン、危険な魅力を持つ男マックスらの人生が複雑に交差。それぞれの素顔と目的が明らかになるにつれ、誰が誰を騙しているのか分からない、巨額の財産を懸けたゲームが展開する。

主な登場人物(キャスト)

マデリン・フィリップス(ジュリアン・ムーア):ニューヨークの上流社会に身を置く、エレガントで謎めいた女性。富豪リチャードと親密な関係にあるが、その言動の奥には簡単には見抜けない思惑を隠している。

マックス(セバスチャン・スタン):人を引きつける魅力と巧みな話術を持つ男。相手の弱点や欲望を見抜き、さまざまな顔を使い分けながら目的を遂げようとする。

トム(ジャスティス・スミス):ニューヨークで書店を営む青年。大富豪リチャードの息子だが、父親の事業から距離を置き、自分の人生を築こうとしている。サンドラとの出会いによって大きな騒動に巻き込まれる。

サンドラ(ブリアナ・ミドルトン):トムの書店を訪れた大学院生。本を通じてトムと意気投合し、恋人関係になるが、複雑な事情と誰にも明かしていない過去を抱えている。

リチャード・ホッブス(ジョン・リスゴー):ニューヨークの一等地に豪邸を構える大富豪で、トムの父親。莫大な資産を持ち、マデリンとの新たな人生を歩もうとしている。

作品の魅力解説

章が変わるたびに“真実”が裏返る構成

本作最大の魅力は、中心人物を切り替えながら進む章立ての構成である。ひとつの章で見せられた関係や出来事が、別の人物の視点へ移った瞬間にまったく異なる意味を帯びてくる。

登場人物の誰かが嘘をついていることは分かっていても、誰が騙す側で、誰が騙される側なのかは簡単に断定できない。過去の場面に散りばめられた言葉や仕草を思い返しながら、次の一手を予想する頭脳戦が続いていく。

セバスチャン・スタンら豪華キャストの化かし合い

セバスチャン・スタン、ジュリアン・ムーア、ジャスティス・スミスらスタイリッシュなキャストが、互いの素顔を探り合うアンサンブルも見どころだ。

セバスチャン・スタンは、優雅さと危険性を併せ持つ詐欺師を魅力的に演じる。甘い表情から冷酷な顔へ一瞬で切り替わる芝居には、相手だけでなく観客まで信用させてしまう説得力がある。

ジュリアン・ムーアはエレガントな装いの裏に野心と不安を潜ませ、マデリンを単なる悪女には収まらない人物として表現。ジャスティス・スミスも、物静かな青年の繊細さと不敵さを行き来し、物語の印象を変えていく。さらにブリアナ・ミドルトンが複数の人物をつなぐ重要な存在となり、ジョン・リスゴーが富と権力をめぐるドラマに重厚感を与えている。

ニューヨークの光と影を映すスタイリッシュな映像

物語の舞台となるのは、5番街の豪華なペントハウスから、薄暗いバー、書店、クイーンズの街角まで、異なる顔を持つニューヨークである。

シャルロッテ・ブルース・クリステンセンによる撮影では35ミリフィルムが使用され、富裕層の暮らす空間には艶やかな高級感を、詐欺師たちが暗躍する場所には冷たく不穏な空気を与えている。クリント・マンセルの音楽も、次の裏切りがいつ訪れるか分からない緊張を静かに高めていく。

大金を懸けて続く、終わりの見えない騙し合い

信用を得るためには相手の欲望を理解し、最も魅力的な人物を演じなければならない。本作の詐欺は単なる金銭の奪い合いではなく、愛情や罪悪感、孤独といった感情まで利用する心理戦として描かれる。

仕掛けの一部は早い段階で予想できるものの、登場人物たちが二重、三重に相手を出し抜こうとする展開には油断できない面白さがある。このキャストによる化かし合いはまだ観ていたいと思わせるものであり、とりわけセバスチャン・スタンが演じる詐欺師マックスには、別の標的を相手にした物語も想像したくなる。本作だけで物語は完結しているが、彼らの駆け引きをさらに広げた続編を期待したくなる一作である。

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