映画『奇術師フーディーニ 〜妖しき幻想〜』(2007)を紹介&解説。
映画『奇術師フーディーニ 〜妖しき幻想〜』概要
映画『奇術師フーディーニ 〜妖しき幻想〜』は、ジリアン・アームストロング監督(『若草物語』)が、実在した世界的奇術師ハリー・フーディーニを題材に描くロマンティック・サスペンス。1926年のエディンバラを舞台に、亡き母の最期の言葉を言い当てた者へ賞金を支払うと宣言したフーディーニと、その賞金を狙って接近する偽霊能者メアリーの関係を描く。出演はガイ・ピアース、キャサリン・ゼタ=ジョーンズ、ティモシー・スポール、シアーシャ・ローナンら。
作品情報
| 日本版タイトル | 『奇術師フーディーニ 〜妖しき幻想〜』 |
|---|---|
| 原題 | Death Defying Acts |
| 製作年 | 2007年 |
| 本国公開日 | 2008年3月13日(オーストラリア)/2008年8月8日(イギリス) |
| 日本公開日 | 日本劇場未公開(DVD:2009年7月29日) |
| ジャンル | ドラマ/恋愛/サスペンス |
| 製作国 | イギリス/オーストラリア |
| 原作 | 無 |
| 上映時間 | 96分 |
| 監督 | ジリアン・アームストロング |
|---|---|
| 脚本 | トニー・グリゾーニ/ブライアン・ウォード |
| 製作 | クリス・カーリング/マリアン・マックゴワン |
| 製作総指揮 | ダン・ルポヴィッツ/マーシャ・ナサティア/カーク・ダミコ |
| 撮影 | ハリス・ザンバーラウコス |
| 編集 | ニコラス・ボーマン |
| 作曲 | チェザリー・スカビスゼウスキー |
| 出演 | ガイ・ピアース/キャサリン・ゼタ=ジョーンズ/ティモシー・スポール/シアーシャ・ローナン/ラルフ・ライアックほか |
| 製作 | Zephyr Films/Macgowan Filmsほか |
| 配給 | ライオンズゲート(イギリス)/Dendy Films(オーストラリア) |
あらすじ
1926年、スコットランドのエディンバラ。世界的な奇術師・脱出術師として絶大な人気を誇るハリー・フーディーニは、亡き母への思いを引きずりながら世界各地で公演を続けていた。
霊能力を騙る者たちに懐疑的なフーディーニは、母が死の間際に残した言葉を正確に言い当てた者へ1万ドルを支払うと宣言する。
その話を聞きつけたのが、娘ベンジーとともに偽の霊能力を使って客を騙しているメアリー・マクガーヴィーだった。賞金を手に入れようとフーディーニへ近づき、母の最期の言葉を探ろうとするメアリー。しかしフーディーニと時間を過ごすうちに、ふたりの間には計画にはなかった感情が生まれ始める。
主な登場人物(キャスト)
ハリー・フーディーニ(ガイ・ピアース):世界的な名声を得ている奇術師・脱出術師。最愛の母を亡くしたことを引きずっており、母の最期の言葉を霊界から聞き出せる人物へ賞金を支払うと発表する。
メアリー・マクガーヴィー(キャサリン・ゼタ=ジョーンズ):娘ベンジーと組み、霊能力があるように装って客を騙している女性。フーディーニが提示した賞金を狙って彼へ近づくが、次第に本物の感情を抱くようになる。
ベンジー・マクガーヴィー(シアーシャ・ローナン):メアリーの娘。母親の偽霊能力ショーを手伝い、客について事前に集めた情報を利用して超常現象のように見せかけている。
シュガーマン(ティモシー・スポール):フーディーニのマネージャー。世界的スターである彼を支えながら、周囲から近づいてくる人々にも警戒している。
作品の魅力解説
実在のフーディーニと「霊能力」をめぐる史実をフィクションへ
本作の面白い着眼点は、奇術師として知られるハリー・フーディーニと超常現象との複雑な関係を、架空のロマンスと組み合わせたことにある。
フーディーニは奇術を披露する一方で、霊能力を持つと主張する人物たちのトリックを暴く活動でも知られた人物。本作では、亡き母への強い思慕を抱えるフーディーニと、まさに彼が疑っている“偽の霊能力者”メアリーを対面させる。
互いに相手の真意を探り、何が本当で何が演技なのか分からなくなっていく構造が、奇術師を題材にした物語と噛み合っている。
1920年代エディンバラと奇術ショーを描くクラシカルな画作り
撮影を担当したのは、後に『マイティ・ソー』『ベルファスト』なども手がけるハリス・ザンバーラウコス。1920年代のエディンバラを舞台に、ホテル、劇場、街並みなどをクラシカルな雰囲気で映し出す。
フーディーニの華やかなステージと、その裏側にある孤独や死への執着という対比も作品の重要な要素。キャサリン・ゼタ=ジョーンズ演じるメアリーの衣装や、当時のショービジネスを意識した美術も時代劇としての見どころになっている。
映像面とは対照的に、物語やロマンスには厳しい評価
ただし批評家からの評価は高くなく、Rotten Tomatoesでは批評家スコア42%、Metacriticでは48点。映像や雰囲気を評価する声がある一方、フーディーニとメアリーの恋愛関係に十分な説得力が生まれていないことや、ミステリー、伝記、ロマンスの要素がうまく結びついていないという批判も見られた。
「奇術師が偽霊能力者に惹かれていく」という設定そのものは興味深いが、その題材から期待される心理戦やサスペンスを徹底した作品というより、史実を自由にアレンジしたロマンティックな歴史フィクションとして捉える方が近い作品となっている。
