映画『シェイプ・オブ・ウォーター』(2017)を紹介&解説。
映画『シェイプ・オブ・ウォーター』概要
映画『シェイプ・オブ・ウォーター』は、ギレルモ・デル・トロ監督(『パンズ・ラビリンス』)が、1962年の冷戦下アメリカを舞台に、声を持たない女性と謎めいた水棲生物の愛を描くファンタジー・ロマンス。政府の極秘研究所で働く清掃員イライザが、“実験体”として捕らえられた不思議な存在と心を通わせていく。主演はサリー・ホーキンス、共演にマイケル・シャノン、リチャード・ジェンキンス、ダグ・ジョーンズ、マイケル・スタールバーグ、オクタヴィア・スペンサーら。第74回ヴェネチア国際映画祭で金獅子賞、第90回アカデミー賞で作品賞・監督賞など4部門を受賞した。
作品情報
日本版タイトル:『シェイプ・オブ・ウォーター』
原題:The Shape of Water
製作年:2017年
本国公開日:2017年12月1日
日本公開日:2018年3月1日
ジャンル:ファンタジー/恋愛/ドラマ
製作国:アメリカ
原作:無
上映時間:124分
監督:ギレルモ・デル・トロ
脚本:ギレルモ・デル・トロ/ヴァネッサ・テイラー
製作:ギレルモ・デル・トロ/ジェイ・マイルズ・デイル
製作総指揮:エリザベス・セイヤー
撮影:ダン・ローストセン
編集:シドニー・ウォリンスキー
作曲:アレクサンドル・デスプラ
出演:サリー・ホーキンス/マイケル・シャノン/リチャード・ジェンキンス/ダグ・ジョーンズ/マイケル・スタールバーグ/オクタヴィア・スペンサー
製作:フォックス・サーチライト・ピクチャーズ/TSGエンターテインメント/ダブル・デア・ユー・プロダクションズ
配給:フォックス・サーチライト・ピクチャーズ/20世紀フォックス(日本)
あらすじ
1962年、冷戦下のアメリカ。政府の極秘研究所で清掃員として働くイライザは、幼い頃の出来事で声を発することができず、孤独な日々を送っていた。ある日、彼女は研究所に運び込まれた謎の水棲生物と出会う。言葉を持たない者同士であるふたりは、音楽や手話、まなざしを通して少しずつ心を通わせていく。しかし、その存在を実験対象として扱う研究所の思惑が明らかになり、イライザは彼を救うため危険な計画に踏み出す。
主な登場人物(キャスト)
イライザ・エスポジート(サリー・ホーキンス):政府の極秘研究所で働く清掃員。声を発することはできないが、豊かな感受性と強い意志を持つ女性。研究所で出会った水棲生物に惹かれ、やがて彼を守ろうと行動する。
リチャード・ストリックランド(マイケル・シャノン):研究所で水棲生物の管理を担う政府側の男。権威と力を信じる冷酷な人物で、イライザと水棲生物の前に大きな脅威として立ちはだかる。
ジャイルズ(リチャード・ジェンキンス):イライザの隣人で、彼女のよき理解者。孤独を抱えながら暮らすイラストレーターで、イライザの大胆な計画に巻き込まれていく。
謎の生き物(ダグ・ジョーンズ):アマゾンで発見され、研究所に捕らえられた水棲生物。人間とは異なる姿をしているが、知性と感情を持ち、イライザと深い絆を結んでいく。
ロバート・ホフステトラー博士(マイケル・スタールバーグ):研究所で水棲生物の調査に関わる科学者。生物を単なる実験対象として扱うことに疑問を抱き、イライザたちの行動に重要な影響を与える。
ゼルダ・フラー(オクタヴィア・スペンサー):イライザの同僚で親友。明るく現実的な性格で、言葉の少ないイライザを支える存在。研究所での異変を知り、彼女の決断に深く関わっていく。
作品の魅力解説
“異形の存在”へのまなざし:ギレルモ・デル・トロ作品らしく、本作は怪物を恐怖の対象としてではなく、理解されない存在、傷つけられた存在として描いている。イライザと水棲生物の関係は、外見や言葉を超えて心が通じ合うラブストーリーとして成立している。
冷戦下の社会を背景にした寓話性:舞台は1962年のアメリカ。研究所、軍事機密、差別、性別役割、孤独といった要素が物語に織り込まれ、単なるファンタジーではなく、社会からはみ出した人々の連帯の物語としても楽しめる。
映像美と美術の完成度:緑がかった色彩、水のイメージ、クラシカルなアパートや映画館、無機質な研究所など、画面全体に統一された美意識がある。現実と幻想の境界がなめらかに溶け合い、まるで大人のためのおとぎ話のような世界観を作り上げている。
音楽と演技が生むロマンチックな余韻:アレクサンドル・デスプラの音楽は、切なさと浮遊感を物語に与えている。言葉に頼らず感情を伝えるサリー・ホーキンスの演技、身体表現で生物に命を吹き込むダグ・ジョーンズの演技も大きな見どころ。
アカデミー賞作品賞受賞作としての見応え:ファンタジー、ロマンス、サスペンス、社会派ドラマの要素を融合させながら、最後には“愛とは何か”という普遍的なテーマへ着地する。ジャンル映画でありながら賞レースでも高く評価された、デル・トロ監督の代表作のひとつ。
