映画『リプレイスメント・キラー』(1998)を紹介&解説。
映画『リプレイスメント・キラー』概要
映画『リプレイスメント・キラー』は、アントワーン・フークア監督が、組織に背いた殺し屋の逃亡と死闘をスタイリッシュに描くアクション・クライム映画。香港ノワールを代表するスター、チョウ・ユンファのハリウッド主演第1作として知られ、ジョン・ウーが製作総指揮に名を連ねている。幼い子どもを殺す任務を拒んだプロの殺し屋が、文書偽造屋の女性と手を組み、裏社会から送り込まれる“代わりの殺し屋”たちに立ち向かう。主演はチョウ・ユンファ、共演にミラ・ソルヴィノ、マイケル・ルーカー、ケネス・ツァン、ユルゲン・プロホノフ、ティル・シュヴァイガー、ダニー・トレホら。
作品情報
日本版タイトル:『リプレイスメント・キラー』
原題:The Replacement Killers
製作年:1998年
本国公開日:1998年2月6日
日本公開日:1998年10月31日
ジャンル:アクション/クライム/スリラー
製作国:アメリカ
原作:無
上映時間:87分
監督:アントワーン・フークア
脚本:ケン・サンゼル
製作:ブラッド・グレイ/バーニー・ブリルスタイン
製作総指揮:ジョン・ウー/テレンス・チャン/クリストファー・ゴシック/マシュー・ベアー
撮影:ピーター・リオンズ・コリスター
編集:ジェイ・キャシディ
作曲:ハリー・グレッグソン=ウィリアムズ
美術:ナオミ・ショーハン
出演:チョウ・ユンファ/ミラ・ソルヴィノ/マイケル・ルーカー/ケネス・ツァン/ユルゲン・プロホノフ/ティル・シュヴァイガー/ダニー・トレホ/クリフトン・コリンズ・ジュニア
製作:コロンビア・ピクチャーズ/ブリルスタイン=グレイ・エンターテインメント/WCGエンターテインメント・プロダクションズ
配給:コロンビア・ピクチャーズ/ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント(日本)
あらすじ
ロサンゼルス。チャイニーズ・マフィアのボス、テレンス・ウェイに雇われた殺し屋ジョン・リーは、刑事スタン・ジーコフへの報復として、彼の幼い息子を殺すよう命じられる。しかし、ジョンは子どもに銃口を向けながらも引き金を引くことができず、組織に背く。中国にいる母と妹を守るため、ジョンは偽造屋メグ・コバーンにパスポート作成を依頼するが、ウェイは彼を始末するために“リプレイスメント・キラー”を送り込む。追われる身となったジョンとメグは、組織の包囲網をくぐり抜けながら、命がけの逃亡と反撃に挑んでいく。
主な登場人物(キャスト)
ジョン・リー(チョウ・ユンファ):チャイニーズ・マフィアのボス、ウェイに雇われたプロの殺し屋。幼い子どもを殺す任務を拒んだことで組織に追われ、家族を守るために逃亡する。
メグ・コバーン(ミラ・ソルヴィノ):偽造パスポートの作成を請け負う文書偽造屋。ジョンの依頼をきっかけに抗争へ巻き込まれ、やがて彼と行動を共にする。
スタン・“ジード”・ジーコフ刑事(マイケル・ルーカー):ウェイの息子を射殺した警察刑事。その報復として、自身の幼い息子がジョンの標的にされる。
テレンス・ウェイ(ケネス・ツァン):ロサンゼルスのチャイニーズ・マフィアのボス。息子を失った復讐心からジーコフ刑事の息子の殺害を命じ、命令に背いたジョンを追い詰める。
マイケル・コーガン(ユルゲン・プロホノフ):ウェイの配下として動く男。組織の命令を遂行し、ジョンを追う立場となる。
ライカー(ティル・シュヴァイガー)、コリンズ(ダニー・トレホ):ジョンに代わって任務を遂行するために雇われた殺し屋たち。ジョンとメグを容赦なく追跡する。
作品の魅力解説
本作の魅力は、チョウ・ユンファが香港映画で築いた寡黙なヒーロー像を、ハリウッドのクライム・アクションの中に移し替えている点にある。ジョン・リーは多くを語らない人物だが、子どもを撃てないという一瞬の選択によって、殺し屋でありながら倫理を失っていない男として描かれる。その静かな葛藤が、激しい銃撃戦の中にも哀愁を与えている。
アクション面では、二丁拳銃、スローモーション、暗い室内や夜の街を生かした映像が印象的で、香港ノワール的な美学と90年代ハリウッドのスピード感が重なっている。物語そのものはシンプルだが、弾丸が飛び交う場面の構図や照明、人物の立ち姿によって、スタイリッシュな緊張感が生み出されている。
また、ミラ・ソルヴィノ演じるメグ・コバーンの存在も重要である。ジョンとは異なる世界に生きる彼女が巻き込まれながらも自ら判断し、行動することで、単なる逃亡劇ではなく、孤独な者同士が危機の中で信頼を築いていく物語としても楽しめる。チョウ・ユンファのハリウッド進出作としてだけでなく、アントワーン・フークアの映像感覚を知るうえでも押さえておきたい1本である。
