『ナイト・オン・ザ・プラネット』とはどんな映画?あらすじ・キャスト・魅力まとめ

映画『ナイト・オン・ザ・プラネット』(1991)を紹介&解説。


映画『ナイト・オン・ザ・プラネット』概要

映画『ナイト・オン・ザ・プラネット』は、ジム・ジャームッシュ監督が、世界5都市のタクシーで同じ夜に起こる出会いを描いたオムニバス映画。ロサンゼルス、ニューヨーク、パリ、ローマ、ヘルシンキを舞台に、運転手と乗客の短い会話から、都市の孤独、すれ違い、ユーモア、人生の哀しみが浮かび上がる。出演はウィノナ・ライダージーナ・ローランズジャンカルロ・エスポジートアーミン・ミューラー=スタールロージー・ペレズイザック・ド・バンコレベアトリス・ダルロベルト・ベニーニマッティ・ペロンパーら。音楽はトム・ウェイツが手がけている。

作品情報

日本版タイトル 『ナイト・オン・ザ・プラネット』
原題 Night on Earth
製作年 1991年
本国公開日 1991年10月4日(ニューヨーク映画祭)/1992年5月1日(米国公開)
日本公開日 1992年4月25日
ジャンル ドラマ/コメディ/オムニバス
製作国 アメリカ/日本/フランス/ドイツ/イギリス
原作
上映時間 129分
監督・脚本・製作 ジム・ジャームッシュ
製作総指揮 ジム・スターク/井部正裕/高山登
撮影 フレデリック・エルムス
編集 ジェイ・ラビノウィッツ
作曲 トム・ウェイツ/キャスリーン・ブレナン
出演 ウィノナ・ライダー/ジーナ・ローランズ/ジャンカルロ・エスポジート/アーミン・ミューラー=スタール/ロージー・ペレズ/イザック・ド・バンコレ/ベアトリス・ダル/ロベルト・ベニーニ/パオロ・ボナチェリ/マッティ・ペロンパー/カリ・ヴァーナネン/サカリ・クオスマネン/トミ・サルメラ
製作 ローカス・ソルス・エンターテインメント/JVC/ビクター音楽産業/ル・ステュディオ・カナル+/パンドラ・フィルム/チャンネル・フォー・フィルムズ
配給 ファイン・ライン・フィーチャーズ(米国)/フランス映画社(日本)

あらすじ

同じ夜、地球上の5つの都市で、それぞれのタクシーが走っている。ロサンゼルスでは、若い女性運転手がハリウッドのキャスティング・エージェントを乗せる。ニューヨークでは、不慣れな移民運転手と乗客が奇妙な立場逆転を経験する。パリでは、コートジボワール出身の運転手が盲目の女性客と出会い、ローマでは、おしゃべりな運転手が神父に奔放な告白を始める。そしてヘルシンキでは、酔った男たちを乗せた運転手が、それぞれの人生の痛みを静かに受け止めていく。

主な登場人物(キャスト)

コーキー(ウィノナ・ライダー):ロサンゼルス編に登場する若い女性タクシー運転手。ハリウッドの世界に近づくチャンスを差し出されながらも、自分の夢をはっきり持っている。

ヴィクトリア・スネリング(ジーナ・ローランズ):ロサンゼルス編の乗客で、ハリウッドのキャスティング・エージェント。コーキーの個性に目を留め、映画出演の可能性を持ちかける。

ヘルムート・グロッケンバーガー(アーミン・ミューラー=スタール):ニューヨーク編に登場する移民のタクシー運転手。街にも運転にも不慣れで、乗客とのやり取りの中で不思議なユーモアを生む。

ヨーヨー(ジャンカルロ・エスポジート):ニューヨーク編の乗客。道に迷うヘルムートに代わってハンドルを握ることになり、タクシーの中で奇妙な関係を築いていく。

アンジェラ(ロージー・ペレズ):ニューヨーク編に登場するヨーヨーの義妹。強気な言葉と存在感で、ヘルムートとヨーヨーの車内にさらなる騒がしさをもたらす。

パリの運転手(イザック・ド・バンコレ):パリ編に登場するコートジボワール出身のタクシー運転手。乗客たちからの偏見やからかいに苛立ちつつ、盲目の女性客と印象的な会話を交わす。

盲目の女性(ベアトリス・ダル):パリ編の乗客。見えないことを理由に同情されることを拒み、運転手の思い込みを鋭く揺さぶる。

ジーノ(ロベルト・ベニーニ):ローマ編に登場するおしゃべりなタクシー運転手。神父を乗せると、自分の過去や欲望を止まらない勢いで語り始める。

神父(パオロ・ボナチェリ):ローマ編の乗客。ジーノの奔放すぎる告白を聞かされるうちに、思わぬ事態に巻き込まれていく。

ミカ(マッティ・ペロンパー):ヘルシンキ編のタクシー運転手。酔った男たちを乗せ、彼らの不幸話を聞きながら、自身の重い過去を静かに語る。

作品の魅力解説

5都市を“同じ夜”でつなぐ構成:本作は、ひとつの大きな事件を追うのではなく、ロサンゼルス、ニューヨーク、パリ、ローマ、ヘルシンキのタクシー車内で起こる小さな会話を並べていく。場所も言語も文化も違うのに、誰かと一時的に同じ空間を共有する感覚が全編を貫いている。

タクシーという密室が生む会話劇:運転手と乗客は、基本的にはその夜かぎりの関係。しかし、車内という逃げ場のない距離感だからこそ、初対面の相手に本音や弱さがこぼれてしまう。ジム・ジャームッシュらしい脱力した会話の中に、人間観察の面白さが凝縮されている。

笑いと哀しみのバランス:ロサンゼルスやニューヨーク、ローマ編には軽妙なコメディ色があり、一方でパリ編やヘルシンキ編には孤独や痛みが濃く漂う。エピソードごとに温度が変わりながらも、最後には“世界のどこかで誰かが夜を越えている”という余韻が残る。

トム・ウェイツの音楽が作る夜のムード:トム・ウェイツによる音楽は、都会のざらつき、夜更けの寂しさ、少しおかしな人間味を包み込む重要な要素。ジャームッシュ作品らしいオフビートな空気を、映像だけでなく音からも強く印象づけている。

豪華キャストの個性が際立つオムニバス:ウィノナ・ライダー、ジーナ・ローランズ、ロベルト・ベニーニ、ベアトリス・ダル、マッティ・ペロンパーら、それぞれ異なる国や映画文化を背負った俳優たちが、短いエピソードの中で強い印象を残す。5つの物語を通して、世界中の都市と人間の表情を切り取った一作といえる。

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